第2話

一通り買い物は済ませた。

……あの子達が妹じゃないなら、何なんだ? 

そういえばあの二人が家に来たのって……いつだ?

なぜかあの二人についての記憶がない。あの二人はなぜ俺の家にいるか、その他の記憶がなぜか無くなっていた。

なにかがおかしい、もしかしたらあの二人は俺にとって幻覚か何かかもしれない。いずれにせよ、その記憶がないならこれ以上考えても仕方ない。


「……とりあえず帰ろう」


スーパーを後にして、家に帰宅することにした。

俺の家からスーパーまでは、徒歩で十分ほどのところにある。以外に家から近いので、生活用品とかがすぐ買えることが便利だった。


「……ん?あれは」


スーパーから少し歩いた先に、一人で歩く綾斗の姿が見えた。


「おっ、また会ったな」

「うん、また会ったけど、綾斗はどうしてここに?」

「俺はただの散歩さ。隼人は……お前、結構な量の買い物してきたんだな」


綾斗は、俺が持っているレジ袋に目をやりながらそう言う。


「そういえば、お前の彼女はどうしたんだい?」

「俺の彼女は家さ」


綾斗の言い方に少々ムカつくが、以前、綾斗とその彼女が一緒に歩いているところを見たことがある。いや、結構美人だったよ。うん……。


「それで、その量の荷物は誰かに頼まれたものも入ってるだろ?」

「……どうして分かる?」

「だって、隼人はそんなに買い物しないだろうなって思って」


少々笑いながらそういってくる綾斗。

本来ならポテチだけを買ってくるつもりだったのだが、一応結月にもなにか買っていこうかなって思ったのと、単純に俺が欲しいと思ったものが入っている。


「どうせ、結衣ちゃんに言われたんだろう?」


なぜ綾斗が言うことがこれほどにも当てはまっているのか、

普通に怖い。


「結衣ちゃんは、お前にベタベタしてるもんなぁ。……はぁ」


そして最後に謎のため息。


「俺的には結衣ちゃんが好みだよ」

「お前には彼女がいるだろ」

「そうでした!」


綾斗はそう言い、にーっと白い歯を見せ、元来た道を戻っていった。


「さてと、どうしようかな……」


家に帰宅し、夜ご飯を食べ、自室に戻った俺。

こういう暇な時間って何をして過ごしたらいいのか迷ってしまう。


「うーん……」


机に肘をつき、少しの間考えてみる。


「……ダメだ、なんにも思いつか――って!?」

「?」


後ろに体を倒すと、いつの間にか結衣が俺の部屋にいた。

俺と目が合うと、結衣は少し顔をほころばせたように見えた。


「おまっ、いつからそこに?」

「んー、ちょっと前ぐらい」


なぜか結衣と目が合うたびに、少しドキッとしてしまう。

たぶんそれは、結衣がとんでもなくかわいいからだと思う。

金髪少女とはこんなにもかわいいものなんだなと思ってしまった。

この場にはいないけど、結月もとんでもなく美少女だ。なんというか、銀髪というのはどことなく清楚な感じがするのに対し、金髪のほうが幼いような印象が……俺の勝手な想像だけど。


「そんなに私の顔まじまじと見ちゃってどうしたの?」

「あっ!いやそんなつもりじゃ……!」


俺は慌てて姿勢を正し、改めて結衣の方を振り返った。

……うん、めっちゃかわいい。


「ああ、えーと……結衣はどうして俺の部屋に?」

「大した用じゃ無いんだけどね、あの、宿題、一緒にやってくれないかなっ?」


何の用かと思えば宿題でしたか。


「ねぇ、おねがーい私の大好きなお兄ちゃんっ」

「ははっ……分かった分かった」


いつもはしまっているが、クローゼットから小さめなテーブルを出して広げる。


「じゃあついでにっ、結月も呼んできてあげる!」

「あ、ちょっ……まあ、結月と仲良くなれるチャンスかもしれんな」


結月は宿題が終わっているかもしれないっていうのに……。


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