真・宗教

大粛清 二

・医療

人命よりも利益を優先させる医療関係者にも厳しい真罰が下された。製薬会社の役員や研究者たちは人としての意識を残したまま実験動物に変化させられた。

彼らは人類の為という偽善に満ちた大義名分により行われた非道な実験の数々を自らの身に味わう事となった。多くの者が苦痛に耐えきれず自殺をはかったが真神によって死亡後も再生され苦痛地獄は延々と繰返された。真罰名"害薬（がいやく）の罰"。薬品の生産量は激減した。

拝金主義に塗れた医師たちは生きながら麻酔無しで解剖される感覚を味わう"剖検（ばいけん）の罰"を受けた。そして自分が処方した薬の副作用で家族が徐々に死に向かう仮想体験をさせられた。

・介護、福祉

劣悪な労働環境に低賃金が問題になっている介護・福祉業界にも真神は手を入れた。利益を得る事しか頭のない介護・福祉施設を経営する企業及び経営者には真罰が下された。真罰名”介誤（かいご）・福飼（ふくし）の罰”。

肉体が麻痺し指一本動かせない状態に陥り、自身が経営していた介護・福祉施設よりも遥かに劣悪な環境の介誤・福飼施設に放り込まれる。

介護・福祉業界に関する改善として、介護士、福祉士の報酬月額を国家公務員並みにアップ。施設の人員を大幅に増やし、数々の助成金を提供し労働環境を一新した。

・教育

理不尽な体罰や痴漢行為、いじめを黙殺するなど表に出ていない問題のある教育関係者は即刻解雇され、罪をさらされた。彼らは真罰”教獄（きょうごく）の罰”を受けさせられた。

この罰は受罰者が子供となり地獄の餓鬼が教師を務める"餓校（がっこう）"に入学し授業を受けさせられる。だが餓鬼の授業中、質問に対する解答を間違うと生きながら食べられてしまうという仮想体験を行わせるものである。食べられた肉体は一定時間後回復し、また授業に復帰させられる。

すべての教育委員会が解散され、新たな組織"真教育会"が結成された。メンバーは一般国民から真神が選出した。教師採用試験はその内容を大幅に修正、教師に求められる一番大事なものは"人格"とされた。

小、中、高校の授業内容にも変化があった。受験の為の勉強は廃止され、実生活に関わる知識が重視された。特に道徳は男女の脳の仕組みの違いや、正しいお金の使い方、嘘の見分け方など社会に出た時に必要とされる知識が多岐に渡り教えられた。

少年法は撤廃された。いじめを行う少年少女には真罰名"虐苛（いじいじ）の罰"が下された。虐苛の罰の内容については対象が未成年という事もあり、ここでは割愛する。ただ成人でも苦痛のあまり泣きわめくほどの罰である事は確かである。

・保育

子供に対し理不尽な体罰を加えたり、ぞんざいな扱いをする保育園長や保育士及び園関係者には真罰"獄育（ごくいく）の罰"が下された。この罰は受罰者が幼児となり地獄の鬼が保育士を務める"獄育園"に入園させられ延々拷問を受けるという仮想体験を行うものである。

保育業界に対する改善としてはまず保育園の数を前年度の３倍に大幅増加。待機児童をゼロにし、保育士の待遇を大幅に改善、給与は２５０％増。保育士試験は真神連が行い、新たな助成金を園に提供している。

真神は言う。

「子供は国の宝です。ですが今の日本は子供を少しも大切にしていない。これは由々しき問題です。子供に対して虐待を続ける穢れた大人たちよ、、、覚悟するがいい」

真神にしては珍しい怒りの表出した言葉に該当する大人たちは震えあがった。

・食品

添加物に塗れた飲料や食物を販売している食品会社の経営者や役員、部課長も真罰を受けた。”害食（がいしょく）”の罰。食品添加物のみで作られた飲食物が真神から提供されそれしか口にできなくなる。

罪の深さによって含有される添加物の内容は変化する。最も深い罪は毒性の高い添加物の含有量が１００％の食事をとらされる。己の意志とは反対に受罰者は全部食べざるをえない。内臓を焼かれるような苦しみは医者にかかっても直すことが出来ず、善行を積む事でしか解消されなかった。

長期保存が必要な飲食物に対しては食品添加物の使用が認められた。さらに体に優しい食品添加物の開発が真神連主導で急ピッチで進められている。