無題④(二人称チャレンジ(多分失敗)・ちょいグロ)

 雨粒の煌めきが、重なり合って、ぶつかり合って、辺りは目が潰れる程に眩しくて、白々しい。入り乱れる冷たい光の中で貴方はただじっと、審判のときを待つ。

恐怖に震えて慈悲を請う。

 ほかの全ての人がそうであるように、神の栄光だけに救いを求めて手を結ぶ。

 真っ白な羽が降り注ぐ。頭上で何羽の鳩が死んだのだろう。

 夥しい程の祝福は、空恐ろしい。

 すぐ耳元で、祝福の声がした。

 足の下で、炎の燃える音がする。

 灰色の雲が二つに裂けて、天の切れ目から神が覗く。燃える地面が三つに裂けて、土の隙間から悪魔が覗く。

 神の美しい笑顔は、完璧すぎてどこか怖くて、世界で一番正直な人も、あの詰問する様な笑顔の前では、何もかもが後ろめたい気がして、たじろぐだろう。

 踏みしめた大地が灰に変わって崩れ落ちていく。私たちの大地は、地獄の炎の上で燃える石炭だった。人間の安寧の地は、神の在す天にしかない。

 あぶれれば、大地と共に永遠の業火に炙られる。

 私たちに選択肢などない。

 貴方は神に縋る。誰もが神に縋る。

 最期の審判で、あちら側に行けますようにと、ただ祈る。

 恐怖と祈りはよく似ている。

 法廷は開かれた。

 一人、また一人と灰の道を進んでいく。

 ついに貴方の番が来て、貴方は草で切り刻まれた裸足の足で、神の法廷に進み出る。

 神は微笑み、貴方の背中は綻んだ。

 そして木槌は振るわれた。

 雨が水晶に変わって貴方を打ち抜いた。

 貴方の後ろ姿が、瞬く間に人の形を失っていく。肉の体が真っ赤に弾けて、欠片が宙に舞い、骨が土に刺さり、血の雫は雨と混ざって煌めいた。

 鮮烈に美しい緑が、貴方の血を吸い取っていく。

 血は魂を引き連れて、炎の燃える地の底へと流れ落ちていく。

 ああ、貴方で駄目なら、私もそうなのだろう。

 この腹に飲み込んだ不信の種を、全能なる裁判官は見抜くだろう。

 そして私もあの煌めきに砕かれる。

 貴方の立っていたその場所に、私はとうとう足を乗せた。

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