第22話
暗殺者が男爵領を去ったすぐ後、
「ふー、二人とも、もうあいつ行ったみたいだから、出ていいよ」
商店の貯蔵庫の床下からレオンが出てくる。それを追うようにルナールとダンが出てくる。
「レオン様、もう少し慎重に行動してください!」
「あはは、ごめんごめん。でも、発信機はちゃんとここから離れてるから、大丈夫だよ」
レオンは手に持つ端末を見せながら、ルナールの言葉にそう返す。
「レオン様」
「……ごめんなさい。気をつけます」
ルナールのジト目に耐えられなくなったのか、目を逸らしながら謝るレオン。さながら、蛇に睨まれた蛙である。
「あー、それにしてもうまくいってよかったですね」
「……! そうだね」
哀れに思ったダンが出す助け舟にレオンは即時に乗る。ルナールは呆れた顔をするも、一息吐くと笑みを浮かべる。
「いやーほんと。うまくいってよかった」
そろそろ、暗殺者に殺されたはずのレオンたちが歓談している理由に触れよう。
時はレオンたちが商店に入った時まで戻る。
「準備と言っても大したことはしない」
「「え?」」
二人の戸惑いの声をよそにレオンは世界間売買を操作すると目当てのものを購入して行く。
光が収束して行くと数丁の小銃と十数丁のエアガンや糸などが現れる。
「これは?」
「これは銃という武器だ。これを通路に仕掛けてトラップをつくーー」
『どこでも商店にトラップを作成しますか?』
ルナールとダンにトラップの説明をしようとしていたレオンは口をポカンと開けて、静止する。
「レオン様?」
「あ、いや、ちょっと待って!」
「は、はい」
レオンは、物は試しと脳内でトラップ作成について考えてみる。
『どこでも商店にトラップを作成しますか?』
(作成する)
『どこでも商店内にトラップ作成します。材料を消費します……成功しました』
トラップ用にレオンが用意した銃が全て消え、自動的に通路に銃が取り付けられる。
「「「……」」」
ルナールとダンは勿論のこと、レオンも絶句する。
((レオン様は何でもできるなぁ))
(商店とはなんなんだろうか……)
驚いている点は微妙にずれていたが。
「ま、まあ、楽できたのはいいことだよ」
「「そ、そうですね」」
3人とも乾いた笑いを浮かべる。
「後は、さっきも見せたこれ」
レオンはそう言うとズボンのポケットから人形を三体取り出す。
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