第63話 マグマを探して
◇◇◇第三層◇◇◇
高温のフロアを進む二人。ルグアが使ったマグマを目指して、チェリスと歩く。
俺はマグマには入りたくないが、興味だけはあったので、場所を伝えるために向かっている。
「チェリスさん。この先を進むと、ルグアの移動ルートなんすけど……」
「ふ~ん。アタシが知ってる道と逆方向……。あの人、ほんと当てずっぽうだから、フォルテの方が信用できるのよね……。絶対ルグアはどうかしているわ……」
「ど、同感です……」
いくら勘とはいえ、ありえない方法しかしない俺の彼女は、めちゃくちゃという言葉で説明できる。
今に思えば、どうしてそんな彼女が好きになったのか? 自分にしかわからない疑問に、自問自答してばかりだ。
「もしかして、あんた。あんな馬鹿で、アホの女が好きなんじゃないわよね?」
「ば、バレちゃいま……」
「バレバレもクソもないわよ。あんなやつと別れた方が、幸せに決まってるわ。当てずっぽうだとか関係なく、完璧に攻略する人よりも、不得意だらけの人の方が楽しいじゃない」
た、たしかに……。熱が入ったチェリスのガトリングトークに、口を挟むことすら許されなかった俺。
女に対するメンタルの弱さが、押し負けた原因だと思うけど、ルグアと一緒がいい。
それくらい好きという意思の地盤は、優しく揺らされようと、激しく押されようと、相手の地震(自信)に負けたりしない。
「ま、まあ、一旦話題戻そう。たしかこの場所に……。あれ? なくなってる」
到着した場所はキレイに埋められ、いつの間にか消えていた。道を間違えたのだろうか?
「やっぱり、偶然だっただけじゃないの。ほら、今度はアタシの番よ」
これだと好感度が下がってしまう。どういうわけか、好感度を気にする自分がいた。
非モテイケメンの悪い癖だろうか? モテ具合を気にしすぎて、女性付き合いが成功するか、心配になる。
と、その時。
「チェリスさん、そこ危ないっすよ‼」
「な、なによ突然……⁉ キャー⁈」
少しくぼんだ穴に落ちた仲間。急いで手を掴むがもう遅く、真下には高温マグマ。
嬉しいことに、黒いオーラが見えたので、きっとルグアが使ったルートに間違いない。
「チェリスさん、俺に着いてきて欲しいんだけど……。いいっすか?」
「どうしてよ?」
「ボスの場所がわかったので……」
了承を得た上で案内を再開。辿り着けなかったら、同時ゲームオーバーという罰ゲーム付きだった。
理由はわからないけど、マグマでの装備破壊と、HP全損ということだけはわかる。ルグアの方がやっぱり楽しい。その一言が脳裏によぎった。
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