第61話 耐暑装備を入手するために
◇◇◇第二層◇◇◇
坑道をクリアした俺とチェリス。2回だけお世話になったギルドに案内。席について、身体を落ち着かせる。
互いの目が見える位置。相向かいに座るのは、今後の活動を共有するためだ。二人だけになった以上、よく知るのが必須になる。
「それで、第三層からになるんだけど。第三層は火山地帯だから。やっぱり、対策した方がいいっすよね?」
「暑さ対策ねぇ……。アタシ、暑いの嫌い。寒いのも……」
そうだと思いました。チェリスお嬢様。ルグアは、暑さ対策を魔法でやっていたけど、術式を教わってない……。寒さ対策も……。
それに、耐暑装備も1人分だけだ。
「アレン、嬉しいお知らせよ」
「えっ⁈」
「この層にはね。各プレイヤー全員が受注できる、耐暑装備の入手クエストがあるのよ」
なにかを隠すような口ぶり。さっきの態度と少し違う。ものすごい真剣だ。チェリスはニヤリと笑い、種明かし。
「アタシ。このゲームのベータテスターなのよね。一応、第二十層まではしっかり覚えているわ」
「ま、マジっすか……」
「それと、あんたが助けたいと言ってる子。アタシの師匠。きっと間違えないわ。まあ、師匠というのは、ルグアじゃなくて、フォルテの方だけど……」
師弟関係もあるのかよ⁉ ルグアってほんとすげぇ……。いや、この場合はフォルテか……。
「まずは、そのクエストを受注する。教えてあげるから、アタシに着いてきてちょうだい?」
◇◇◇街外れの鉱石採掘場◇◇◇
「鉱夫さんすみません。どうやら、手こずっているようなので……」
チェリスが洞窟に向かって叫ぶ。反響する音は、どこまでも広がっていき、
『それは、とても助かる。入り口のツルハシを持って、中に来てくれ』
NPCの返答を聴くと、入り口近くにツルハシが出現。それぞれ持って洞窟の中へ。
「ここもアタシに着いてきて」
「了解しやした」
奥へ奥へと進み、下り坂。茶色の岩肌が目立った壁が、カラフルな鉱石で彩られていく。
「鉱夫さん、おまたせしました」
NPC向けなのだろうか? 淡々とした話し方で、クエストが進められる。
『よく来てくれた。早速、そこの鉱石を掘ってもらえないか?』
指定された場所に新たな鉱石。近くまで移動したチェリスは、ツルハシで叩き始める。
「俺は……」
『君は、もう少し奥にある鉱石を……』
ルートカーソルが表示され、導かれるように目的地へ。辿り着いたのは、俺の2倍もある巨大なクリスタル。
「この鉱石って、ガチでやんの?」
冷や汗を流しながら、途方もない採掘作業が始まった……。
「ってか、耐暑装備関係なくね?」
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