第46話 翌日の攻略
「みんなぁ~。おふぁよぉ~。うぅん……」
「アレン。あくびが混ざってるよ」
だって眠いんだもん。ゆっくり眠れた思ったけど、いろいろ考えていたら、あまり休めなかった。というよりも、休むことができなかった。
「そのうち慣れますよ。野宿の経験が少ないようなので、あたしが全力で応援します」
「ありがとうございます……。アルスさん……」
俺はフラフラと立ち上がる。今日も、ボス部屋に向かって歩かないと、また日が暮れる。
思えば、リアルの身体はどうなっているんだろう? 病院だよね? きっと。考えるのをやめたいのに、考え込んでしまう。
どうしたものか……。このゲームを遊び始めてから、考えてばかりだ。つまらないことがほとんどだが……。
チェリスを背負う。昨日より軽く感じる。身体の疲れだけは取れたのだろう。歩みもスムーズだ。
ジャングルは広い。奥へ奥へと進むほど、ツルが増えて道が険しくなる。このペースで到着するのか? 不安が
「あまり考えない方がいいよ♡ ルグアはそんなに考えない方だから。直感派……。って言えばわかるかな?」
いや、比べる相手を間違えてるから。絶対ルグアにはなれないって。強すぎだし、無敵じゃん‼
「たしかに、そうだね……。ごめん……」
「あ、謝る必要はないって」
茶番のような会話。別に嫌いってわけではない。テレビでお笑い番組を観たりするので、こういう会話をするのは楽しい。
険しい道を歩き始めて2時間。ボス部屋は、まだまだ先。いつになればたどり着くのか……。
「ほんと、アレンって体力無いわね……。もうヘロヘロじゃない」
「チェリス、それ違うって。体力じゃなくて、思考力。俺の彼女が教えて……。ん? 思考力? 体力関係ないってことじゃん‼」
やっと、ルグアが言ってたことの意味に気づく。今まで、ゲームとして考えすぎていた。リアルと同じに考えればいいのか……。
思考を停止して気持ちを入れ替え、前へ踏み込む。少しだけ緊張がほぐれて、足取りがよくなる。
これならルグアやルナと同じように、速く移動できるかもしれない。逃げずにチャレンジ。普通に走る動作に加速を加える。
「このままいけるんじゃね? 風がすげぇ‼」
高速で移動する俺のアバター。身体に打ち付ける疾風は、とても気持ちが良い。ボス部屋へ直行。
そう思ったのもつかの間。そびえる扉にぶつかったが、痛みよりも速く移動できた喜びでいっぱいだった。
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