第42話 カフェテラスの罠
「うぅん……。あれ? 俺は一体……」
カフェのテラス席に顔を伏せたまま、パチリと
一緒だったはずのルグアがいない。さっきまで楽しく紅茶を飲んでいたのに……。そういえば紅茶を飲んだ時……。
◇◇◇二十分前◇◇◇
「やあ、レーナ。元気してたか?」
ルグアが一人の美人女性に声をかける。レーナという女性は、人数分の紅茶を持って席に座り、簡単に会釈して、
「ルグアも相変わらずで安心したわ。ここでは心ゆくままに身体を休めて良いのよ」
「じゃ、いただくとするか……」
ルグアがティーカップを口元へ近づける。俺も真似して紅茶を一口。すると、急に意識が遠のき眠ってしまった。
◇◇◇現在◇◇◇
「もしかして、睡眠の
「あら? 気づいてしまったようね……。その通りよ」
突然現れたレーナ。ルグアはどこに行ったの⁈ 何かあったら大変じゃん‼ 俺の恋人なんだよ⁉
「答えるなら。今は第五十層にいるわよ。彼女からの伝言で、『一人で登って来い‼』と言っていたわ」
「俺一人で⁉ あと四十層あるんだよ⁈ それを一人で攻略って……。こうしている暇があれば、動け……。行ってきます‼」
できっこない。でも、恋人を助けるにはやるしかない。すぐさまテラスから離れる。第十層のボスを倒すために……。
「きっとルグアは、『モタモタするな』って言うはず。俺、絶対助けに行くっすよー‼」
◇◇◇第五十層 機械仕掛けの街◇◇◇
『大将さっすがー。ルグア達を全員捕えましたよぉ~‼』
女の子の声が聞こえる。感じるのはただそれだけ。機械が動く音がする。環境音ではただそれだけ。
『あとは~。ルグアをこの機械に入れてぇ~。機具を装着させてぇ~。ウフフ、た~のし~い♡』
どうやら、私もアレンとは別の罠にはまってしまったようだ。ゲームでありながらも睡眠薬を多量に投与されて、思考力が急激に低下する。
『よ~しぃ~。準備おーわりぃ♡ それじゃあ、スイッチオーン‼』
――グゥオォーン……。
機械が作動する音。脳に負荷がかかり始める。痛い。最初のうちならすぐに慣れるが、痛みはどんどん激しくなっていく。
もちろん処理にも時間がかかる。でも、思考力の低下で処理ができない。抗う手段がない。いつしか、気持ちが良くなっていた。脳が慣れ始めたのだろう。
ゆっくりと眠りにつく。
『まだ足りないのかぁ~。もっと威力を上げちゃお♡』
見知らぬ少女の声。痛みがさらに強くなり、眠りも深くなっていく。これが昏睡状態というのか……。初めての感覚に少し好奇心が湧いてくる。
今は、第五十層にアレンが到達するのを待つ。囚われた以上、私にできることは限られている。一人で乗り越えてくれ。そう願うしかなかった。
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