第36話 もう一人のルグア

「オレは、ルグア・レミリス・フォルテ。曖昧さ回避で、呼ぶ時はフォルテと呼んでくれ」


 ルグア・レミリス……。えっ⁉ 俺知ってる‼ この人知ってるんだけど‼ ゲームの主人公じゃん‼ 確かタイトルは……。


「〈ルグア異世界冒険記〉だろ。その主人公本人だ。あのゲームはオレの実体験をベースに作ったんだぜ? あいつも、30分でクリアしやがったからなぁ~」


 ほ、本人⁉ マジかよ。ゲームの主人公が出てきちまったよ。ってか、あいつって誰? さっきから気になっているんだけど‼


「なあ? リアルネーム出しても良いか? ……OK、サンキュー」

「誰と話しているんすか?」

「ん? あぁ、オレが拠り所にしてるやつに、確認しただけだ。さっきまでバトルとかやってたのは巣籠明理。どうやら、オレの口調が移っちまったみてぇで……」


 なるほど、ルグアとフォルテは表裏一体。二面少女的なやつか……。ルグアは謎が多い……。何度も言うけど謎が多い。


「ルートは明理から全部教えてもらってっから。着いて来い‼ ウェンドラが他のギルメン連れて先行ってるからな」

「あ、ハイ……」


 同じ見た目なのに、フォルテに変わると雰囲気が違う。こっちの方がぶっきらぼうだ。勇ましさが半端ない。

 オーラもかっこいい。ダークパープルだよ? 俺のばあちゃんも髪をこの色に染めてたなぁ~。


「お前、オーラが見えるのか? なら、区別しやすいだろうな。オレと明理は口調も見た目も瓜二つに近い。良く間違われるんだよ」

「俺以外に、区別できる人はいるんすか?」

「ウェンドラくらいだな」


 ってことは、他のメンバーは区別できないのか……。区別できる人が増えることはきっと嬉しいよなぁ~。


「あと少しで追いつくぞ‼」


 俺はフォルテを追いかけて、15枚近くの鏡の中へ入っていく。ルグア同様迷いは無く、仲間の姿を捉えた。


「んじゃ、オレはこのへ……」

「も、もう少し話をしても良いっすか?」

「別に、問題ねぇが……。オレに質問でもあんのか?」


 たくさんある。山のように。ゲームの主人公だからその分、実体験と照らし合わせたい。いろいろ知りたい。

 フォルテがルグアをどう思っているのかとか。二面少女になった経緯とか。今まで遊んできたゲームとか。


 フォルテが戦ってるところも見たい。移動速度って変化するのかな? 知りたいことだらけでワクワクが止まらない。


「そうか……。……明理、もう少しだけ良いか?」

『良いよ♡』


 出た‼ ワーオ‼ なんちゃって。って、どうやって出てきたんだよ⁉ 姿が見えないんだけど⁈


『あとで教えてあげる』


 は、はぁ……。ここまで変わり者だとは……。俺達は鏡のダンジョンを攻略し、ボス部屋に到着した。戦うのは誰? フォルテが戦ってるところを見たい。

 するとフォルテが頷き、ボス部屋の扉を開いた。「オレが戦う」と言わんばかりに……。

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