第31話 街を回って

「広いっすねぇ~。この街は……」

「……だな」


 他のギルメンを別れた俺は、ルグアと二人で街巡り。俺がデート気分で風景を楽しむのに対して、ルグアはただただ歩くだけ。

 デートというより観光だ。どうやらルグアは風景に関して興味が無いようで、やってきたのは鍛冶屋。


「ルグア? どうして鍛冶屋に?」

「ん? 装備を新調するだけだが……。悪いか? 別に強化も必要無いんだけどな」

「それなら俺も……。実は、ついさっき別の武器を見つけたので……」


 俺は仮想バッグから例の武器を取り出す。武器名は〈エレネス・ランス〉。ルグアの神剣〈レヴェネス・ソード〉、ルナの神弓〈ナイトメア・フロー〉と同じ神系統の神槍しんそうに入っている。


「これ、強化良いっすか?」

「どこで見つけたんだよ⁉ アレン?」

「オーラですよ~。偶然宝箱のオーラが見えて、開けたら入ってたんです‼」

「それは良かったな」


 オーラはめちゃくちゃ役立つから、最高‼ 使いこなしてる感ヤバい‼ オーラ見るのって楽しい‼ もっと使い道増やしたい‼

 だけど、ルグアのオーラはまばゆすぎて直視ができない。好きな人なのに……。オーラが邪魔して顔が見れない。不便なこともあるから、プラマイゼロになる……。


「おーい。私の方は終わったが、お前はどうすんだ?」


 そうだ、武器の強化で鍛冶屋に来たんだった。余計な思考を押しやり、必要な素材を確認。武器鍛冶NPCに依頼する。


 ――『必要素材の確認が完了しました。必要エレメント(リアルマネー可)50万エレメント。使用しますか?』


 流れたのはシステムアナウンス。待てよ? 50万エレメント? 急いで所持エレメントを確認するが、残念なことに、24万エレメントしかなかった。

 このままでは強化ができない。すると、


「私が払ってやるよ。リアルマネーでさ」

「ってことは、50万円?」

「惜しい。0が一つ足りない。500万だ。このゲームはやり込み系だから、そういう系好きの無課金勢が多いんだよ」


 知らなかった。こんなにお金を取るゲームだったとは……。ってか、ルグアが装備を新調するのに使った金額、どれくらいなの?


「ん? 武器・防具・装飾の購入と強化全部込みで5億。全てリアルマネーで支払った。ゲーム内通貨は、いざという時しか使わないからな」


 ごご、5億……。普通に言ってるし。リアルの所持金は、絶対大富豪レベルだよ‼ 加えて、俺のために500万円まで……。すごい人の恋人になったんだな、俺は……。きっと金には困らない。


「さっさとしないと、受付時間が終了するぞ‼ 金は送信しといたからさぁー」

「あ、あざっす……」


 ――『必要素材の確認及び支払いが完了しました。強化を開始します』


 支払いまでしてくれるなんて、ルグアはものすごく優しいなぁ~。そう思いながら、強化が終わるのを待った。

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