第29話 次の階層へ

 バトルを終え、仲間のところに戻った二人。何故かわからないが、俺は彼女に恋していた。どうして好きになったのかは、自分でもわからない。

 ただ、ステータスの減少で弱くなっていく俺を、最低値にも関わらずルグアがフォローしてくれるからだと思う。

 イケメン顔でも中身の質が良くない俺。モテ期もあったが、中身に気づかれた瞬間フラれてしまう。


「そのぉ……、ルグア? 例の剣、本当に良いんすか? 団長が大切にしていた武器って……」

「あのなぁ、さっきから言ってるじゃないか。私が良いと決めたんだから、お前が持っていて良いんだよ」

「そ、それと、俺と……つ、付き合って……」


 考え無しのプロポーズ。唐突すぎただろうか? 自分から仕掛けるのはこれが初めてで、呂律ろれつが回らない。


「私と付き合う……、か。久しぶりに聞いたな、その言葉。もちろん答えはイエスだ。私もお前のことが心配だしな」


 まさかのプロポーズ大成功。嬉しさのあまり飛び跳ねてしまった。胸がとても熱い。それもバトルとはまた違う熱量。


「お、俺。ほんと要領悪いっすけど……」

「問題ねぇよ。まあ、リアルで会えば驚くだろうが……」


 なんか謎が深まった。もしかして、見た目とかが違うってことかな? 俺は別にいいけど……。ルグアのリアル。どんな感じなんだろうなぁ~。


「それよりアレン。第二層ボスと第四層ボス。どうやってあんな武器を見つけたんだ?」


 あっ‼ そっち⁉ どうだったかなぁ~。俺は当時のことを掘り返す。

 まずは第二層ボスの緑狼りょくろう。あの時見つけた球体は、戦いが終わるまでくつろいでいる間、天井を眺めていたら発見した。

 登れそうなハシゴがあったので、球体の場所まで移動しただ普通に落としただけ。それしか俺はしていない。


「んじゃ、第四層はどうなんだ? あんなデカいなたは、驚いたぜ……」

「それなんすけど。実は偶然巨大ゴブリンに遭遇してしまって……。近くに落ちていた鉈を奪っただけなんすよ」

「お前、度胸あるじゃないか‼ 私も似たようなことをたくさん経験したから、良くわかる」


 さすがだ。100万タイトルをプレイしているからこそのお言葉。いつかいろんなゲームで遊びたい。

 そうこうしているうちにギルドメンバーと合流。第七層への階段を上って、扉を開ける。


「綺麗な水族館だなぁ~」


 このように思ったのは俺だけで、良く見てみると、海中と直結した透過アクアリウムだった。ってことはつまり……。


「泳げない俺は、完全不利じゃん‼」

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