第28話 剣の持ち主

 飛び出した速度はスローモーション。リヴァイアサンの体長は、約170センチある俺の六十人分だろうか? とても大きい。ボスエネミーはみんな大きい。


『モタモタするな‼ 敵が攻撃してくるタイミングも教えて……』

「大丈夫です‼ 俺がモヤを見ることができるのなら。試してみたいことがあるんです。やって良いっすか?」

『自分の力だけでやるんだな? わかった。バトルは楽しめ‼ そしてお前の戦い方でバトルを楽しめ‼』

「はい‼」


 ルグアの声援は力強い。剣が一瞬軽くなるのは気のせいだろうか? とにかく今はリヴァイアサンだ。

 重い剣で飛びかかって、全身を回転させる回し蹴り。間髪入れずに赤い刃で切り刻む。


「もしかして炎出るんじゃね? 上手く使えば……」


 クリムゾンなら、炎を吹き出してもおかしくない。スカーレットなら、もっと激しいかも? 剣から炎……。夢ありすぎじゃん‼

 早速、剣でなぎばらい、炎が出るのか試してみるが出てこない。やっぱり夢物語だったようだ。


 思えばモヤだと頭がモヤモヤするから、今後はオーラで統一しよう。これは作者の思考である。


「なんで作者が⁈ 出たら最悪じゃん‼ 引っ込んでた方が良いんじゃね⁈ うん。その方が絶対良い」


 バトルから離れてしまったので、俺は気持ちを入れ直すと剣が熱くなった。これいけるんじゃね? 胸にも炎を燃やして全力で振り被る。

 そして見える禍々しいオーラ。きっとボスはみんな同じオーラだろう。一応しっかり学んでおく。


『私の方はあと少しで片付く、リヴァイアサンのHP、ごっそり削らせてもらうぜ‼ LAは任せた‼』

「はい‼ しっかり決めさせてもらいます‼ 上手くいくかはわかりませんが……」

『おいおい、もっと自信持てよ……』

「す、すみません……。頑張ります……」


 仲間を思いやる気持ちがとても嬉しい。俺もルグア達みたいに‼ 燃ゆる炎が具現化して剣全体を覆っていく。

 まるで、大正時代を舞台にした、必殺技のように赤々と……。火炎は獄炎へと変化して俺の身体も熱くなる。


「あとは俺の意思で‼」


 しかしここで意識が途切れてしまった。目が覚めたのは20分後。その時にはバトルが終了していた。

 ルグアが言うには俺がトドメを刺したとのことだが、その時の記憶がない。炎に包まれてからは何も覚えていない。

 剣が勝手に? いやいや、そんなわけない‼ 剣が意思を持ってるわけない‼ 自問自答で解決させるが答えは深淵だった。


「アレンお疲れ様。戦ってる最中に考えたことなんだが……。その剣お前にやるよ」

「えっ⁉ ど、どうして俺に?」

「ん、ただ、その剣がお前と一緒の方が良いってさ。だからお前にくれてやる。大事に使ってくれ‼」


 〈クリムゾン・ブレード〉を⁉ ルグアが愛剣にしていた剣だよ? ほんとにもらって……。一旦気持ちを落ち着かせて武器メニューをひらく。所有者を確認すると、俺の名前が記されていた。

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