第21話 湖のほとりで一休み

 ――ザザァー……。


 さざ波の音が気持ち良い。湖のほとりにある砂浜に座り込み、みんな揃って空を見上げる……。

 青々と澄んだキャンパスには、白くて水を多く含んだうっすら見える雲。この雲達は一体どこへ向かって流れるのだろうか?


『モードレさん‼ お疲れ様です‼ ルナさんもクリムさんも、ルクスさんとそのお子さんもお疲れ様です‼』


 お疲れ様で~す……。って俺は⁉ なんで俺だけ呼ばれないの⁉ あと、この声ガロンさんだよね? どこにいるの?


「アレンさんも、お疲れ様です‼」

「うわぁっ⁉」


 突然背中を叩かれて、俺は真後ろにひっくり返る。天を仰ぐ形で目に入ったのは、声の主であるガロンだった。


「アハハ‼ ナイスリアクション‼ 良き良き♡ りんりんもおっつー‼」

「だから、フラン。いい加減にしろよ……」

「えー、良いでしょ~。他に良いあだ名無いんだもん。うむぅ……」

「わ、わかったよ……。好きにしろ」


 メンバーがどんどん増えていく。良く見ると、集まって来た女性陣の手は大量の食材で溢れていた。

 そういえばゲーム内に入ってから何も食べてないじゃん。あの眠気は疲労がたまってたんだろなぁ~。


「では、わたしとウェンドラさんの料理スキルで、作ってきますね‼ 思えばモードレさんは食べますか?」

「どっちでもいいかな……。せっかく新メンバー入ったから……」

「了解です‼ 用意すればいいですね」

「頼む」


 すっごい短い会話。着いていけない。完璧に意思疎通してる。当然だと思うけど……。俺より付き合い長いだろうし。

 でも、なんでルグアに食べるかを聞いたんだろう? 普通なら食べるよね? 聞く必要もないし……。もしかして、普段から食べない系?


「時々くらいかな……。リアルでは良く食べる方だが、ゲーム内はちょっとさ……」


 これは今後聞かないようにしよう……。多分、ゲーム内ではあまり食べない方なんだろうし……。


「さて、料理ができるまで何するか……。何か提案あるか?」


 娯楽ですね。俺も大好き‼ どんなのやるのかなぁ~。楽しみで胸を躍らせる。すると、ルクスが何やら竿を持ってきて……。


「それじゃあ先輩‼ 釣りはどうですか? ルグア先輩が釣ってるの見た事がないので……」

「んじゃ、それにするか……。準備はできてるよな?」

「はい、ちゃんと竿用意しましたよ‼」


 ルクスが、子供二人とクリムを除いた五人に手に持つ竿を配りだす。もちろんルクスも参加する。


「んじゃ、大会でいくか……。一番多く釣った人が勝ちだ‼ 私は抜けるけどな」


 こうして始まる湖での釣り大会。一体勝者の証は誰の手に……?

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