第19話 六層へ向かうためのパズル

「このコンソールで問題が出されるのか……。えーと、これで起動して……。おっ‼ 出たでた」


 ルグアの操作でどんどん画面が切り替わる。手慣れた手つきでホロキーボードを叩き、出題画面へ。


「問題数。五択なのか……。100……、300……、500……、700……。これだな‼」


 ――〈出題数:1000に設定されました〉


 1000問やるの⁉ 酸素持つ⁈ なんか、超心配なんだけど‼ あれ? また選択肢が表示された。


 ――〈挑戦する制限時間を選んでください。5分/10分/30分/1時間/無制限〉


 制限時間も選べるのかよ‼ 俺だったら無制限を選ぶけどなぁ……。ルグアはどれ選ぶんだ……。


 ――〈制限時間:5分に設定されました。出題を開始します〉


 マジ⁉ たった五分で1000問やんの⁈ 無理無理‼ 100パーセント……。


 ――〈現在、150問クリア……。残り時間 4分32秒〉


「ふ~ん。私には簡単すぎだな」


 どんなスピードなんだよ‼ 早すぎだろ‼ てか手の動きが目で追えねぇんだけど‼

 ブラインドタッチで完全に踊ってるじゃん⁉ ルグアの指が‼ まるで社交ダンス‼


 ――〈現在500問クリア。残り時間 3分20秒〉


 ルグアは、次々と出題されるパズル問題を異常なペースでクリアしていく。どこまで処理速度が速いのだろうか……。


「よし、これでラストだな。えーと、問題の内容は……。スタートからゴールまで引かれた、AとBの線にぶつからないように、別の線を引く……」


 俺にはすごい難しい問題じゃん。残り時間は……。1分⁉ 間に合うの⁈ 間に合うんだよね⁉ 数秒後……。


 ――〈全問クリアしました。残り時間 10秒。第六層の鍵を贈呈します〉


 残り時間10秒ってギリギリじゃん‼ でも、ルグアはものすごい楽しそうだった。疲れの気配も感じられない。スッキリした表情だ。


「ルグア先輩‼ お疲れ様です‼ あの問題数は、先輩には少ない方ですもんね……。過去で一番多かったのって何問でしたっけ?」

「確か……、スパコンと勝負した時の1億問。まあ、私が勝ったが……」


 い、1億⁉ しかもスパコンだよ。スーパーコンピュータ‼ どんだけ頭良いんだよ……。団長……。


「全部勘だったけどな‼」


 もう、すごいしか言えないよ……。人間離れじゃなくて、超人離れでもなくて、カオスだよ。カボスじゃなくて、カオス。


「じゃ、この階層の攻略終わらせようぜ‼ 出口の場所は予想がついたからな‼ なんなら、私が全員乗っけて行くか‼」


 いやいや、団長入れて六人いるんだよ⁉ できるわけ……。そう考えている間に、ルグアは子供二人を両肩に乗せていた。


「ま、小さい子優先だけどな‼」


 そりゃそうだよね……。合計六人と一匹になったメンバーで、迷路の攻略を再開。もう、本人女って言ってるけど、どっちかわからないよ……。

 けど、そんなルグアの優しさに惹かれてしまう。今の俺にはよくわからないけど、きっと心の中で何かが起こっている気がした。もしかして俺……。


「アレン大丈夫か?」

「えっ、あ、はい。まだ全然平気っすけど……」

「んも、あんま無理すんなよ? 疲れたらいつでも言ってくれ」

「あ、ありがとうございます……。ルグア団長……」

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