第18話 やって来たのは……

「ルグア先輩‼ お久しぶりです‼」

「おいおいルクス。家でいつも会ってるじゃないか……」

「やっと先輩がログインできて、ゲーム内でも会えたんですから。別に『久しぶり』でも良いじゃないですか」

「まあ、確かにな……」


 この男性誰? ルグアのことを『先輩』って呼んでいて、『家で会ってる』って言っているから……。


「ん? アレン? この人のことか? 私の兄だが……」


 えっ⁉ この人がルグアのお兄さん⁈ で、でも‼ 先輩って呼んでたよね‼ 先輩ってさぁ‼


 妹のルグアが先輩で兄のルクスが後輩で……。変‼ 変だよ⁉ 変だよこれ‼ 妹が先輩で兄が後輩だよ‼ どゆこと⁉


「答えとするなら、ルクスが勝手にそう呼んでる」


 なるほど。大体わかったので姉妹を見ると、ルクスに抱きついていた。


「「パパ‼」」

「心配したよ。ラミア、ファリナ」


 へっ⁈ ルクスがお父さんだったの⁉ 可愛いすぎじゃん‼ 良いお父さんなんだろうなぁ~。

 姉妹の瞳から流れ落ちる涙にもらい泣きしてしまった。


「あのね。あか……。じゃなくて、ルグアお姉ちゃんが、ラミアを助けてくれたの‼」

「そうだったんだね。ルグア先輩‼ 俺の子供を助けてくれてありがとうございます‼」

「まあな。困ってる人を助けるのも私の仕事だから当然だ」


 かっこいい‼ めちゃくちゃかっこいい‼ ルグア最高‼ 神‼ 神‼ 絶対神‼ どこまでも着いて行きます‼


「んでルクス。次の層に行くためのヒント。何かわかったか?」

「もちろんです‼ この層の奥にパズルがあって俺も挑戦したのですが……。難易度が高すぎて……。目を離している間に娘とはぐれてしまったんですよ」


 お父さんも大変なんだなぁ~。それより、パズルゲームで次の層に行けるのか……。いろんなゲームがごちゃ混ぜだ……。


「わかった。案内してくれ‼」

「了解しました‼ ルグア先輩‼」


 ルクスの案内で迷路を進む。ルクスが後輩……。しかも、妹のルグアに対して敬語だから、違和感しかない。


 兄妹だから、関係が成立しているのだろう。俺は一人っ子だもんなぁ~。兄妹とか姉妹とか憧れるんだよなぁ~。

 妹だったらおままごとしたり……。弟だったらチャンバラごっこしたり……。楽しいだろうなぁ~。


「おーい、アレン。意識が変な方に逝ってるぞー。前を見ろー」


 ルグアさんの声。気持ち良いなぁ~。こんなにもワイワイしているギルドは、最高だぁ~。


「はぁ……。ほんと、どうしたものか……。こうなったら」


 ――ガシッ‼


 ルグアが俺の後ろ襟を鷲掴わしづかみして、引きずり出した。俺は何をされても、嬉しいとしか感じない。

 似たような風景を眺めつつ迷路を歩くと、見えてきたのは薄汚れたコンソールだった。

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