第17話 突然の宝探し
「風がないなら……。これで起こせば」
――ヒュゥーン……。
これ風の音だよね⁉ 魔法だよね⁈ でも、ルグア詠唱してなくね? っていうか、ジョブって同じ剣士だよね⁈ なんで魔法が使えるんだよ⁉
「そうだが……。魔法はどのジョブでも使える。まあ、適正ジョブよりは威力が下がるけどな。私はヘッドショットがほとんどだから、気にしていねぇけど……」
それより、どうして発声をしないで魔法が使えるの⁈ そっちが知りたい! 知りたい! 知りたぁい‼
「無発声詠唱って言えば、わかるかな? ぼく達のギルドメンバーは全員使える技だよ。覚えた方が得だから練習してみたらどうかな?」
「は、はぁ……」
無発声詠唱……。発声無しで魔法を発動……。んな、荒技じゃんかよ‼ できっこないじゃん⁉
でも、俺以外のメンバー全員が出来るんだから、今更突っ込んでも意味無いか……。このギルドヤバすぎじゃん……。
「ちなみにアンゲーマー先生は、一度に複数の魔法を同時展開できるんですよ。今のところ、アンゲーマー先生にしかできないんです」
「ルナそれは違うぞ‼ フランも同時展開できるからな」
「そうでした……」
ほんと、このギルドはレベル高すぎだろ⁉ 着いていけねぇよ‼ 俺は、寄り添うように歩く姉妹に目を向ける。
ラミアのポニーテールとファリナのツインテールがリズムを刻むように揺れ、気持ちを落ち着かせてくれた。
にしても、この姉妹は一体誰の子供なのだろうか? キョロキョロ見回して親を探す。
けれども見えるのは全て壁。反対側がわかるわけない。それにどこへ向かっているのだろうか?
〖そういえばルグア殿。お主が使っていた、例の"剣"のことなのじゃが……〗
「なんだ? クリム?」
〖今回も持ってきたが、どうやらこの層に落として消えてしまったんじゃ……〗
「なら、まずはそっちからだな。宝箱は……」
急すぎない⁉ なんで宝探しなの⁉ 早く出ないと、酸素ゲージがカラになってぶっ倒れるよ‼
「おっ‼ あった‼ クリム見つけたぞ‼」
見つけんの早っ‼ 方位磁針でも持ってんの⁉ いや、方位磁針じゃなかった、探知機‼ ルグアイコール人間宝物探知機‼ ってか、普通に落ちてたんだけど‼
「懐かしいなぁ~。〈クリムゾン・ブレード〉……」
ルグアの愛剣の名前かっこよすぎ‼ 加えて、クリムとの名前の関係が良くわかる‼
〖もう見つかったのか……。さすがはルグア殿じゃな〗
いや、絶対落ちてたやつ拾っただけだろ‼ 宝箱入ってなかったじゃないか‼ 落し物だよ‼
「でも、落し物が見つかって良かった。早速使うとするか……」
気づいているなら『宝箱』言うな‼ それよりこの迷路いつ終わるんだよ……。すごい疲れる……。
「ついでに、そろそろ私の兄が……」
えっ⁉ ルグアってお兄さんいるの⁈ どんな人なんだろう? 気になる‼
そうしていると、奥の方から誰かの走る音。俺達のところへやってきたのは……。
『ルグア先輩‼ ゲーム内ではお久しぶりでーす‼』
一人の青年だった。
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