第11話 敵に囲まれて⁉

 なんか眠れない……。ゆっくり寝たいのに。


 ――ギュオォーン……。


 誰かが戦っているの? 深夜のバトルは付き物だし、俺とルナは寝て良いと言われて寝袋の中にいるけど……。そういえばルグアは?

 初期装備のそでで寝ぼけ眼を擦る。まだ頭がぼーっとしているが、ルグアがいる場所を確認。

 そこには左手の人差し指を立て、寝ているのかいないのか微妙な状態のルグア。


「……。ちょっとは、はっきりさせてくれてもいいじゃんか……。見張っているのかもわかんねぇじゃん……」


 と小声でボヤいた。周りには小型エネミーがうろついて、寝ている場合ではないはず。なのに、


 ――ギュオォーン……。


 エネミーが力尽きて倒れる声。良く見回すと、死亡エフェクトのポリゴンが次々と出現しては消えていく。

 なんでこのようなことが? もう一度ルグアを見ると、立てた指先が何度も発火。弾丸になって飛んでいく。


 飛んでいった弾丸は見事にエネミーの頭部へ吸い込まれ、ヘッドショットを決めている。しかもハズレ無し。


「マジかよ団長……。半分寝ているその状態でバトルするのはヤバすぎじゃん……」


 謎は謎を呼ぶ。何もわからない俺には神にしか見えない。弾丸はひっきりなしに生成されて、小型エネミーを倒している。


「やっぱすげぇや……。こんなん誰もできねぇって…………」

「ん? アレン、まだ寝てなかったのか?」


 ルグアを起こしてしまった。直後、弾丸が100個以上生成したと思うと一斉発射。

 周囲の敵が一瞬にして全滅した。処理速度が計測不能レベルだろう。もう、リアクションのネタを使い切ってしまった。


「なあアレン。お前、剣使ったことねぇだろ? 反応速度と見た感じから長剣よりも中距離武器、槍系統の方が合ってるんじゃないか?」

「ど、どうして? 確かに俺は基本ランサーだったけど、なんでわかったですか?」

「ま、経験と勘だな。私は全武器の使い方コンプしてっからさ。別に、お前が私の武器を選んでもいいんだぜ?」


 はい‼ 出ました。ルグアの『勘』。っていうより、全武器コンプって万能じゃん。俺決めていいの? ガチで⁉ ほんと決めていいの⁉


「それより。まずは、槍の使い方を覚えてからな‼ まだ、未熟だろうし……。言っとくが、私は2週間で20種類の武器を習得した」


 に、2週間で20種類⁉ 一体どういう計算なんだ……。絶対サバ読んでない⁉ いや、読んでるでしょ‼


「嘘は言ってねぇよ。ってかまず嘘ついたことは一度も無い」


 なんだとぉー⁉ 嘘ついたこと無いのぉー⁈ ってことは2週間で20種類っていうのも、ほんとのこと⁉ 

 ヤバい。どういう脳をしているんだ……。団長は……。覗いて見たくなるじゃないか‼


「おーい、こいつくれてやるから、一緒に練習しないか? コツ教えてやるからさぁー」

「あ、ありがとうございます。よろしくお願いします」


 二人で少し離れた場所に移動する。ルグアからの指導は、どういう感じなのだろうか……。

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