第10話 勘が働かない場所
「サブマッピングって、なんすか?」
俺はルグアに問いかける。ルグアは相当難航しているような表情で振り向くと、
「それのことか……。勘だけでエリアを解析して……。脳内マップに起こすだけの作業だが……」
簡単に説明してくれた。それより勘の使い道多すぎ‼ 全部勘じゃん‼ 勘だけで何種類可能なんだよ‼ はぁ、はぁ……。リアクション疲れるわ……。眠い……。
「そうか、なら私がおんぶしてやろうか? 別に問題ねぇよ?」
「あ、ありがとうございます……」
女性におんぶかぁ~。っていうか持ち上げられるのかよ⁉ 女性より男性の方が重いんだぞ⁈
というのは無関係のようで、すんなり身体が持ち上げられる。ゲーム内でもリアルの体重が反映されるのだが、持てる持てないは意思次第のようだ。
「きっとこりゃ迷子になりそうだな……。風向きも確認して行くか」
でもどうして風向きも? 風向きって全部一緒だよね? みんな同じだよね?
「アレンさん。アンゲーマー先生は普通の風以外にも、温度や特徴がわかるんです。ぼくもはじめて知った時は驚きました」
いわゆる超高性能
「よし‼ 一応、目的地までの風の方向がわかったから行くか……」
「アンゲーマー先生直伝のあれですね‼ わかりました‼」
何それ? 〝アンゲーマー先生直伝のあれ〟って? うわぁっ‼ 速い‼ 速すぎて休めない‼
ルグアとルナは超高速移動で樹海を走っていたのだ。ちゃんとルグアの速さにルナが着いてきている。
角を直角に曲がりどんどん奥へ。日も暮れ始めて暗くなっていた。眠気と風の勢いが交互に襲ってくる。
「そろそろ寝るか……。あと少しでちょうどいいポイントに……」
よくこの速度で言えるなぁ~。ありえないことしか起こっていないじゃないか。二人とも一体どうなってんだよ‼
そうして辿り着いたのは開けた樹海の広場。走る二人が同時に急停止する。
「んじゃ、私が一晩見張ってやるから二人は休んでいてくれ」
「えっ⁉ いやでもルグアも休んだ方が……。身体に毒っすよ?」
「問題ねぇって。完全に慣れてるからさ。こうしている方が私は楽だ」
予想を何もかも裏切ってしまうルグア。どんどん謎が大きくなる。謎だけで溢れる。
「んじゃおやすみ。ルナ、アレン」
「アンゲーマー先生、おやすみなさい」
ルナは普通に目を閉じる。不安な気持ちを抑えて、同じように眠りについた。
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