第9話 理解不能

「ルナさん……。ルグアはなんで、マグマの中に……」


 心配で仕方がない。普通では考えられない。ルグアのことがわからなくなる。規格外すぎて……。基地外でも当てはまるくらいだ……。


「実は六年前に、〈世界魔法大戦〉っていうゲームで鉱石の精錬用かまどに落っこちて……。以来、こういう場所を選ぶようになったんです」


 なるほど……。情報追加。


〈ルグアは激弱の超強の神速で、プレイタイトル数異常のドMで、人脈広くて、超高温の場所が好き〉


 なるほどじゃねぇー‼ 異常なのにも程があるって‼ ってか死ぬって‼ 絶対‼ 死ぬ‼

 思わず身震いしてしまったが、ルグアは浮いて来なかった……。


 ◇◇◇十日後◇◇◇


「ルグア……。帰って来ない……。ゲームオーバーしちゃったのかな?」

「アレンさん。大丈夫ですよ。そろそろクリアして帰ってくる頃だと思います」


 クリアして帰ってくる? 何をクリアして帰ってくるの? さっぱりわからん。


『戻ったぜ‼ 心配させて済まなかった。第四層開通したからさ。疲れも取れたし』


 後ろから聞こえたのはルグアの声。一体どういうこと? どういう仕組みなの⁈ っていうか、〝サブマッピング〟の意味いつ教えてくれんの⁉


「実はだな、私が入ったマグマ溜りは第三層のボスダンジョンに繋がっているんだ。こっちの方が回り道するより手っ取り早いからさ」


 そんな理由でマグマの中に入っていたのかよ‼ 普通に攻略しろよ‼ ってかHPどうなってんの⁉


「消費0だが……。どうした?」

「えっ⁈」

「耐火魔法のラピットファイアで永続バフかけたから、消費0」


 いつの間に魔法使ってたのかよ‼ 頭良すぎる。準備が良すぎる。完璧すぎる‼


「んじゃ第四層にいきますかね……。アレン。ルナも着いてくるよな?」

「もちろんです。アンゲーマー先生‼ どこまでも着いていきます‼」


 俺はルグアのフレンドリーさに嫉妬した。理由は友達がいなかったからだ。この人となら一緒にいられる気がした。

 階層のワープゲートから第四層に移動する。暑さも和らぎ、葉が揺れる音が聞こえる樹海だった。

 空が見えなくなるくらいの葉で、日の光が少し見えるだけの樹海。するとルグアが……。


「あぁ~。いつも通りにサブマッピングしようと思ったが、葉が多すぎて道が見えねぇ……」


 道が見えない⁉ どういうこと? 異常すぎて理解不能レベルなんですけど‼ 知りたいのに、全く入ってこないんですけどぉ‼

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