マンデーメンタル

第1話

「あー仕事行きたくない」

　友人に誘われ飯に来た。そして乾杯をするなり日曜日恒例の声が上がる。

「土日が楽しかった分、月曜が辛い」

「じゃあ土日もつまらなく生きたら。落差がなくて割と平気かもよ」

「そんな楽しみのない人生辛いって」

　友人がため息をついた。

「お前って月曜日辛そうじゃないよな」

「辛いは辛い。ただそれ以上に行って良かった。そう思えるごほうびを用意してどうにか乗り切っている感じだよ」

「ごほうび？」

「そう。今日帰ったら良い肉を食うとか。いい酒を飲むとか。あとは時間が許せばマッサージへ行くとか。好きな人と会うとか。月曜日に出勤してクソみたいな仕事を頑張ったごほうびを自分にあげるんだ」

「なるほど。馬を走らせるときに人参を吊るすみたいな感じか」

「そう。そのために頑張れるから。頑張るなんてしんどいんだ。しんどいことするからモチベーションが下がる。ならどうするか。そう考えたときにモチベーションを上げることを考えるわけ」

「なるほどな。たしかに自分のモチベーションは自分で管理しないとな」

「そうだね。モチベーションの管理も健康管理の一環。そう考えたら金を惜しまずしっかりやろうと思えるからおすすめだよ」

「勉強になった。俺も明日は帰ったら楽しみになりそうなこと考えてみるわ」

　友人がジョッキに残っていたビールを一息にあおる。

「とりあえず今日は明日のことを忘れるために付き合ってくれ」

「遅くまでは付き合えないよ」

「忘れることも健康管理の一環だと思うぞ。すいません！　生２つ！」

　彼の自棄酒に付き合わされて夜が過ぎていく。明日は健康管理の一環として休むことを選択しなければならないかもしれない。