第15話 気軽に言わない方がいい……
ユズキがウヅキの弟と知り、昼休みが終わってからの体育の授業……。
ランニング中、一緒に走るハルとウヅキ。
ウヅキ[ハァ……ハァ……ハル]
ハル[ハァ……ハァ……何?ウヅキ?]
ウヅキ[…………お前……弟……ユズキと知り合いだったんだな……ハァ……ハァ]
ハル[うん、ほら……ハァ……ゲーセンでやり方……教えてもらったって……ハァ……言ってたでしょ……ハァ……それが、ユズキ君だったの……ハァ]
ウヅキ[……ハァ……そっか……]
ハル[ハァ……ハァ……うん]
ウヅキ[……ハァ……ハァ……あとさ……さっき……ユズキに【運命】とか……言ってたけど……ハァ……ハァ……それ……あんまり……気軽に……言わない方がいぃ……と……ハァ……思うぞ……]
ハル[ハァ……ハァ……え……なんで?……]
ウヅキ[ハァ……ハァ……なんでって………………]
足を止めるウヅキ…………それに気付き……ハルも足を止め……振り返る。
ウヅキ[……ハァ……ハァ……いや、そんな風に言われたら……男は……たぶん……勘違い……すると思うかし……]
ハル[……ハァ……ハァ……勘違いって?]
ウヅキ[……だから……運命なんて言われたらッ自分のコト好きなのかもって!思っちまうってコト!……]
ハル[……あ……え……そ、そー……なの……かな?……]
ウヅキ[……そーだよ……だから、本当に好きでもねー相手にポンポンそー言うこと……言うなよ!]
ハル[……う……うん…………]
先生[こら~!そこ~!なーにサボってんだー!走れーー!]
ウヅキ[……ッ……走らねーと怒られるぞ]
ハル[……うん……]
それから、その日……2人は……会話すること無く帰宅したのだった。
帰宅後……ハルは自分のベッドでボーッとして横になっていた。
そこへ、ルイが。
部屋をノックする音。コンッコン。
ルイ[お姉ちゃ~ん、入るよ~]
ハル[はーい……]
ルイ[え?……お姉ちゃん……部屋の電気ぐらい付けなよ~真っ暗じゃんッ]
ハル[うーん……]
部屋の電気を付けるルイ。
ルイ[ん?どうかしたの?お姉ちゃん]
ハル[んーー…………まぁ……色々……]
ルイ[………………えい!]
ルイがベッドに飛び乗る。
ハル[わっ!何!?ビックリした~……急になに!?ルイ]
ルイ[別に~~~ただ、お姉ちゃんが元気無いから、飛び乗っただけ~~~]
ハル[な、なにそれ…………]
2人はベッドに横になったまま、ルイは天井を……ハルは横を向いたまま動かなかった。
ルイ[……何かあったでしょ]
ハル[………………うん…………まぁ…………]
ルイ[…………誰かに嫌なことでも言われた?……]
ハル[……そんなんじゃ……ない……]
ルイ[じゃぁ……どうしたの?]
ハル[………………………………今日さぁ…………ウヅキの弟のユズキ君が、教室に来たんだけど……その、ユズキ君って、前にゲーセンで色々教えてくれた人だったの………………あたし……もう会えないかもって思ってたから……嬉しくて、思わず【運命】だね~……なんて気軽に言っちゃったの……そしたら、その後……の体育の時にね……ウヅキから……【運命】なんて気軽に言わない方がいい……って言われて………………それで……]
ルイ[……それで?]
ハル[……それで……なんで?って聞いたら……そんな風に言われたら、「男はたぶん勘違いすると思うから……本当に好きでもない相手に……ポンポンそー言うこと言うなよ!」……って……言われて……ウヅキ……何か怒ってた……と思う……]
ルイ[……ふーん……なるほど…………確かにね]
ハルがバッと起き上がりルイの方を見る。
ハル[やっぱそーなのかな!?]
ルイもハルの方をチラッと見て。
ルイ[そりゃーそーでしょうよー]
ルイはムクッと起き上がりハルの目を見て話す。
ルイ[いい?お姉ちゃん、例えばね、お姉ちゃんが反対の立場だとして、めちゃくちゃイケメンで優しくて、感じが良くて、笑顔が素敵で、誰からもモテる様な人に「【運命】みたいだね」なんて、笑顔で言われたら……どう!?]
ハル[……どうって……]
ルイ[ちょっとは自分に気があるのかな?ってならない?]
ハル[……それは……]
ルイ[なるでしょ!普通!]
ハル[……(確かに)……はい……]
ルイ[でしょ~、だ・か・ら・田口君はお姉ちゃんに、そう言ったんだよ!]
ハル[……に、にしても、何でウヅキはあんなに怒ってたんだろ……]
ルイ[……はぁ~……それは!……]
ハル[それは?]
ルイ[…………(ダメだ……これ以上余計なコト言って田口君との間がギクシャクしちゃうのもアレだし……)それは…………お姉ちゃんのコト心配して…じゃない?……]
ハル[……そっか…………そー……だよね……ウヅキ……いい奴だし……心配して……怒ってたのか…………わかった!明日、ウヅキに謝る!そして、仲直りする!]
ルイ[……うーんまぁ……謝る……うーん……まぁいっかッそーだね(笑)(やっぱお姉ちゃんは単純だなぁ(笑))]
ハル[うん!だって、せっかくウヅキと仲良くなれたのに、気まずいままなんて嫌だもんッ!]
ルイ[フフフッだね~]
ハル[……なんか、そー思ったら急にッお腹空いてきちゃった(笑)]
ルイ[あーッそーそーッご飯だからお姉ちゃんのコト呼びに来たんだった(笑)]
ハル[ちょっと~それ先に言ってよね~(笑)]
ルイ[あはははッゴメン、ゴメン(笑)…………って!お姉ちゃんが落ち込んでたからッ遅くなったんでしょうが!]
ハル[アレ~?そーだっけ?(笑)]
ルイ[も~~なにそれ~~]
ハル[ウソウソ(笑)ゴメンねッルイちゃん!ありがとう~お姉ちゃんのコト心配してくれてッ(笑)チューしてあげる(笑)]
ハルはルイに抱き付いて、ほっぺにチューをした。
ルイ[ちょッ!お姉ちゃ~ん何するのよ~!]
ハル[フフフッ照れるなッ照れるなッ妹よッ(笑)なーんてね(笑)さぁ~早く行こう~(笑)]
ルイ[も~~(笑)]
こうして、取り敢えず、ハルの気持ちも晴れウヅキと仲直りしようと決心したのであった。
そして、次の日。
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