第13話 友達だもん!


週が明けた月曜日……。


ハル[やばーーい!遅刻遅刻!]

ルイ[ハァ、ハァ、ハァ、お、お姉ちゃんッ……もう……無理……ハァ、ハァ]

ハル[何言ってんのよ~!頑張ってよ~ルイ~ハァ、ハァ、もう……少し……ハァ、ハァ……だから……]


ハルとルイは昨夜、話し込み過ぎて……朝寝坊してしまったのだ。

そして、何とかギリギリ間に合った2人。

下駄箱で。


ハル[ルイ!それじゃぁね!]

ルイ[ふぁ~い……じゃぁねー……(お姉ちゃん……どんどけ体力あるのよ……)]


そして、教室へ入るハル。


ハル[(何とか間に合った!……ギリギリだから後ろから入ろう……1番最後だろうなぁ……)]


教室の戸を開けるハル。ガラガラ。

案の定1番最後だったため、クラス全員がいた。

入って直ぐ、目の前にはウヅキが……ウヅキは廊下側の1番後ろの席のため1番最初に目が合った。


ハル[(ウヅキ~!)お、おはよぉ!ウヅキッ寝坊しちゃた(笑)]

ウヅキ[!……お、おはよー……]


ハルは、あれ~?名前呼んでくれないのかな?と言う顔でニコニコとウヅキを見つめる。


ウヅキ[……ハ……ハル……はは……]


名前を言ってもらい、満足そうなハル。


ハル[うんッ!エヘヘ(笑)]

ウヅキ[……ッ……]


恥ずかしそうなウヅキに気付きもせず、ハルは席に着く。


ハル[(うん!うん!良い感じ~友達っぽいぞ~へへへッ(笑))]


そんなやり取りに周囲は……小声で。


女子A[え、今、長谷川さん田口君の事下の名前で呼んでなかった?]

女子B[呼んでたッ呼んでた!え?とうとう付き合ったのかな?]

男子A[嘘だろぉ~!]

男子B[田口のやろ~何か顔赤くなってやがるしッ]


周囲のザワつき若干気付いたハルだったが。


ハル[(ん~?何かザワザワしてる?まぁいっか(笑)ウヅキと何話そっかなあ~朝から友達感ある挨拶だったと思うしッ順調!順調!(笑))]


そこへ、カオルが現れた。


カオル[ねぇ、ハルッ]

ハル[(友達ッ友達ッ(笑)……とも……だち……)げッ]

カオル[ちょっと~「げッ」って何よ~!友達に対してッもぉ~]

ハル[あははは…………(つい……ポロリと)……な、何かな~……]

カオル[田口君と付き合ったの?]

ハル[……え?]

周囲の皆[(!!ストレート!!た、確かに気になってたけど……)]

カオル[「え?」って、だってさ~デートしたんでしょ?それに、急に下の名前で呼び合うなんて、付き合ってたとしか思えないじゃん]

周囲[(ごもっともです!……)]

ハル[え、え、……いや……デ、デートじゃないし……遊んだり買い物しただけだし……]

カオル[それ、デートでしょ(笑)]

ハル[ち、違……そ、それに、と、友達同士で!名前で呼び合うのなんて……ふ、普通じゃんッ!]

カオル[……ま、まぁ~男女で下の名前で呼び合ったりもするけど……じゃぁ付き合っては無いんだ?]

ハル[そ、そーだよッ、ウ、ウヅキとは友達だしッ]

カオル[ふーん……そっか……ならいっかッ(笑)じゃぁ~またね~ハルッ(笑)]

ハル[(……なんだったんだ?……)]


そうして、昼休み。


ハル[(あ、そーだ!ウヅキと一緒にお昼食べよっかなッ(笑)友達なんだしい~よねッ)]


ハルはウヅキの所へ……。


ハル[ウヅキ~一緒にお昼たべない?]

ウヅキ[え?……あぁ……べ、別に……いぃけど]

ハル[……何か……歯切れ悪くない?嫌ならいぃよ]

ウヅキ[いや!嫌ではない……けど……]

ハル[けど?……なに?]


ウヅキがチラッと周りを見る。

その目線を追うように、ハルも振り返り周りを見る。


ハル[え…………]


クラス全員がこちらを見て……静まり返っていた。

そして……。今度はガヤガヤと小声で。


女子A[やっぱり~あの2人付き合ってるんじゃん(笑)]

女子B[だよね~でも、美男美女カップルでお似合いじゃない?(笑)]

女子C[うん!うん!応援しよう~(笑)]

カオル[…………]

男子A[……だよな……やっぱり~]

男子B[くそ~……]

男子C[お、俺は2番目の彼氏でも全然いいけどな(笑)]

男子D[お前~最低だな(笑)死ね!(笑)]


ハル[……うッ…………(ナゼこんなことに……)]

ウヅキ[……なぁ?(笑)……勘違いされて……お前……いや、ハルが困るだろ(笑)……だから……別で]

ハル[困らない]

ウヅキ[え……]

ハル[あたしが皆に言うから!]

ウヅキ[いや……え?]


すると、ハルは皆の方を見て大声で……。


ハル[あ!あたしとウヅキは友達だもん!そ、そぉ言うんじゃないし!だから!名前で呼んだり!一緒にご飯食べても良いじゃん!………………です……←【最後は小声】…………い、行こ、ウヅキッ……]

ウヅキ[え……あ……あぁ…………わッ]


ハルは顔を真っ赤にさせて、ウヅキの手を取り

教室を出ていった。そのまま、屋上へと行く階段を上るハルとウヅキ。


ウヅキ[お、おいッ落ち着けって]

ハル[…………]


その言葉にピタッと足を止めるハル。


ハル[…………ゴメンね……何か……逆に嫌な思いさせちゃった……ね……]

ウヅキ[いや……別に俺は]

ハル[……だって……嫌だったんだもん!……せっかくウヅキと仲良くなれたと思ってたのに!……コソコソ……皆から言われるの………………]


下を向くハル。

ウヅキは頭をかきながら。


ウヅキ[ん~~まぁ~~でもさ、高校生なんて、皆そんなもんだろ(笑)誰と誰が、仲が良いとか、誰と誰が、付き合ってる……とか……皆そー言うのが楽しい年頃なんだろ(笑)……でも……さっきのハルは……カッコ良かったぞッ(笑)何か聞いててスカッとしたわッ(笑)はは]

ハル[…………あ、ありがとう……]

ウヅキ[おう!(笑)つーか、腹減った(笑)飯食おうぜッ]

ハル[……う、うん!だね(笑)]


そのまま2人は屋上でお昼を食べる。


ハル[そー言えばさっきの]

ウヅキ[ん~?モグモグ]

ハル[ウヅキの「皆そー言うのが楽しい年頃なんだろ」って、何かおじさんみたいな言い方だった(笑)]

ウヅキ[ブーッ!……ゲホッ!ゲホッ!]


むせるウヅキ……。


ハル[あははは~大丈夫?(笑)]

ウヅキ[ゲホッ…………お、お前なぁ~……でも……確かに……(笑)]

ハル[あーーッ何か~ウヅキと一緒に居るとね~楽しいッ(笑)フフフッ]


その言葉にウヅキはキョトンとした顔になっていた。


ハル[ウヅキ?]

ウヅキ[……あ……いや(笑)それは、俺も同じだなって思ってさ(笑)ハルと居ると俺も色んな意味で飽きねーもん(笑)]

ハル[ん~~ッそれってどー言う意味ぃ~?]


ハルが眉間にシワを寄せる。


ウヅキ[はははッ怒るなよ(笑)良い意味でだよ(笑)]


ハルが眉間のシワをパッととき……。


ハル[そッ!なら良いですけど~フフフッ(笑)]

ウヅキ[あ、つーか……そろそろ時間じゃね?戻らねーとな]

ハル[あ、そっか…………うッ…………戻りづらい……]

ウヅキ[ん~まぁ……(苦笑)だと思うけど……大丈夫だ、俺が付いてる!もしも、ハルに何か言ってきた奴がいたら、俺が やっつけてやるからさ!(笑)]

ハル[……う……うん……わかった、ありがとうウヅキ……あ、でも、やっつけてやるはダメだよ]

ウヅキ[ははッ、わかった(笑)まぁ……でも……大丈夫だろ今のハルは……皆から……]

ハル[ん?……なに?]

ウヅキ[いや、何でもねーよ(笑)ほら、行くぞ]

ハル[う、うん]


そして、教室へ戻る2人。

戸の前で、ゴクリと唾を飲むハル。

ゆっくりと戸を開けるハル。

ガラ……ガラ……。


ハル[(……うッ……み、皆見てる…………はぁ~……ヤラカしちゃったからなぁ……)]


すると。


女子A[長谷川さん!]


ビクッとするハル……。


ハル[(ほら……来た~……)は、はい……]


ゾロゾロと皆がハルの前に集まってきた。


ハル[(きゃ~~!何!?何!?リンチ!?殺されるぅ~……)]

女子A[長谷川さん!田口君……さっきはゴメンなさい!]

女子B[ホントにゴメンね………]

ハル[…………え?]

女子C[あたし達……面白半分で……長谷川さん達の事……からかってしまって……嫌な思いさせて……ゴメンなさい……]

ハル[え……]

男子A[ホントだよな~まったく(笑)]

女子A[あんた達もでしょうが!ったくッ]

男子B[俺は最初からッそんなわけねーって思ってたけどね(笑)]

男子C[俺も俺も!(笑)]

ハル[……みんな…………]

ウヅキ[な?大丈夫だったろ(笑)]

ハル[……うん…………みんな、あたしの方こそ……大声で怒鳴って……ゴメンなさい……]

女子A[うぅん!長谷川さんは悪くないから!だから、]

男子C[だから!俺と付き合ってください!]

女子B[お前は黙れぇ!]

ハル[……あ…はは…(苦笑)]

女子A[だから、コレからも仲良くして欲しいです]

ハル[…………う、うん!こちらこそ(笑)]


こうして、何とか円満に事は終えたのだった。

……のだが……。

昼休みも終わりかけた頃……。


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