第11話 ……えーと…………ココは……


田口との約束の土曜日。


ハル[(よし、前の日にも田口君に確認したしッ……○○駅前に10時……今、出れば10分前には着くかな)]


ハルはチラッと鏡を見ながら。


ハル[(だ、大丈夫かなぁ……?服……変じゃないよね……………それに……顔……………ルイに化粧しなくていぃって言ったのに~~無理やりされるし…………あ~もうッ何か気合い入れてるみたいじゃんッ!デートじゃなくて、お礼って事にしたのにぃ~……………………あ~!時間が無いッ出なきゃ)]


ハルは待ち合わせの○○駅前へ急いで向かった。

近くまで来たハルは腕時計を見る。


ハル[(9時45分……ふぅ~……なんとか時間前に着いて良かったぁ~…………まだ、居ないよね?)]


ハルは辺りをキョロキョロとする。

すると、既に田口が駅前で待っていた。


ハル[あ!(もう、居るしッ!早ッ)]


ハルは田口の方へと急いで駆け寄る。


ハル[た、田口君ッ!おはよ~!ごめんねッ待ったぁ?]

田口[………………………おぉ………おはよう、いや、全然……]

ハル[(へ?今の間は?……)……そ、そっか(笑)なら良かった、はははッ……じゃ、じゃぁ行こっかッ]

田口[あぁ……]


2人はゲームセンターへと歩き出した。


ハル[………(田口君……全然、あたしの私服姿見ても、何の反応しなかったなぁ~………………って!べ、別に、そんな事どーでもいぃじゃん!……何意識してんの!……意味分かんない……)]

田口[………………]


会話のない2人……。


ハル[……(めっっっちゃ気まずいんですけど~~!なにか会話を……)今日も暑いね~ははは…]

田口[だなー………………]

ハル[(はい、会話終了……)]

田口[………………]


すると、今度は田口から会話を切り出した。


田口[…………そー言えば]

ハル[な、なに?(笑)]

田口[…………いや、何で……今日……俺の事誘ったのかなぁって……]

ハル[あ、あ~~!それね(笑)……えーーとね……(何だっけ?頭!真っ白!…………あ!そう!)こ、この前、田口君に助けてもらったでしょ?そのお礼的な……あははは………………ダメ…………だっかなぁ?…………]

田口[……いや……全然]

ハル[そ、それなら良かったッあはは……]

田口[……でも、何でゲーセン?]

ハル[(ですよねーー!……ここは正直に……)じ、実は……お礼もなんだけど……ホントの所、田口君と、もっと仲良くなりたかったんだ……だから、考えて思い付いたのが……自分の好きな……ゲーセンだったの(笑)単純でゴメンね……ははは……]


その回答に対して田口は……。


田口[プッ……なんだそれ(笑)お前、小学生みたいつーか……男みたいだな(笑)]


そう言われた瞬間、ハルは思わず立ち止まって。


ハル[ホント!?そっかッそっか~(笑)男みたいかぁ~フフフッ(笑)]

田口[へッ?(笑)何で喜んでんの?(笑)]

ハル[えッ…………あはははッ……だ、だよね~(笑)(やっちまった~~なぜ喜んだのか自分でも意味分からん!……元男の性かぁ?……はぁ~……) ]

田口[ははは(笑)変なやつッ(笑)ほら、暑いし早く行こうぜ(笑)]


そう言うと、田口は笑顔を見せた。

そんな、田口の笑顔を見たハルは一瞬……胸がドキッとするのであった。


ハル[う、うん……(な、なんか……今……胸の辺りが…………?)]


そして、ゲーセンセンターに着く2人。


ハル[あ~~涼しい~~生き返る~(笑)]

田口[ふぅ~……だなぁ]

ハル[そーだ、田口君ッってゲーセン来たら何やるの?好きなゲームとかある]

田口[まぁ……大抵……何でも出来るけど……]

ハル[ん?……何でも出来る?……]

田口[あぁ…………何か問題あるか?]

ハル[……田口君ってもしかして……ゲーマーなの?……]

田口[……ま、まぁ……そこそこやる……かな]

ハル[ホント!?そーだったんだッ!え、え、じゃぁさ!じゃぁさ!音ゲーとかも得意!?]

田口[あ……まぁ音ゲーは特に好きだけど……]

ハル[まぢ~(笑)あたしも音ゲー好きなの!(笑)一緒にやろ~ッ!]

田口[あ、あぁ別にいぃけど]

ハル[行こう!行こう!(笑)]

田口[わッ!!……]


ハルは、田口が自分と同じゲーム好きと言う事にテンションが上がり、しかも、同じ音ゲーが好きと言うこともあり、嬉しくなり勢いで田口の手を自分から引っ張っていた……音ゲーのコーナーへ向かう2人。


ハル[さぁ!やろ~!(笑)太鼓の達人からでいい?(笑)]

田口[あぁ…………ところで……]

ハル[なに?]

田口[……手]

ハル[手?…………あッ!……ご、ゴメンなさい]


パッと手を離すハル。

ハルの顔と耳が赤くなる。


ハル[あはははッ…(何やってんのぉ~あたし~!)]

田口[まぁ俺は別に良いけどな(笑)]

ハル[え?……さ、さぁ!や、やろ~(笑)(俺は別に良いけどな??え~~何?どういう意味~!?それに、あたしは何を動揺してるの~!)]


そして、ゲームを始める2人。


ハル[(よし!よし!良い感じ~!)]


パッと横を見るハル。


ハル[(え~~!田口君!?やば!うま?え、え、あたし負けちゃう?)]


ゲーム終了……。

結果は僅差ではあったが田口が勝利した。


ハル[…………田口君………ガチで強いじゃん……]

田口[いや……普通だろ?]

ハル[……(カッチーンッ……今まで誰にも負けたこと無いのに~)も、もう一回ッ勝負で!]

田口[……まぁいいけど]


第2ラウンド。

カンカンカン!

ゲーム終了~。

田口の勝利。


ハル[(くッ……また負けた……)……ッ……じゃぁ~次!今度はポップンミュージックで勝負!]

田口[はいよ(笑)]


【ポップンミュージック】とは、上から落ちてくるノーツに従って、タイミング良くボタンを押すことで加点されていくという、シンプルなルールのゲーム。


ハル[(これなら~!)]


カンカンカン!

ゲーム終了。

田口が又しても僅差で勝利。


ハル[(……また……負けた……)つ、つぎぃ~!]

田口[あ~いいぞいくらでも(笑)]

ハル[……ッ……(くっそぉ~余裕かましてるし~ッ)]


結局、次々とゲームを変えていったが、ハルが勝てることは1度もなかったのだった。


ハル[はぁ、はぁ、はぁ…………(初めて……こんなにボロクソにやられての……)]

田口[……お、おい……大丈夫か?]

ハル[…………田口君…………上手すぎ!てか、強すぎ!どんだけやってたの!?絶対にある程度とかのレベルじゃないしッ!]

田口[んー……まぁ……お前と…………また、同じゲームしたかったから]

ハル[……え?……どう言う事?……]

田口[……いや…………その…………ガキの頃……まだ、仲良かった頃つーか……まぁその時、お前がゲーム好きだから……よく誘われて……一緒に遊んでたんだよ。それきっかけで……俺もゲームが好きになって……でも、お前と仲悪くなってからゲームもしなくなってたんだけどさ……でも、ある日、ゲーセンでお前がゲームやってたの見掛けて……それを見て……勝手なんだけど……いつか……仲直り出来た時に、一緒に出来たら…………お、お前が……1人ぼっちでつまんなくねーよーに…………と思って…………だけど、何のゲームが好きかなんて聞けねーし……だから、片っ端から出来るようにだけは……しといたんだ……………………た、ただ!それだけのコトだしッ……俺が勝手にやってた事だから]


そう言うと田口は顔を赤くして横を向いた。


ハル[田口君……(田口君、ずっとあたしと仲直りして、もっと仲良くなりたかったんだ…………その為に……いつかの為だけの為に……1人で頑張ってたんだ…………あたしの為に……)あ、ありがとうッ田口君!]

田口[……別に……俺が……お礼言われる立場じゃねーし……そもそも……お前が1人になるような原因作ったの俺だし……]

ハル[……そーかもしれないけど!……その気持ちが嬉しくて!……あたしは……今までの記憶が無いから、前のハルの気持ちは、分からないけど……でも!きっと、前のハルでも!田口君に同じ事を言ってたと思うのッ……だって!田口君がこんなにもハルの事思ってくれてたってことでしょ!?だから嬉しいの!]


そうハルが田口に言うと……田口は驚いた顔をしてハルの方を見た……目と目が合う2人……。


ハル[(……ハッ!…………あたしは何を言ってるだ!……ハルの事を思っててくれて嬉しいって……それって自分の事じゃん!!……え~~い笑って誤魔化す!)あははは…………ッ…………あ!そ、そーだ!田口君ッ体動かすゲームも出来る?]

田口[……あ……あぁ……出来るけど]

ハル[じゃぁさぁ、ダンスラッシュって分かる?]

田口[あぁ……まぁ……]

ハル[あ、あたしもこの前、やり始めたばかりなんだけど、やらない?]

田口[……まぁ……いいけど]

ハル[じゃぁ行こッ!(ひぃ~~何とか誤魔化せた~あ~恥ずかしぃ……)]


2人はダンスラッシュの場所へと移動した。


ハル[(あ、そう言えば……ユズキ君って……まぁ居ないか(笑)また、会いたかったなぁ~)ねぇやったことあるコレ?]

田口[……んー……まぁ]

ハル[(ん?何か鈍い反応だな?まぁいぃか)じゃぁ始めよ~……アレこれどーやって設定するんだろ?]

田口[お前やった事あるんじゃねーの?]

ハル[……うん、やった事はあるんだけど~……この前は……設定してもらってやったから]

田口[……誰に?]

ハル[……え…………んーと……何か……その時は……無理やりと言うか……誘われて……知らない人とやったんだよね……あはは(笑)]

田口[……それ……男?]

ハル[……う、うん]

田口[……ふーん]

ハル[(え?……何?……いけない事言った……?何か機嫌悪くなってない?)…………]

田口[……設定……俺がやる……簡単なのでいいの?]

ハル[……う、うん……じゃぁ最初は簡単で……(え~?明らか……機嫌悪いよね?……)]

田口[……ほら、始まるぞ]

ハル[あ、はいッ……]


そして、ゲームスタート。


ハル[(おッ!やっぱコレ楽しいッ田口君は?)]


チラッと田口を見るハル。


ハル[(え?普通に上手くね?……)]


ゲーム終了。

結果は田口の勝ちだった。


ハル[え?え?……田口君……コレも得意なの?]

田口[……まぁ……得意つーか……ここのハイスコア……俺だしな……]

ハル[………………え?え~~~!!そ、そーなの!?い、言ってよ~~!!何で隠してたの!?]

田口[……いや、別に言うほどの事じゃ無いだろ……]

ハル[いやいやいや!……(撃沈だわ~コレじゃ何ひとつ勝てないわ……ははは……)]

田口[まぁ……でも、お前が本気だしたら、わかんねーけど……だって今本気じゃ無かったろ?]

ハル[……(た、確かに……実は…………スカートだから……この前の事もあるし……(パンツ見えたやつ)気になって……でも、勝ちたい…………あのターンしなければ……大丈夫かも……くそ~このまま負け続けるのは嫌だ…………)分かった……本気出す!田口ッ!1番難しいので勝負!]

田口[……いいのか?]

ハル[もちろん!…………それと何か掛けない?(笑)]

田口[なに?]

ハル[……それじゃ~ねぇ~(笑)負けた人が、勝った人の言うことを1つ聞くってのはどぉ?(笑)]

田口[……ふッ……あ~いいね(笑)それで行こう]

ハル[よーし!絶対負けないから!(笑)(よし、自分を追い込んで気合い入れた!……フフフッ)]


そして、ゲームスタート。


ハル[よ、ほ、ほ、(まだまだ!)]

田口[……ッ……ッ(思ったよりやるな、コイツ……)]


そして、難しい箇所に来た時。


ハル[(くッ……どーする!?次のステップ!ターンしないと追い付かない!……でも!ターンしたら絶対パンツ見える気がする!……でも~負けたくない~あ~も~!)]


ハルは負けたくない一心でターンをした。

その瞬間……田口の目に止まった。


田口[……なッ!]


田口はハルがターンをした瞬間……ヒラヒラと浮かぶスカートの中の……パンツが目に飛び込んできた……。

動揺した田口は……。


田口[……ッ……(やべッ)]


そして、ゲーム終了。

結果は…………ハルがギリギリの差で勝ったのだった。


ハル[はぁ、はぁ、はぁ、か、勝った~~!(笑)初めて田口君から勝った~~エヘヘへッ(笑)]

田口[……はぁ、はぁ、…………ッ…………だ、だなぁ(笑)]

ハル[え?本気でやったんだよね!?わざと負けたとかじゃないよね!?]

田口[あぁ……本気だったって(笑)]

ハル[まじ~~(笑)いや~嬉しいなぁ~(笑)]

田口[………………ただ…………]

ハル[え?……なに?]


田口は少し顔を赤くして。


田口[お、お前……コレやる時は……スカートじゃねーほうがいぃ……ぞ……]

ハル[え……それって……どう言う………あ!……た、田口君……パ、パンツ……見た……?]

田口[と言うか……見えた……]

ハル[ぐッ……やっぱりー!…………(だーーやっぱり見えてた~~ついつい負けたくなくて……やっちまった~~!)う~~~……]


顔を赤く染めるハル。


田口[ま、まぁ……でも勝ちは勝ちだからな……お前の言うこと聞いてやるよ]

ハル[あ……そーだった……そーだったね!(笑)うーん……それじゃぁ~なんにしよ~かなぁ~(笑)………………う~ん、今思い付かないや(笑)…………そ、そーだ田口君、もうお昼だし、食べに行かない?妹が、美味しいお店調べてくれてたんだけど……どうかな?]

田口[あぁ……別に時間ならいくらでもあるし、腹も減ったし、全然どこでも]

ハル[よしッ(笑)じゃぁ~決まり!早速行こう~]


こうして、ハルは田口にゲームで勝つことが出来、気分もスッキリした所で、食事に行く事となった。

そして、食事中。


ハル[田口君ってさ~兄弟とか居るの?]

田口[ん?弟が1人]

ハル[へ~そうなんだ~じゃぁウチと一緒で2人兄弟なんだね(笑)仲良いの?]

田口[まぁ……普通……でも、そんなに話しはしないかな……]

ハル[ふ~ん、(やっぱ男兄弟だと、どこもそんな感じなんだなッ)ウチはね~仲良しだよ(笑)ただ、いっつもルイが、お姉ちゃん?アレやった?コレやったとか~凄く心配性で(笑)だから、どっちが、お姉ちゃんか分からないよ~ははは(笑)]

田口[……フッ]

ハル[フフッおかしいよね~(笑)]

田口[あ、いや、昔のお前も元々そーだったよ(笑)]

ハル[え?]

田口[お前は、目先の事が気になると、直ぐに行動する所があったから妹がいっつも心配してたな~て(笑)……だから、今と昔……全然変わんねーよ(笑)記憶が無くなってお前は、今の自分は本当の自分じゃないとか思ってるかもしれねーけど……お前は……お前だ(笑)俺はそんなお前がずっとす……………………いや、何でもない……]

ハル[ん?何?]

田口[なんでもねーよッそれより、この後予定とかあるか?]

ハル[え?こ、この後……特には……]

田口[……もし、お前、時間大丈夫なら……ちょっと付き合ってくれねーか?]

ハル[あ、え?う、うん大丈夫だよ(どこ行くんだろ?)]


食事が終わり、田口に付き合う事になったハル。行き先は……。


ハル[……えーと…………ココは……]


ラブホ街だった……。



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