第9話 意外とカワイイ


数日休んだ朝……

目を覚ましたハル。


ハル[(そろそろ学校に行こうかな……気持ちも落ち着いてきたし……それに……田口君……大丈夫だったかなぁ……あたしのせいで……停学なっちゃったみたいだし……ちゃんとお礼も言わなきゃ。よし……学校行こう)]


ハルはリビングへ行った。

ガチャ……戸を開けるハル。


ハル[おはよー母さん]

母[あ、ハル、おはよ~今朝はどお?]

ハル[うん、だいぶ落ち着いた、今日から学校に行こうと思って]

母[そぉ、わかったわ、学校へ連絡しておくわねッ(笑)]

ハル[うん、ありがとう]


そこへ、ルイもやってきた。


ルイ[おはよ~お姉ちゃん、大丈夫?]

ハル[うん、もう、大丈夫、今日から学校に行くね]

ルイ[そっか、大丈夫なら良かった~本当に心配したんだから……]

ハル[うん……ごめんね…………]

ルイ[事件もだけど…………また、心を閉ざした……お姉ちゃんに戻っちゃうんじゃないかって……]

ハル[(……そっか……そーだよね……また、心を閉ざしたハルに戻るって事は……ルイも悲しむって事だもんね……)大丈夫だよ、ルイあたしは戻らないから!ね(笑)]

ルイ[……そっか……うん!良かった(笑)]

母[ほら、遅刻しちゃうから~2人共早く準備しなさいッ(笑)

ハル、ルイ[はーーいッ(笑)]


そして、数日ぶりに登校したハル。

教室に入ると……。


女子A[長谷川さん!大丈夫だった!?]

男子A[めっちゃ心配したよ~!俺]

男子B[俺も!俺も!]

女子B[聞いたよ~!大変だったね~]


ハルの周りに集まるクラス生徒達。


ハル[あ、う、うん……だ、大丈夫だよ、ありがとう……あはは]


そして、朝のホームルーム。


担任[え~今日から、長谷川さんと田口君が登校し始めましたが、2人共大変だったと思うし、思い出したくないとも思いますので、あまり事件の事は聞かないであげてください。いいですね。では、ホームルームを終わります。]


生徒達[はーい]

ハル[(良かった……これで取り敢えず、あまり聞かれる事はないだろう……田口君も今日から登校し始めたんだぁ……あ、そうだ)]


休み時間。

田口の方へ行くハル。


ハル[田口君、おはよう]

田口[お、おう…………あの後……大丈夫だったか?]

ハル[うん、田口君のお陰でなんとかねッあはは(笑)]

田口[……そっか……良かった……]

ハル[……うん……]

田口[…………]

ハル[……(会話が続かない……えーと……そーだった)あ、ちょっと待っててね]


ハルは自分のロッカーへ行き紙袋を持ってきた。


ハル[あの、コレ……この前借りたジャージ、凄く助かりましたッありがとうね]

田口[あー……うん……わ、悪かったな……汗臭かったろ……]

ハル[全然ッそんな事をないよッむしろ良いニオ……(ヤバ……コレ言ったら変態だ~!……田口君の匂いが良い匂いで良かったなんて……)良い感じの肌触りだったよッあはは(笑)]

田口[……いや、同じジャージなんだから肌触りは皆同じだろ?]

ハル[あははは(笑)だ、だよね!(何言ってんだろ~あたし……)]

田口[……それより、俺なんかと話してると……皆から嫌われるぞ]

ハル[…………え?…………]

田口[……いや、たぶん、俺皆から嫌われてるし……]

ハル[……田口君……]

田口[……ん]

ハル[何言ってんの!?]

田口[え……]

ハル[田口君はあたしの恩人だよ!?そんな事あたしは気にしない!それに、皆だって田口君があたしを守ってくれたって分かってるんだよッ?そんな田口を皆が嫌うわけないよ!]

田口[……いや、でも……]

ハル[はぁ~……でも!じゃないでしょ!]

田口[え?あ……はい]


そんなやり取りを聞いて周りが、ヒソヒソと話していた。


女子C[見て見て(笑)あの、田口君が長谷川さんに圧されてるよ~]

男子A[ウケるわ~田口があんなに弱々しく~(笑)]

女子A[でも、田口君って意外と良い人なのかもね(笑)]

男子B[いや、だから言ったじゃん~田口は勘違いされやすいだけで良いヤツだって(笑)]


ハルが見かねて、他の女子と男子を呼んできた。


ハル[なぜか……あたし頑張っちゃってる……でも、田口君をこのままにしておけないって思ったから!)あ、あの、田口君の事どう思います?]

男子B[え~田口は勘違いされやすいだけで、良いヤツだと思うよ(笑)男子は皆そー思ってるよッ]

女子A[うん、あたしも、田口君、怖い人ってだけかなって思ってたけど、長谷川を身体張って助けたんでしょ?聞いてから、凄く印象変わったよ(笑)]

ハル[ほらね(笑)(やった~良かったッ)だから、田口君!大丈夫だから!ね(笑)]

田口[…あ、あぁ…わかった…ありがとな………………ハル]

ハル[……え?…………(今、あたしの名前……)今……田口君……あたしの……名]

田口[わ、分かったから……あと、行ってくれ]


田口は顔が赤くなり……恥ずかしそうに横を向いた……。

ハルはキョトンとした後。


ハル[フフフッ(耳まで赤くなってる(笑)意外とカワイイ面があるんだッ)うん、分かったッ]


この日を境に、クラスの皆が抱いてた田口への印象が変わったのだった。


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