第6話 メンドクサイ奴と友達になってしまった……


それから、更に1ヶ月程経った。

ハルは部屋で制服に着替えていた。


ハル[(アツ~……朝から、この猛暑……もう、7月だもんな~まぁでも男の時よりは~制服スカートだし、下は涼しいから良いんだけど…………ただ……胸のとこが…………蒸れる…………)]


コンコン。

部屋の戸をノックする音。


ルイ[お姉ちゃ~ん早く~]

ハル[はーーいッ]


姉妹、仲良く一緒に登校する。

毎日の日課だ。


ルイ[はぁ~……暑いね~……お姉ちゃん]

ハル[……うん……朝から気温上がり過ぎだよね……]


ハルが制服のブラウスをパタパタさせながら、歩いていた。


ルイ[ってかッお姉ちゃん!ボタン開けすぎ~見えるよ?]

ハル[え?うそ?]

ルイ[そりゃ~そんなに開けて、パタパタさせてれば、普通に見えちゃうよ~(笑)]

ハル[だって~~暑いんだもん……]

ルイ[だってじゃなーいッ]

ハル[……だってぇ……(胸が大きくて、余計に蒸れるんだもん……そんな事をルイに言えない……)あッ……だから……なんか……最近視線が余計気になるのか……]

ルイ[も~~お姉ちゃんッ!もう少し、自覚もってよ~お姉ちゃん可愛いんだし、そんな事してたら、男子だってジロジロ見るだろうし、それに暑くなってきたんだから、変質者だって出るかもなんだからねッ!き・を・つ・け・な・さ・い!]

ハル[……うん……(確かに……そうかも……男だった時の気持ち忘れかけてた……そりゃージロジロじゃなくても……見ちゃうよな……それに……変質者は……怖い!)……き、気を付けます!]

ルイ[よろしいッ!(笑)……まぁ、それにしても暑い……]


そんな会話をしながら、2人は学校へと向かった。

教室に入るハル。


女子A[おはようッ!長谷川さん(笑)]

ハル[あ、おはようッ(笑)]

男子A[おはよう~ハルちゃ~ん(笑)]

ハル[お、おはよー(笑)]


ハルは男女問わず、相変わらずの人気ぶりだ。


ハル[(ふぅ~……暑かった~………………って教室内も暑いけど……)]


ブラウスをパタパタさせるハル。


ハル[……アツ~…………あ(コレか……)]


視線を感じたハル。


ハル[……(う~~パタパタやりたいけどぉ~我慢…………また、忘れてやりそうだけど……今は一応ルイにも言われたし……あ、今日は体育でプールの授業があるんだっけ!やった~涼めるぅ~)]


ハルは、体を動かすのが得意だ。

なにせ、神様から身体強化されてあるので。

そして、体育の授業。

体育の時は、1組と4組が合同で授業を受ける。


女子A[長谷川さん早ーい!(笑)]

ハル[プファッ(一着ゴール!あー楽しいッ(笑)……耳に水が入った……)]


ハルは頭を傾け、トンットンッと頭を軽く叩き、少し跳ねながら耳の水を出した。

ハルの胸が揺れる。


カオル[長谷川さんスッゴいね~(笑)めっちゃ早かったよ~]

ハル[えーと……(誰だっけ……?)]

カオル[小野だよッ、小野カオルだよ(笑)]

ハル[小野さん……(顔と名前覚えるの得意じゃないからな~)]

カオル[カオルでいいよ(笑)]

ハル[うん、じゃぁ……カオル]

カオル[うん、あたしもハルッて呼んでもいい?]

ハル[うんッ全然(笑)]

カオル[そぉ良かったッエヘヘヘ(笑)]

ハル[フフフッ(笑)(良い子そぉ~)]

カオル[ハルって運動得意なの?]

ハル[……みたいだね……あはは……(笑)]

カオル[みたい……って(笑)自分の事なのに~(笑)]

ハル[……あ、だよね……あはは(笑)(だって神様のギフトだから、自分でも、どこまで出来てるのかよく分からないんだもん……ただ……男みたく力は無いみたいなんだよね~コレがちょっと残念(笑))]

カオル[でも、スゴいのは……運動だけじゃないね(笑)]

ハル[ん?どう言うこ……]


そう言った瞬間、カオルがハルの胸を両手でガバッと掴んだ。


カオル[エイッ(笑)モミモミ(笑)]

ハル[なッ!!?]

カオル[運動もスゴくて!胸もスゴい!(笑)]

ハル[ちょッ!ちょッ!んッ……!ス、ストーーップ!]


バッとカオルの手を振り払うハル。


ハル[ハァ……ハァ……ハァ……(な、何すんだ!コイツハ!?)]

カオル[ありゃ?残念……(笑)]

ハル[残念って!……いきなり何すんの!?]

カオル[コミュニケーション(笑)]

ハル[……え?……コミュニケーション…………って……ただのセクハラじゃんッ!]


ムスッとした表情で、何だコイツ的な疑いの目で見るハル。


カオル[冗談だよ~(笑)ハルって可愛いね(笑)]

ハル[……(良い子だと一瞬思ったけど……コイツ……もしかして……メンヘラか!?あ~恐々ッさっさと退散しよー)……それじゃぁ]

カオル[え~ちょっと待ってよ~]

ハル[……ついてくるな~!]

カオル[なんでよ~(笑)]

ハル[ちょッ!何また、どさくさに紛れて胸揉んでんの!?]


そんな、やり取りをしていた所を、校庭でサッカーの授業をしていた、4組の男子数名が見ていた。

男子もまた、1組と4組の合同であった。


男子A[何か……スゲー所見ちゃったな……]

男子B[おー……モミモミしてた……]

男子C[しかも……耳から水抜してた時の……あの揺れ……]

男子A、B、C[たまんねぇーーーー!!!(笑)]


ハルは、既に可愛い女子として有名になっていた……。


男子A[しかもさ!長谷川ハルって、あんなに胸デカかっただな!(笑)]

男子B[お前!分かんなかったのかよ!俺なんて衣替えした時からソッコー見抜いてたし!(笑)]

男子C[…………あー……モミモミしてぇー……可愛いし……付き合いてぇー……]

男子A[はぁ~?無理無理(笑)]

男子B[そーだよ(笑)あの子にフラれた男、何十人居ると思ってんの(笑)ましてや、お前なんて絶対無理だって(笑)]

男子C[……んなもん……分かんねーじゃん……付き合いてぇ………言うこときかせて……無理やり長谷川ハルの胸モミてぇー!!]

男子A[声でけぇ~聞こえるぞ(笑)やべーコイツ!イッちゃってるわ(笑)]

男子B[最近、コイツ変態度上がってね~?(笑)]


すると……サッカーボールが、物凄い勢いで飛んできた。


男子C[ガッッ!!…………ッ…………!]

田口[…………わりー……ごめん……]


男子Cの横顔に、田口が蹴ったボールがヒットしたのだ。


男子A[お、おい!大丈夫かよ?……]

男子B[大丈夫か!?]

男子C[…………ッ…………痛ってーな!誰だよ!?]

田口[……だから……ごめんって……]

男子C[当てたのお前か!]


当てられた横顔をおさえながら、田口を睨む男子C。


男子C[ごめん……じゃねーだろ!お前!わざとこっちに蹴ったろ!]


物凄い勢いで怒る男子Cに……田口は……不機嫌そうな顔で、男子Cを睨みつけ……。


田口[あー……お前が1番ムカついたからなぁ……]


その表情に、少しビビる男子C。


男子C[……ッ……は、は?……な、何言ってんの!?アイツ!?]

男子A[……あ、いや、やめとけってッ]

男子B[そ、そーだよ、アイツには関わるなッ]

男子C[……は、はぁ?な、何言ってんだよ!アイツからやってきたんだぞ!?]

男子A[いーから、いーから、行くぞ]


そう言うと、男子Aと男子Bは、無理やり男子Cを連れて離れていった。


田口[…………]


その後、離れた男子ABCは……。


男子C[つーか!何なんだよ!アイツ!お前らも何で!何も言わねんだよ!]

男子A[いや、お前アイツの事、何も知らねーの?]

男子C[はぁ?知らねーし!]

男子B[まじで?……アイツ……田口って言うんだけど……何か~小学校の頃から、ずっと一緒だった……【陰キャな女】?の事を気に入ってたらしくて、その子の事イジメようとしてたヤツら、今まで、小中高と、全員ボコったらしいぞ……めちゃくちゃケンカ強いらしくてさぁ……まぁ噂だけど]

男子C[はぁ?そんなん……知らねーし……つーか!その、陰キャな女なんて、今回どこにもいねーじゃん?俺関わってねーし!]

男子A[いやいや~意外と関わってたのかもな(笑)お前見境ねーじゃん(笑)]

男子C[はぁ?さすがに陰キャはねーわ!……]

男子B[でもさ~それなら何で田口はキレてたんだ?……お前【男子C】さっき叫んでたの、長谷川ハルの事だったし……長谷川ハルって……転校生じゃねーの?]

男子A[じゃねーの?……だって今まで、あんな可愛い子、居なかったじゃん?……アレが田口の気に入ってた陰キャの子ってか?……いやいや(笑)んなわけねーじゃん!(笑)]

男子C[……んな事どーでもいいわ!あーーー腹立つ……!…………まじで……誰か襲いてーー…………長谷川ハル…………]

男子A[おい!おい!まじ勘弁だからな(笑)]

男子B[そーそー、そー言うのは関わらねーぞ(笑)]

男子C[…………ブツブツ……ブツブツ]


そこへ先生の呼ぶ声が聞こえた。


先生[おーーい!お前達!何やってんだー!早くこっちに来い!]


男子A[やべ!行こうぜ!]

男子B[お、おー]

男子C[…………]


そして、体育が終わり、教室にて。


カオル[ねぇ~ハル~ごめんってば~(笑)ねぇ~ねぇ~]


まだ、ハルに付きまとっていた。


ハル[……(あーー……メンドクサイ……変なヤツに、なつかれたー……)……わかったよぉ~……だから、付きまとわないでッ]

カオル[本当?(笑)許してくれるのッ?]

ハル[……うん、許す……]

カオル[ホントに?]

ハル[……うん……(だって……そう言わなきゃ……いつまでも付きまとってきそうだし……)]

カオル[やったーッ!それじゃぁ~仲直りの指切り!(笑)]

ハル[え?……何で?……]

カオル[えー?しないの?仲直りの印?]

ハル[……(え?普通こう言うのするものなのかな?…………全然わかんない…………)……そ、それじゃ……]


ハルはカオルと指切りをした。


カオル[フフフッこれで友達だねッ]

ハル[……ん?……仲直りの印って言ってなかった?]

カオル[そーだけど~あたしの中では、友達の印って、意味もあるの(笑)だから、これでハルと本当の友達になれたのッ(笑)だからッこれからもヨロシクね!ハル(笑)]

ハル[……う…………うん……(まじ…………この……メンドクサイ奴と友達になってしまった……)あははは…………はぁ……]


そして、放課後。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る