第2話 これからは
ルイの部屋へ来た二人
ルイ[ふぅ~よーやく一息つけるね!(笑)お姉ちゃん!]
ハル[あ、う、うん……]
ルイ[どうして立ったままなの?お姉ちゃんもベッドに座ったら?(笑)]
ハル[うん(お、女の子の部屋初めて入った……って女の子って言っても……ルイは今、俺の妹だった……)]
ルイ[どぉ?あたしの部屋に来て、何か思い出した?]
ハル[ごめん……全然……]
ルイ[そっか~だよね~直ぐには思い出せないよねッ]
ハルは、ふと、ルイの部屋にあった鏡を見た。
そこに写る、女の自分……そして、ルイを見た。
そこで、ハルはある事を思った。
ハル[(…………てか、女の自分……ルイに比べて……地味じゃね?……髪も伸び放題……前髪なんか目より下で…………)]
ルイ[どうしたの?お姉ちゃん?]
ハル[あ……いや……何か……あ、あたし……ルイに比べたら地味だなぁ~って……何か……陰キャみたい……]
ルイはキョトンとした顔をした後。
ルイ[あははは(笑)え~~お姉ちゃん!自分で陰キャって!……あははは(笑)今更~~あははは……]
ハル[……(そんなに笑うか……)]
ルイ[あははは……はぁ、はぁ、苦しぃ、ご、ごめん、ごめん(笑)お姉ちゃん記憶無いんだもんね]
ハル[……別にいいけど……]
ルイ[気を悪くしないで聞いてね]
ハル[……うん]
ルイ[お姉ちゃんはずーーっとそんな感じだったんだよ、あたしが髪とか服装とか、もっとこうした方が良いんじゃない?とか言っても聞かなかったんだから]
ハル[……そぉ……だったんだ……]
ルイ[……でも……突然どーしたの?……突然って言うのもおかしいか……]
ハル[……う、うん……何か気になって……あ、あたしも……ルイみたく……髪とか切ろっかなぁ……なんて……あはは……]
ルイ[………………]
ハル[あ、やっぱいいや!(笑)に、似合わないよね!あ……ははは……]
ルイ[良い!お姉ちゃん!良いと思う!美容室行こう!]
そう言って、ルイが満面の笑みでハルにグッと近付く。
ハル[う、うん(び、びっくりした~顔近ッ)]
ルイ[う~~嬉しいぃ~お姉ちゃんが自分から髪切るとか言うなんて~]
ハル[そ、そんなに?]
ルイ[そーだよ!だっていつも自分で切っちゃうしーー……変だよって言っても……別になんだっていい……って言ってたし……あたし絶対お姉ちゃんは、ちゃんと切ったら可愛くなると思うの!]
ハル[そ、そうかなぁ~?……]
ルイ[そーだよ!だから明日、直ぐに美容室行こう!ね?]
ハル[う、うん、分かった]
ルイ[やった~!じゃぁ母さんに言ってくるね!]
ルイはウキウキで母に明日、ハルが美容室に行くことを伝えに行った。
ハル[(ルイのやつ……俺が髪切るだけで……そんなに嬉しいコトなのか?…………でも、自分でも何か気になったんだよなぁ~……何でだ?……………あ…………コレが神様が言ってた……美的センスの事か?)]
ルイが戻ってきた。
ルイ[お姉ちゃん!母さんに言ってきたよッ]
ハル[う、うん、ありがとう]
ルイ[あと、母さんがお風呂に入っちゃいなさいだって~だから、今日は一緒に入ろうッ]
ハル[え!い、一緒に!?]
ルイ[え?嫌だった……?]
ハル[嫌と言うか……女の子と一緒にお風呂って……]
ルイ[あはははッ何言ってんのぉ?お姉ちゃんも女の子じゃん!それに、たまに一緒に入ってたんだよ~だから、さッさッ早く入ろう!]
ハル[え、えぇ~~~]
ハルは言われるがまま、ルイとお風呂に入ることとなった……。
ハル[(マジか……妹とは言え……女の子と一緒にお風呂だなんて……)
ルイ[何やってんの?お姉ちゃん早く脱いでッ]
ハル[あ、う、うん……(今更……断れないし……あーどうにでもなれ!)]
ハルは服を脱いだ。そして、ルイも服を脱ぎ……。
ハル[カハッ!……]
ルイ[お姉ちゃん?]
ハル[(し、刺激が強すぎる……)ル、ルイ……大丈夫だから先に入ってて……]
ルイ[?うん、分かった]
ルイが先に脱衣所からお風呂場へと入っていった。
ハル[(し、死ぬ…………神様……環境適応能力……上げてくれたんじゃなかったのかよ……し、仕方ない……気持ちを落ち着かせて……)]
ルイがハルを呼ぶ。
ルイ[お姉ちゃ~ん?何してんの~?]
ハル[あ~今入るから]
ハルがお風呂場の戸をそっと開ける。
ガチャ。
ハル[あ、(良かった……ルイもう、お湯に浸かってた……)]
ルイ[おそーい、何してたの?お姉ちゃん]
ハル[ごめん、スマホいじってた……]
ルイ[ふーん]
イスに座り、シャワーを浴びるハル。
ハル[(……てか、この後どーすんの……一緒にお湯に浸かる系ですか……)]
身体と髪をゆーーっくり洗い終えてハル。
ハル[ル、ルイあ、あたしも、そこに入るんだよね……?]
ルイ[え?あはは(笑)何その探りながらみたいな感じ(笑)どーぞッ]
ハル[う、うん]
ルイが少しズレ、スペースを空けてくれた。
そこへ入るハル。
ちゃぽん。
ハル[(う~……緊張する……)]
ルイ[……ねぇお姉ちゃん……明日、髪切るの楽しみだね]
ハル[……う、うん]
ルイ[……お姉ちゃん……記憶無くなっちゃった……から……言えるんだけど……あたしね……本当はこうやってお姉ちゃんと毎日話したかったの……]
ハル[?]
ルイ[ごめんね……あたし嘘付いた……]
ハル[嘘……?]
ルイ[うん……本当は、こうやってあたしとお姉ちゃん、一緒にお風呂なんて入った事……小さい頃にしか無いんだよ……こうやって話すのも本当に久しぶりだし……]
ハル[……そぉ……だったんだ……]
ルイ[うん…………お姉ちゃんはね……小さい頃は明るくて、可愛くて、誰とでも直ぐに仲良くなれて、あたしにとって凄く憧れの存在だった………でも、ある日……学校で何かあったらしく…………その日を境に、お姉ちゃんは暗くなって……必要以上に誰とも話さなくなってしまったの…………あたしは幼かったしッ……理由も分からないから……何度も何度もお姉ちゃんに、『どうしたの?お姉ちゃんッいつも見たいに遊ぼうよー』って言ってたんだけど……元のお姉ちゃんに戻る事はなかった……]
ハル[…………そっか…………そうだったんだね……何か……ごめんね……]
ルイ[うぅん!お姉ちゃんは悪くないからッ!それに……また、こうして話せるようになったし、それだけで、あたしは嬉しいのッ(笑)]
ハル[……うん……ありがとう(そっか……女の俺……そう言う過去があったんだな………………俺が男だった頃も似たようなものか……弟の時のルイも……俺が比較されるからって勝手に毛嫌いして……無視してても……それでも一生懸命話し掛けてくれてたっけ……今になって……その温かさに気付いても……もう……感謝の気持ちも伝えられないんだな……)]
そんな事を思い返していたハルは自然と涙が出ていた。
泣いているのが、ルイにバレない今の状況に安堵していたハル。
ルイ[ごめんねッ話し長くなっちゃってッそろそろ上がろっかッ]
ルイがそう言って立ち上がった瞬間。
ブクブクブクッ。
ルイ[お、お姉ちゃん!]
ハルは……のぼせて意識を失い、そのまま湯船にスライドして沈んで行ったのだった。
ルイは急いでハルを抱えて、お風呂の戸を開けた。そして、大声で。
ルイ[母さん!!来てーーー!お姉ちゃんがーー!]
その声に驚いた母は急いでお風呂へとやって来た。
母[どうしたのー!!]
ルイ[お姉ちゃんが!!急に!!]
状況を見た母はハルが直ぐに、のぼせたのだと分かった。
母[とにかく、直ぐに上げましょう!]
ルイ[う、うん]
母とルイとで、ハルを湯船から引き上げ横にし寝せた。
そこへ心配した父もやって来た。
父[どうしたー!!]
ガチャッ!
お風呂の戸を開ける父。
母[ちょっと!あなたは来ないで!]
ルイ[きゃーー!早く出てって!見ないでよ!!最低!変態!]
バタンッ!
父[……ッ……痛ッたー……]
母に戸をおもいっきり閉められ顔面強打した父。
父[……父さんも心配して来ただけなのに……]
父弱し……。
ルイ[お姉ちゃん…大丈夫かなぁ……]
不安がるルイに母は。
母[大丈夫よ、のぼせただけッ]
ルイ[そ、そーなの……?]
母[でも、このままじゃ不味いから、早く身体を拭いてあげて涼ませなきゃね、ルイも早く身体拭いて、お姉ちゃん連れてくの手伝ってッ]
ルイ[う、うん分かった]
ルイは急いで身体を拭き着替え、母と一緒にハルを抱えて部屋まで連れていった。
母[ふぅ~ハル結構重いわね(笑)]
ルイ[お姉ちゃん胸大きいからじゃない?]
母[あはは(笑)そーねッ誰に似たんだか(笑)]
ルイ[そーねッあたしは誰に似て小さいんだかッ]
ルイがムスッとした顔をする。
母[そんな~大丈夫よッそのうちルイもお姉ちゃんみたく大きくなるわよ]
ルイ[どーだか……]
母[母さんの子だから大丈夫ッ(笑)]
ルイ[ならいいけどー……]
二人はそんな会話をしながら目を合わせ笑った。
ルイ、母[プッ!あはははは(笑)]
母[はぁ~なんか(笑)久しぶりに笑ったわ~]
ルイ[はぁ~そーだね(笑)]
母[これもハルのお陰ねッ]
ルイ[うんッお姉ちゃん…………記憶無くなっちゃったけど……でも、今までのような暗い感じが無くなったし……あたしもお姉ちゃんと普通に話せるようになって……今、凄く幸せな気持ちだよッ]
母[そーねッ母さんも同じ気持ちよ]
ルイ[うん]
母[あ、このままじゃ中々涼まないわね、母さん保冷剤とか持ってくるから、ルイはお姉ちゃんの事、ウチワで扇いでて]
ルイ[うん、分かった]
そう言うと母は保冷剤を取りに行った。
ウチワでハルを扇いであげるルイ。
ルイ[…………お姉ちゃん、ごめんね、あたしが長湯させちゃったばっかりに…………]
ハル[う……ぅ……ぅん……]
目が覚めたハル。ゆっくりと目を開けた。
ルイ[お、お姉ちゃんッ大丈夫!?]
ハル[あれ…………お(れ)、……あ、あたし?]
ルイ[お姉ちゃんのぼせちゃって気を失ってたんだよ……]
ハル[そ、そーなの……?ごめん……]
ルイ[うぅん……お姉ちゃんは悪くないよ!あたしが長話して長湯させちゃったのが悪いの……ごめんね……お姉ちゃん……]
ハル[(……そーだ……お風呂で……ルイに俺の過去話しをして貰って……それから……弟の事思い出して…………もう、感謝の気持ちも伝えられないって泣いて……………………)]
ルイ[……お姉ちゃん?]
ハル[あ、……ルイ]
ルイ[なぁに?……]
ハル(……弟だったルイに……感謝の気持ち伝えられなかった分……これからは、この子(妹)に沢山の感謝を伝えて行こう)…ルイ……お姉ちゃん……過去の事は覚えてないけど……今まで……いっぱいお姉ちゃんの事……気に掛けててくれて……ありがとう………………これからも!……もしかしたら……いっぱい迷惑掛けちゃうかもだけど……お姉ちゃんのこと……ヨロシクね]
そう言うと、ハルは自然な笑顔でルイに微笑んでいた。
すると、ルイはハルのその言葉と笑顔に心がいっぱいになり、飛び付き、涙を流しながら………とびきりの笑顔で。
ルイ[お姉ちゃん!大好きッ!]
ハル[うん、あたしもルイの事大好きッ]
二人はぎゅ~っと抱きしめ合った。
ハル[(あぁ……何だか……幸せだなぁ……こんな気持ちもひさしぶりだ…………)]
そこへ、母が保冷剤と飲み物を持って、戻ってきた。
母[あらら……どうしたの?(笑)二人で抱き合って]
ルイ[えへへッちょっとね(笑)ねーお姉ちゃんッ……あれ?]
ハルは、そのまま寝ていた。
ルイ[お姉ちゃん!?]
母[大丈夫よ、寝てるだけ]
ルイ[で、でも、また具合悪くなって意識飛んじゃったんじゃ!?]
母[ハルの顔よーく見てみなさい、凄く良い顔して寝てるじゃない(笑)]
ハルは微笑んだまま、幸せそうな顔で寝ていた。
ルイ[うんッ]
こうして、女の子になったハルの長い1日がようやく終わったのだった。
そして、次の日。
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