起きたら女だったので、そのまま過ごすことになりました

明日みりか

第1話 起きたら女だった……


ハル[…………カタカタカタ、タン]


ハルは部屋にこもりゲームをしていた。


ハル[(明日……月曜か……学校行きたくねーな……)]


ハルは、コミュ力が余り無い男子高校生で学校でもいつも1人。友達もおらず、影の薄い存在だった。クラスでは常に1人でスマホゲームをして過ごしていた。

いわゆる……陰キャ。


ハル[(ゲーム飽きた……もう寝よ……)]


部屋の電気はゲームをしてる時から既に消してあった。ゲームの電源を切り直ぐ様ベッドに横になるハル。


ハル[はぁ……(毎日、つまんねー……………でも、今さらリア充なんて無理な話だし…………興味もねぇ………ウソ………本当は少し憧れる………なぜなら俺は本当は陰キャでは無いのだ…………入学してから出遅れて……友達作れなかっただけ………って誰に言ってんのコレ…………………………はぁ~ぁ……いっそのこと、女に生まれてれば良かったのになぁ…………口うるさい親父には……『お前は長男なんだから、しっかりしないとダメだ!うちの跡継ぎなんだから、勉強と交友関係はしっかりしておけ!』なんて言われるし…………勉強は、どうにかなっても友達作るのなんて……陰キャの俺には無理だろ…………それに、どうせなら弟じゃなくて妹が良かったわぁ……弟は、俺と正反対な性格してるし……何より比較されるのがツラい……妹だったら~正反対な性格でも親父にどうこう言われなさそうだし………………あー………だりー……)]


ハルはそんな事を考えながら寝落ちした。


ハル[ん……ん……眩しい……何だ?真っ白…………どこ?…………ん?……夢?……あー……夢か……………………その割には意識がはっきりしているような………………てか…………静じゃね?……………って……ひとりごとって…………つーか…………この状況ある意味キツいんですけど…………そして、この明るさマジでキツい!………………おーーーい!早く目覚めろ!俺!]


すると!突然目の前が真っ暗になった。


ハル[え!?……真っ暗…………どう言うこと?………え…………こわッ…………夢……だよね……?…………誰か居る?…………って居るわけねーか……夢なんだから……]

謎の声[居ますよ]

ハル[わッ!…………え…………誰……?突然の真っ暗なんですけど…………]

謎の声[貴方が明るいのが!苦手みたいだったので……暗くしました]

ハル[いや、極端…………てか誰ですか?]

謎の声[……私は……あなた方の世界では神と呼ばれる存在です……]

ハル[え……神……様?……マジで…………えーとその……神様が……何でココに居るんですか……?てかココどこ!?]

神様[ココはあなたの夢の中です]

ハル[何だ~やっぱ夢か]

神様[夢と言っても、貴方と私のこのやり取りは現実の物です。]

ハル[……どう言う事ですか?もうちょっとちゃんと説明し……]

神様[今日はあなたの……]

ハル[って!無視!]

神様[……今日はあなたの……]

ハル[って!完全無視!]

神様[……今日はあなたの……]

ハル[……………………]

神様[………………あの……もうツッコまないのですか?]

ハル[ツッコミ待ちかよ!いや!コントじゃねーし!]

神様[……ちょっと何言ってるか分からないです]

ハル[いや!お前がなぁ!…………あ、思わず神様に悪口調でツッコミ入れてしまった…………で、さっきの【今日はあなたの】……なんスカ?]

神様[……………………あははははッあなたのツッコミ面白ですね~]

ハル[時間差!?笑うまで何秒掛かってんの!?これ国際電話ですか??さっきまで、やり取りスムーズだったよね!?]

神様[今日はあなたの]

ハル[はいーー無視……マジ疲れるんだけど……]

神様[願いを叶えにやってきました]

ハル[え?……願い?]

神様[そうです]

ハル[マジ!?夢でも嬉しいかも(笑)えーとじゃぁ~何にしよーかな~~うーんとねぇ一生働かなくても……]

神様[願いの方は、もう受理されております]

ハル[え?……何も言ってないけど……]

神様[あなたが寝る前に言っていたでは、ありませんか『女性に生まれたかった、妹が欲しい』と]

ハル[え?あれ!?いやいやいや!あれは~何となくで!本当に願いが叶えてもらえるなら、もっと違った願いを……!]

神様[訂正不可ですので、では、その後の人生……貴方にとって幸多いことを願います]

ハル[ちょ!ちょっと待ってくださいよ!つーか!マジッ一方的……!うッ……ゆ、夢の中なのに眠気が…………]

神様[あぁ……そうそう言い忘れてましたが、今回貴方の願いを叶えたのは……私の気まぐれです]

ハル[……気まぐれかよ……神様なのに……]

神様[それと、身体と心のバランスは徐々に改善されていくので安心してください……それと身体強化と環境適応能力をチョッとだけ上げときましたから]

ハル[だ、ダメだ……意識が……身体……心?……バランス?……ど、どう言う意味だ……身体強……化?]

神様[あと、おまけで……何かあったときに1つだけ願いが叶うミサンガを授けます。どうかご武運を]

ハル[…………ミサ……]


ハルはそのまま気を失っていた。

そして、朝、目覚めたハル。


ハル[ぅ、うん……変な夢見た……………………あ!……やべ!今日って月曜じゃん!てか!何時だ!?]


パッと時計を見るハル。


ハル[ヤベッ!遅刻するわ!]


慌ててベッドから転げ落ちるハル。


ハル[イテテッ……]


そのまま急いで一階に行くハル。リビングの戸をバッと開けた。そして、母に向かって。


ハル[母さん!どうして起こしてくれなかったのッ!]

母[えー……さっき……ルイに起こしてって頼んだけど……]

ハル[……ルイのヤツ]


そこへリビングの戸を開け、現れるルイ。

ガチャッ

ハルは振り向いてルイに……。


ハル[おい!ルイちゃんと起こせよッ!]


ビクッとするルイ


ルイ[え……ちゃんと起こしたし……あたしーー]

ハル[!え…………誰…………?]

ルイ[はぁ?何言ってんの?【お姉ちゃん】?]

ハル[……お、お姉ちゃん?…………誰のこと……?(それに本当に誰!?この子……)]

母[何言ってんの?お姉ちゃんはあんたの事でしょ]

ルイ[てか……お姉ちゃん……いつもと感じ違くない?……]

ハル[……………]


バッと洗面所へ向かったハル。

そして…………。


ハル[えーーーーーーーー!!!]


鏡を見たハルは大声をあげた。


ハル[…………ウソ!ウソ!ウソ!マジ!マジ!?はぁ~~!!?どういう事だよ!?(女になってるし!!)]


大声をあげたハルの声に、ビックリした母とルイが洗面所へと駆け込んだ。


母[どーしたの!?ハル!]

ルイ[お姉ちゃん!!?]


鏡を見ていたハルは振り向き……泣きそうな顔で母とルイに……。


ハル[…………お、俺……女になっちゃった…………]


母とルイがキョトンとした後、2人で目を合わせ……爆笑した。


ルイ[あははははッえーー?お姉ちゃん何言ってんのぉ~?(笑)]

母[あはははッそ~よッあなた生まれた時から女の子でしょ(笑)]

ハル[…………えぇ…………?]


泣きそうなハル。


母[バカなこと言ってないで早く着替えてらっしゃい!(笑)]

ルイ[そーそー(笑)遅刻しちゃうからッ(笑)]


そう言って2人は洗面所を後にした。


ハル[……………………]


状況をのみ込めないハル。暫くボーッとした後。

もう1度鏡を見た。


ハル[どー見ても女……だよな………………てか俺が……生まれた時から女……?はぁ~?意味わかんねーし…………………………え?もしかして……あれ夢じゃ無かったってことか!?…………つーか…………それ以外考えられねーよな…………って事は……あの子は……弟のルイ!?え?アイツまで女にたったって事!?………………俺が妹欲しいって願ったから………………どーーすんだよ!この状況!]


思わず自分の胸を手のひらで叩くハル。

ムニュ……。


ハル[…………胸…………あるし…………柔らか…………]


顔が赤くなるハル。


ハル[…………っじゃねー!……何やってんの俺!自分の身体で!……あ…………]


パンツの中を覗くハル。


ハル[………………カハッ!…………]


鼻血を出しダメージをうけるハル……。


ハル[…………マジもんの女じゃねーか……………………陰キャな俺には……リアルな女に対しての免疫力が無いのに…………トニカク……着替えねば……]


部屋に戻るハル。


ハル[…………良く見ると……部屋の感じも変わってんじゃん…………本……だらけだし…………あ、良かったッ……ゲームはそのままだ……えーと……取り敢えず……着替え着替えーー…………………………………]


引き出しを開けた瞬間、女性用下着が入っていた。


ハル[…………マジか…………ってだよな…………どーしよ…………どーやって着けるのコレ…………]


一階から母が。


母[ハルーー!遅刻!するわよー!]

ハル[…………そんな事言ったって………………(ココを乗り切るにはコレしかねー……)]


リビングの戸が静に開く……カチャ…………そこからそっと顔を出すハル。


母[さっきから何やってんのハル!遅刻しちゃうでしょ!ルイ先に出ちゃったわよ]

ハル[…………母さん…………あのぉ…………]

母[えー何!?]

ハル[お、おれ……いや、あたし…………き、記憶喪失かも……です……]

母[は?何言ってんの?記憶喪失?]

ハル[はい…………]

母[だってちゃんと母さんの事分かってるでしょ?]


ハルがブラジャーを片手にチラッと出す。


ハル[コレ…………着け方……分かんない……です]

母[はぁ~本当に何言ってんの?怒るわよ?いつまでも、ふざけた事言ってると!]

ハル[(え~~!……どうしよう……あと、あと、何て言ったら…………)そ、それに!……い、今までの事思い出せないんだ!…………い、妹が居た事も分からなかったし…………]

母[はぁ?あなたさっきルイ!って怒ってたじゃない!?]

ハル[あ……(確かに……でも、それは弟の事で~……)弟だと思ったんだ………………]

母[ちょっと本当に何言ってんの?]

ハル[あーもう!自分でも何言ってんのか分かんなくなってきたー!…………]


どうしたら良いか分からなくなったハルは……急に涙が出てきた。


ハル[うぅッ…………うッ……]


そんなハルを見て母は何か感じた取ったのか……そっとハルを抱きしめた。


ハル[うぅッ……うッ……うッ……]

母[どうしたの……何があったか分からないけど、落ち着いて話してみなさい]


ハルは……母の優しく抱きしめる温もりと、その言葉に涙が止まらなくなった。

そして、暫く泣いた後、落ち着いたハルは……。


ハル[…………(やっぱり記憶が無いで通した方が今後の為にもいい気がする……)母さん……]

母[落ち着いた?]

ハル[うん…………お、(俺……じゃなかった)あたし……さっきも言ったけど……本当に記憶が無いの…………家族の名前とかは……覚えてるんだけど……これまでの事とか……全然記憶が無くて……]

母[……そう……本当だったのねハルが言ってた事]

ハル[信じてくれるの?]

母[信じるわよ!さっきは、ふざけてるのかと思ったけど……ハルが泣く寸前……あんなに苦しそうな表情してたんだもの……]

ハル[……ごめん……母さん]

母[何で謝るの?……ハルが謝ることなんて1つも無いじゃない!辛いのはハルの方なんだから]

ハル[……でも]

母[でも、じゃない!(笑)]


母が優しく微笑む。


ハル[……うん]

母[そーねー…………じゃぁ病院に行こうか]

ハル[えッ]

母[えって?]

ハル[病院……]

母[そりゃそうでしょ!脳に何か異常があるかも知れないから、記憶喪失なってるだと思うし]

ハル[……(ヤバい大事なってないか?いや、でも取り敢えず行っといた方がいいか……脳は正常だけど……)う、うん、そうだね行く]

母[じゃぁ行きましょ、着替えてらっしゃい、学校には連絡しとくから]

ハル[うん………………あ…………あの……母さん]

母[なぁに?]

ハル[…………コレ]


ハルはブラジャーを母に見せた。


母[あ!……そうだったわね(笑)]


母がハルにブラジャーを着けてあげる。


母[本当に忘れちゃったのね~着け方も……]

ハル[……うん……ごめんね(何か恥ずかしぃ……)]

母[ココをこーして……あら?あなた、また胸大きくなったんじない?]

ハル[そ、そーなの?……]

母[はい!出来た]

ハル[(お、おーー固定され感じだ……ボリュームアップ……)うん……ありがとう]

母[自分でやる時は、ちゃんと前屈みになって脇から持っていって着けるのよッ覚えたでしょ?]

ハル[う、うん……わかった]

母[じゃぁ母さんも支度して学校に連絡するから後は部屋に行って着替えてらっしゃい]

ハル[うん]


そして、部屋に行くハル。

クローゼットを開け服を物色していた。


ハル[…………(泣いてしまった……………………てか……女の服ってどう着たら良いんだ?……………つーか……………………ココにある服……全部地味なやつしかねーじゃん………陰キャな俺でも分かる……いや、陰キャではないのだけど……)取り敢えず、ググってみて、それを参考にして、適当に着てみよう……]


ハルは着替えを終えて、母さんの所へ行った。


ハル[母さん、お待たせ]

母[うん、じゃぁ行こうっか]


母が振り向いてハルを見た。


母[え!]

ハル[え?……変……だった……かな……]

母[ち、違うの!いつもと違って!とても可愛かったから!つい見とれちゃって!]

ハル[か、可愛いって……]


少し気まずそうな……そして恥ずかしそうなハル。


母[うん、うん、良いわね!……そう言えば……ハル眼鏡は?]

ハル[眼鏡?(そう言えば……部屋にあったな……)]

母[見えてるの?あなた凄く視力悪いはずよね?]

ハル[う、うん……普通に見えてる……けど]

母[……そ、そう、それなら良いんだけど……さ、行きましょう]

ハル[うん]


こうして病院へ向かったハルと母。

そして、色々と検査をうけたが……当然の事だが、脳は特に異常がみられなかった。先生からは精神的なものではないかと言われ、経過観察と言うことになってこの日は帰る事となった。因みに、母が視力検査もしなさい、と言ってきたので、視力検査したところ2.0だった。母は驚いていた。が、ハル自身も驚いていた。なぜなら男だった時のハルも視力は悪く眼鏡を必要とする程だったからだ。


そして、その日の夜。


父[ハルちゃ~ん!大丈夫なの!?父さんの事ちゃんと覚えてる!?]

ハル[(誰!?親父の性格全然違くね!?)う、うん、顔と名前は……]

父[父さんハルの事、連絡受けてから心配で心配で………………え!?顔と名前しか覚えてないの!!?]

ハル[う、うん、ごめんね……]

父[母さん!医者だ!直ぐに医者に見てもらおう!]

ルイ[父さん!!だから母さん言ってたでしょ!お医者さんには診て貰ったけど脳には異常が無かったから、精神的なものじゃないかって!だから経過観察なの!!ちゃんと聞いててよね!ったく!]

父[す、すまん……でも……]

ルイ[でもじゃない!]

母[そうよ、あなた、無理させちゃダメだと思うし、ハル……ゆっくり思い出していこう]

ハル[うん……(息子と娘では、こんなにも違うものなのか……あの親父が……)]

ルイ[お姉ちゃん!あたしの部屋に行こう、何か思い出すかもしれないし!]

ハル[あ……うん……分かった]


ハルはルイに連れられて、ルイの部屋へと行った。


ルイ[ふぅ~よーやく一息つけるね!(笑)お姉ちゃん!]

ハル[あ、う、うん……]

ルイ[何してんの?お姉ちゃんもベッドに座ったら?]

ハル[うん(お、女の子の部屋初めて入った……って女の子ってルイは今、俺の妹だった……)]

ルイ[どぉ?あたしの部屋に来て、何か思い出した?]

ハル[ごめん……全然……]

ルイ[そっか~まぁだよね~直ぐには思い出せないよねッ]


ハルは、ふと、ルイの部屋にあった鏡を見た。

そこに写る、女の自分……そして、ルイを見た。

そこで、ハルはある事を思った。


ハル[(…………てか、女の自分……ルイに比べて……地味じゃね?……髪も伸び放題……前髪なんか目より下で…………)]

ルイ[どうしたの?お姉ちゃん?]

ハル[あ……いや……何か……あ、あたし……ルイに比べたら地味だなぁ~って……何か……陰キャみたい……]


ルイはキョトンとした顔をした後。


ルイ[あははは(笑)え~~お姉ちゃん!自分で陰キャって!……あははは(笑)今更~~あははは……]

ハル[……(そんなに笑うか)]

ルイ[あははは……はぁ、はぁ、苦しぃ、ご、ごめん、ごめん(笑)お姉ちゃん記憶無いんだもんね]

ハル[……別にいいけど……]

ルイ[気を悪くしないで聞いてね]

ハル[……うん]

ルイ[お姉ちゃんはずーーっとそんな感じだったんだよ、あたしが髪とか服装とかもっと、こうした方が良いんじゃない?とか言っても聞かなかったんだから]

ハル[……そぉ……だったんだ……]








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