第4話 村のガキどもにバレた?!
毎日毎日ひたすら魔法の練習をする日々が続き、 風露はいつしか14になった。
ある朝、 風露は手作りの魔法の杖を片手に図書館へと向かう途中、 3人の村のガキどもに遭遇した。
小さく舌打ちをして回り道をしようとすると、子供たちは風露の道を阻むように横に並び、
「この道を通りたかったらその変な杖を俺たちに寄越せ!」
「オイラたちだって魔法が使いたいんだぞ!」
「そーだそーだ!」
と喚き出した。
風露はガキどもをに少し驚いた。そのうち自分が魔法の練習をしていることがバレると思っていたが、まさかガキどもに見つかるとは······。
それに、この杖は手作りだから、子供たちが取り合いでもしたらすぐに壊れてしまうだろう。
この杖は風露にとって大切な杖――というより作り直すのが面倒臭いから壊されたくない。
風露が無言で回れ右をすると、一番大きいデカガキが杖を握っている風露の右手首を掴む。そして、残りの2人が杖を強引に引っ張ると力の弱い風露はあっさりと杖を奪われてしまった。
「よっしゃ! 謎の杖を手に入れたぞ!」
「さっそく使ってみようぜ! 確か、きのう 見た水を出す魔法をやろう!」
「やるぞやるぞ!」
ぎゃーぎゃーとガキどもが騒ぐ中、風露は杖を取り返そうと、「返しなさい!」
と叫ぶが、
「水よ、出てこい! あれ? 出ないな」
「バカ、そんなんで出てくる訳ないだろ。 オラがお手本を見してやる。 水よ、出てこい!」
「俺とやり方変わってねぇじゃねぇか」
「オレもやりたい!」
杖を引っ張りあう子供たちには風露の声が聞こえていない。杖もミシミシ音をたて初め、壊れるまで時間の問題だ。仕方なく、風露は素手で魔力を編む。
人差し指を軽く振ると、ガキどもの頭上から水が降ってきた。
「わっ?! なんだ! 水が降ってきた!」
「オイラの魔法が成功したんだ! やった!」
「やったやった!」
まるで魔法に成功したのが自分だと思っているのか、ガキどもは濡れたまま喜んでいる。だがデカガキは急に冷静になると、
「待てよ、水が降ってきた瞬間、 杖に3 人とも触れていた。 ということは俺たち以外 がやったってことになるんじゃねえのか?」
「ということは、 お前か!」
3人の視線が風露に突き刺さる。風露は短く息をつくと
「ふはははは! ワタシの魔法は杖がなくても 行使可能なのだ!」
と開き直って高笑いした。唇をわなわなとさせた中くらいのガキが、
「じゃ、じゃあ、なんで杖なんか持ってんだ?」
と聞いてくるため、風露は目をかっと開くと、
「決まっている。 杖があった方がカッコいい からであろう!」
「「「はあ?!!」」」
風露は満足げな笑みを残し、ガキどもから杖を取り返して図書館へと去っていった。
子供たちは少しの間フリーズしていたが、風露が図書館に着いた頃ぐらいに正気に戻り、顔を青くしながら村の中心に向かって走った。
デカガキと心の中で呼ばれていた少年は、
「クソ、村長の言う通りかよ。風露はどうするつもりなんだ?」
と微かな焦燥を顔に浮かべながら、とにかく走った。
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