chapter1 ③:イラストと甘い声。
「すっ、スゲェー」
思わず、いつもと違うような口調で、声をあげてしまう程、それは凄かった。
「あ、ありがとうございます♡……」
『巫女さん』先生は、僕の急に変わってしまった口調には、特に気にせずに、ただ可愛い表情と声と仕草で、そう言ってくれた。
とにかく、変に思われなくて良かった。
PCに映し出された巫女姿の美少女のイラストは、背景に描かれている細かい景色まで含めても、息を呑んでしまうような凄まじく綺麗なイラストだった。まさしく、プロの絵だ。
もっとも本人は、「私の絵なんて、まだまだですよ」と謙遜とはまた別の本心からそう言っているように見えたが、これは僕だけじゃなくて、世間的に観ても褒められるくらいのレベルだ。
僕は、今まで読んできたどのラノベについている口絵イラストよりも、遥かに『巫女さん』先生が描いてくれた僕の作品のヒロインのイラストの方が好きだと、お世辞や身内びいき抜きで、そう答えれる自信がある。
「じ、実は、ちなみになんですけど……」
僕が何故か、このイラストを実際に描いてくれた当の本人よりも誇らしげな顔をして、PCの中にいる美少女を眺めながら、優越感に浸っていたが、耳に甘やかな声が響いて我に返った。
そして今、我に返ったばかりなはずの僕の瞳には、先程まで観ていたPCの画面の中に住んでいた美少女と同じくらい、いや、はたまたそれ以上の美少女が顔を赤らめて、もじもじとしている姿が映っていた。
「ち、ちなみになんですけど、このイラストともう一つ別に描いたものがあって、先生の作品とは関係のないものなんですけど、よろしければ、ぜひ先生に観ていただきたいと思いまして……(モジモジ)」
『巫女さん』先生は、そう言って目の前のPCをいじくりはじめ、別のイラストが保存されている場所へと、画面を移動させた。
そして、画面を立ち上げると、そこに映し出されていたイラストを、僕に見せながら、ちょっぴり自信なさげな顔をして、こう尋ねかけた。
「こ、これを観ていただいて、何かわかりませんか……?」
語尾に近づいていくに連れて段々と『巫女さん』先生の声は小さくなっていく。それ程、何かわからない程、自信のないイラストなのだろうか。でも、仮にそうだったら、何故そういったようなものを、わざわざ僕に見せてくれようとしているのか。
「やっぱり、わかりませんよね……(ショボン)」
そんなに何かピンともこないようなイラストなのかと思いながら、僕は目を凝らしてPCに映るそれを観る……が、やはり彼女が言った通り、これが何なのかは──
(いや、これはまさか!!……)
「……えっと、こ、これってもしかして、甘天神社と僕ですか?」
僕は驚きと疑問を詰め合わせた声で、尋ねると、『巫女さん』は何故か涙を流して、でも、表情と声は微笑むような形を作り出して、こう言った。
「……やっぱり、あなただったんですね」
鳥居の先は『たわわ』+『あわわ』で、いと可愛し。→⛩️詳しくは幸せの神社の境内をチェック⛩️ ハッピーサンタ @1557Takatora
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