追 記: CTB施行後の世界についてのレポート(要約)

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(通信開始)


<sideA>


 <韓国およびイスラエル、ロシア>

 上記のような徴兵国は、割とスムーズかつ早々に現在の軍を解体し高齢者にバトンを引き継いだ。


 <韓国>・・・歴史的に見ても儒教や律令制といったルールを重んじる性格の国家だった為、年配者への敬意や階層主義を重んじながら移行していった。


 <イスラエル>・・・元々年配者ほど戦争、情報網や戦闘術に精通していて世代間の国防の考えのギャップがさほどなかった。


 <ロシア>・・・強力な中央集権国家であり、”命令への服従こそが唯一の安全保障“とのスローガンで実行した。


 その他徴兵制国家もほぼこの3タイプのいずれかに属していた。



 <徴兵制のない国、日本および民主国家>


 労働をAIによるオートメーション化し、高齢者の再就職先を減らす事で、雇用の流れを国軍に向けた。


 だがそんな操作なくとも、入隊後の魅力的な社会的優遇と、退役後の様々な税控除の厚遇サービスに志願兵は後を絶たなかった。


 日本の場合、最初の数年はインテリ壮年層と朝日系マスコミの連日の批判記事や反発があったものの、国を守る多くの高齢者は尊敬され、世間からも大切にされていった。


 やがて社会に”敬老と敬礼“精神が根付くと、徐々に反対論は減り、反政府運動やテロも消えた。


 当事者の老人達も、


「おじいちゃんが国を守ってくれている。」


 や、


「おじいちゃんのおかげで大学に行ける。」 (従軍者家族は学費免除)


 というかわいい孫や家族からの尊敬と感謝の念、そして自分達が国を守っているという誇りと名誉を持って全力で仕事に勤めた。


 そこにはもうC.T.B法以前の、



 我儘で、


 散漫で、


 卑屈で、


 自信も金もない、


 誰にも必要とされていない


 かつての老人達の姿はなかった。



 ー施行から十数年、


 ついにこのシステムは広く世界に浸透し、


 新時代の幕が開けた。



(通信終了まであと1分)

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<sideB>


 70年後の世界…さて君にはどう映ってるだろうか?


 私にはこれが悪夢の始まりだった。


 …私は当初この時代の政治を恨んだ。

 なんて浅はかな考えだと。


 やがて科学が進歩して、


 "文字"を過去に送る技術が生まれた時、


 もしかしたら世界を救える、と考えたんだ。

 

 …だけど残念ながら私達はお互いにコミュニケーションが取れない。


 過去と未来は双方向性がないから。


 過去は『決定したデータの総数』だけど、これから起きる未来は『予測と確率』の世界で、次元が違うんだよ。


 それらは同時に存在しているが、


 …上手く話せないな。私は科学者じゃないんだ。


 とにかく高い所(未来)から低い所(過去)へ文字を垂れ流せるだけなんだ。


 …もうすぐ1分になる。


 では。

 


 (通信終了)


-log-


2136年5月24日


GPS特定できず。



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