第10話 ストーブの機能

 さて、今度は、冬のお話。

 冬は寒いのは、この店も一緒。

 なんせ、エアコンなんてものは、ないのだから。

 もちろん、2階より上の店主の住居部分については、話は別ね。


 今どき、生活保護受給者に対してさえ、夏や冬はエアコンをしっかりと利用するよう行政が指導するような時代。大体、金ケチって熱中症になったり凍死されたりでもしたら、行政の責任問題になってしまうからさ。

 この店には、そんなもの、ないのね。もう一つ言うと、今どき、アパートなどによっては契約で石油ストーブ使用を禁止するところも少なからずあります。火事のことを考えたら、当然ですわな。

 煙草だってそうよ。1980年代の定時制高校は、決められた場所=廊下のバケツのある周辺、そこら回り以外での喫煙を禁止していた。未成年者が吸っていいのかという議論は、置いといて。なぜかというと、全面禁煙にするはいいが、あちこちでこそこそ吸われて火事を起こされたら、困るからさ。これは自分の絡んだ学校だけでもなかったようだ。


 さてさて、この酒屋さんの「店舗」のお話に戻ります。

 ここには、エアコンはないけど、暖房器具なら、あります。

 それは、店主の座る階段の一番下の手前に、ね。

 その名もずばり、石油ストーブ。

 一応は、店主の暖を取るためのもの。


 だけど、もう一つ、利用目的があります。

 それは、日本酒の「熱燗」もしくは「ぬる燗」をするため。

 そう。

 その「燗酒」を目的に来られるお客さんも、いらっしゃるのよ。

 いつも信念にあふれてビールを飲むワタクシも、たまには、飲むのね。

 その酒の次方についても、まあこれは年中一定なのだけど、ここは詳しく、後に記させてください。


 さてさて、そのストーブ、店内全体を温められるのかというと、ちょっと、それは難しいかな、ってところ。なんせ、カウンターの内外を分ける出入り口のところに置かれているものだから。


 さてさてさてさて!

 で、当年とって50歳を超えて、プリキュアの子たちにまでおっさんと呼ばれるようになったこのワタクシ、まあ、日頃の言動からしたらそうなるのも無理はないと思うけどさ(苦笑)、この年になると、マジで、今までのようにはいかなくなることがあります。

 いろいろありますが、その一つが、寒さへの耐性がじわじわと弱まってきたこと。

 昔なら、それこそ大学受験の頃なら、足に毛布をくるませて服を重ね着するだけで十二分に耐えられたのが、今や、もう、最低エアコンがないと無理なのに加え、それでは足が温まらんということで、足下には貰い物の電気ストーブをかけて、それでようやく耐え忍べるという始末。靴下も、この時期からの「マストアイテム」よ。寒いからね。かくして、大好きが一番のマストアイテムな少女たちのようには、だんだんいかなくなってきました。


 で、この時期のこの店の特等席、もう、どのあたりかは予想がつかれたと思いますけど・・・。

 そう、その、ストーブの向こう側なのです。

 向こう側から、なんだ、球場の観客席から選手にサインをもらおうとする野球少年のように(なんのこっちゃ~苦笑)、手を出して、時に体も乗り出して、酒の一升瓶と一緒に暖をとろうとするのです。


「あんた、年よりか(爆笑)、まだ若いのが・・・」


と、両親より年上の女性店主に面白おかしく言われますけど、寒いものは、寒いのよ。いやもう、寒いんだ(涙)。

 ~あ、そんなに寒いなら暖房の利いた居酒屋にさっさと行けよとかなんとか、そういうツッコミは、ナシ20でお願いします(汗汗)。

 

 今年もそろそろ、そういう時期が近づいて参りました。

 私の場合、なぜか、12月の半ばか年明けぐらいまではそこまでしなくても耐えられるのが、最近は、耐えられる限界がだんだん低くなってきたようで、いやあ、寒いのは、たまらん。

 寒いのは、たまらん。


 というわけで、酒屋さんのストーブが、待ち遠しい今日この頃です。

 では。

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