第3話

「ゆうくん。今日はゆうくんの部屋を掃除しませんか?なんか埃っぽいですし。それに今日はいい天気ですし」


「そうだな。最近アパートに帰ったらレポート書いてゆーちゃんの部屋でご飯食べたりして掃除してなかったもんな」


「じゃあやりましょう!ベッドの下とか、本棚とか、机の引き出しとかを入念にやりましょう!この前私の部屋で虫が発生したことがありましたから」


「ゆーちゃんの場合は特殊だからな。俺の場合はベッドの下はともかくとして机の引き出しとか本棚は大丈夫だろ」


「いえいえ!念には念を入れなければ!なにが火種かわかりませんからね!」


「ゆーちゃんって自分の部屋の掃除はやる気ゼロなくせに俺の部屋となるとやる気になるのはなぜ?」


「なんででしょうか?私にもわかりませんっ!じゃあ私、ジャージに着替えてきますね」


「おう、いってら。俺は先に始めてるから」


「ダメですよ?本棚が倒れてきたりしたらどうするんですか?助けてくれる人はいないですよ?」


「1人でやるときは本棚は動かさないからありえないぞ?」


「なにがあるかわかりませんから。私が戻ってくるまでなにもしないでください。いいですね?」


「はいはいわかったから早く着替えてこい」


「……じゃあ行ってきます」


「はーいいってらっしゃい」


〜30分後〜


「ゆーちゃんポニーテールにしたんだ」


「はい。どうですか……?」


「可愛い!しかも、ジャージが萌え袖になっててなんかいい!」


「ありがとうございます……///」


「それじゃ始めよっか」


「はい♪」


※※※※※※


「掃除の途中ですがゆうくんこれを見てください。可愛い二次元の女の子のカードが出てきました。この娘は誰ですか?」


「俺の好きなアニメの推しキャラだけど?」


「二次元でもこれは浮気ですよね?」


「いやいや。二次元と三次元を区別しような?」


「はぁ?女には変わりないじゃないですか。私、許せないんですよ。付き合ってる彼氏が女が書かれたグッズとかを持ってるのが。私がいるのですから、私だけを見てほしいんです。なのでこれは……ね?言語化しなくてもわかりますよね?」


「でもなぁ……」


「い、い、で、す、よ、ね?」


「ハイダイジョウブデス」


「じゃあ次はこの雑誌です!中身を見てみましたが、怒りの臨界点を超えました。問答無用で……ね?わかりますよね?ね?!」


「これ俺の推しキャラの特集が組まれてるから……」


「ゆうくん。何か言いましたか?」


「これ、俺の推しキャラの特集が……」


「な、ん、で、す、か?」


「ハイスキニシテケッコウデス」


「よろしい。でも、おかしいですね。推しキャラがいるということはグッズもあるということなのですが……」


「いやぁ、グッズは実家にあるんだよ。引越しの時あんまり荷物あってもダメだしさ」


「ほんとですか?」


「ほんとだよ」


「そうですか……。ところでゆうくん、押入れの虫対策はちゃんとやっていますか?押入れには害虫が湧きやすいのでやってないならやったほうがいいかと。冬物の服とか虫に食べられて穴が空いてしまいますよ?」


「その辺は抜かりないから大丈夫。防虫剤とか色々と配置してるから」


「そうですか。あ、防虫剤には使用できる期限があるものがありますのでご注意を」


「マジか。2年ぐらい取り替えてないな。あ、防虫剤買いに行ってくるよ」


「念のために持ってきておいてよかったです。これ、私が部屋で使ってるやつと同じなんですよ。おそろにしましょう」


「そうだな。ありがとう。あとからやるよ」


「あとからではなく今やった方がいいかと。私もですが、後回しにしてしまうと忘れてしまいますよ?」


「じゃあスマホのタスク機能にメモしておくよ」


「今やりませんか?私も手伝いますよ?」


「まずは部屋をきれいにしないと」


「あとは部屋に掃除機をかけるだけで終わりですから問題ないですよ?」


「ゆーちゃんの手を煩わせるほどのものじゃないっていうか」


「私はゆうくんの彼女です。ゆうくんの手伝いをするのも彼女の役目なんですから頼ってくださいよ」


「1人でできるから大丈夫だって」


「ゆうくん。やましいことがないのであれば別に私が手伝っても問題ないですよね?それとも何か隠し事でもしてるんですか?例えば……グッズとか」


「そそそそんなわけないだろ?ただ置くだけだから俺でもできるし!」


「私、嘘つかれるのが大大大っ嫌いなんですよ。今なら許してあげます。素直に言ったほうが身のためですよ?」


「イマアケマス」


「うわぁ……。なんですかこれ。撤去しなきゃじゃないですか。そしてまだ雑誌が……」


「な、なあ。俺の趣味なんだ。だからやめてくれないか?」


「はぁ?ゆうくんは私と付き合ってますよね?とゆうことは私しか見ちゃダメなんです。他の女のことを見ちゃいけないんですよ!これ言うの2回目なのですが」


「だからこれは二次元で……」


「関係ないっていってますよね?!他の女に見惚れているゆうくんを見るのが嫌なんですよ!」


「だとしてもこれだけは……」


「はぁ?」


「だって、結婚を前提として付き合ってるだろ?俺たち。でも、途中で別れるかもしれない。だからその時の癒しになるからさ……」


「私がゆうくんと別れる……?は?意味わかりません。私がゆうくんと別れることはありえません。なので安心してください。それとも、ゆうくんの中では私と別れる予定があるのですか?もちろん、あるわけないですよね?」


「ないけどさ。こればっかりは趣味だからできなくなったりすると困る」


「じゃあ別の趣味を見つければいいのでは?」


「趣味は一朝一夕でできないんだが」


「じゃあ、私と一緒に散歩はどうですか?朝の空気は気持ちいいですよ♪」


「学生に早起きは辛いんだが」


「夜でも大丈夫です。夜景が綺麗に見える場所を知ってるんですよ」


「夜はレポートとかやらなきゃだから無理」


「じゃあ休みの日にやりましょう。お散歩デートです」


「散歩はいいとして、見逃してはくれませんかね?」


「無理に決まってますよ」


「デスヨネー」


「と、ゆうわけで撤去スタートです♪」


〜1時間後〜


「終わりました!お布団も入ってスッキリしましたね!」


「そうだな……」


「そんなに悲しそうにしないでくださいよ。私がゆうくんに悪いことしてるみたいじゃないですか」


「自覚あったんだな」


「なにか言いましたか?」


「ナンデモナイヨ!」


「ですよね!私の気のせいですよね!」


「そうだな!うん!」


「それじゃあ終わったことですし、コンビニでスイーツでも買って食べますか!もちろん、私の奢りです♪」


「いいねそれ!じゃあ行く準備しますか!」


「ですね!」


〜コンビニ〜


「午後3時だからですかね。たくさんスイーツがあります」


「それは関係ないと思うぞ?」


「そうでしょうか?あ、このケーキの詰め合わせ美味しそうです」


「じゃあそれにしようぜ。2個ずつ食べれるし」


「じゃあ決定ですね。飲み物はりんごのジュースでいいですか?この前水が好きって言ってましたけど」


「りんごのジュースでいいよ。ケーキを食べるのに飲み物が水ってなんか嫌だし」


「わかりました。それじゃあ会計をするのでゆうくんも一緒に来てください」


「そう言われなくても来るよ」


※※※※※※


「会計の時つねってくるのやめてくれ。めちゃ痛かったんだが」


「仕方ないですよ。ゆうくんは私のものだということの自覚を常時思い出させる必要がありましたから」


「会計が女の人だからってさ。ただの会計で恋は生まれないから」


「わからないじゃないですか!手と手が触れ合うことでお互いを意識し合うなんてことはざるにありますから!」


「いや、会計のときはトレイにお金を置くからそんなことありえないかと。それにゆーちゃんの奢りだし」


「そうですけど……。ほら、何かの拍子に目と目があったりとか。ね?」


「わかったよ」

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