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気を取り直して、とはいかないが考えていても仕方がない。
待ちに待った、ほんとに待ちわびた入学式である。ここまでの道のりは険しかった。主に、受験勉強とか、あの女とかあの女とかあの女とかあの女とか。
でも有川先生へのあの馴れ馴れしさからして、たぶんあの女は俺たちからして先輩だ。あの女がいる部活にさえ入らなければ関わることもないだろう。
導き出した結論にホッとして、校長先生の話を聞いた。周りの人の中には船を漕いでいる人もいる。校長先生のありがたいお話だぞ、聞けよ。
なんて思いながらも俺だってちゃんと聞いていない。俺は昨日あったボヤ騒ぎで寝不足なんだ。
校長先生のありがたいお話が終わり、次は在校生代表の挨拶らしい。
えっ、挨拶ってあの女がするの? さっきの原稿ってこれのこと? 大丈夫か、この入学式。
「えー、皆さん初めまして! 在校生代表の
体育館に静寂が訪れる。……え、おわり? 先生3分って言ってたけど、大丈夫かな。
案の定大丈夫ではないらしく、マイクを持ちながら目線をさまよわせている。
「えー、あのー、んー、えと、し、質問ある人、手を挙げてください!」
まさかの展開だよ。あなたもう喋る気ないのね。みんなもそれで手挙げるのかよ。順応能力高いな。
「おすすめの食堂のメニューは何ですか?」
「私のおすすめはコロッケパンうどんかな。うどんにコロッケパンをのせるだけ! 超簡単」
「一番優しい先生は誰ですか!」
「やっぱり、有川先生だねー」
入学式じゃないよこれ。なんなのこれ。先生たちを見ると悟った顔をしていた。あっ、いつもこんな感じなんだ? 先生諦めちゃってるよ。
生徒は校長先生の話の時とは違って寝てないけど……、いいのかこれ。
一気に騒がしくなった体育館に、しばらくしてタイマーの音が鳴り響く。
「はい、では予定の3分がたちましたのでこれで挨拶を終わります! ご清聴ありがとうございましたー」
あの女の言葉をきっかけに体育館に拍手が巻き起こった。
ちゃっかりタイマーで3分計ってたのね。カップラーメンか。
もはや、質問コーナーと化した在校生代表の挨拶は大成功? したのだった。
いいのかこれ。
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