第7話 大当たり確率2倍魔法のヤバさ

 ★2021年11月12日★


 昨日、当たり確率が2倍になる魔法を覚えた。しかも計10時間も使える。最初の魔法ウリンチャージで当たったのはたまたまらしく、今度の確率上昇は本物だ。


 俺は10年ぶりにパチンコを、それも4円パチンコを朝から本気で打つつもりだった。


 4円パチンコを打つには大量の金が必要になる。

 手持ちの2万円では全然足りない。


 俺はATMから更に5万円を下ろし、朝から近所のパチンコ屋へと向かった。


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 パチンコ屋は既に開店しており、数名がプレイ中である。


 俺はお金を使わないよう、当たりやすい台を探すため、店内をぐるぐると歩き回った。すると海物語サエゴという1/90の台を発見する。


 サエゴのスペックは通常時の確率1/90、確変時の確率1/9、当たり出玉450発、当たった後は5回転だけ確変になる単純なスペックだ。


「手持ちも少ないし、これなら丁度いいな」


 早速イスに座り1万円を投入、上皿のデジタル100が貸玉ボタンを押すと95に変化し、パチンコ玉125発が上皿に流れてきた。


「当たり確率2倍も忘れずに……と」


 2倍当たりを引きやすくなる祝福を発動、カウントダウンが始まる。


「さあ、当たってくれよ」


 すると11回転目にリーチ、そのまま大当たりとなった。


 使用金額はまだ1000円。さいさきが良い。


 大当たり終了後の確変5回転でもバンバン当たる。玉はモリモリ増えていった。


 ――――10時間が経過。


 当たり確率2倍の魔法を使い切り、大当たり回数は153回、出玉は5万発近くになっていた。

 この店はパーソナルシステムを使用しているので、玉を入れるドル箱は使わず、玉は全部各台計数されている。


 途中、白シャツネクタイを着た上級店員が背後にチラチラ見えていたが、当たりが止まらなかったので仕方がない。両腕のソデをまくって、不正してませんよアピールをしたのが功を奏したのか、それから白シャツ店員は見ることが無かった。


 店員だけじゃなくて、隣のおばちゃんも「いやーあんた凄いねー」とか話しかけてくるし、たまたまですよと言うしかなかった。そもそも1/90の甘デジで5万発とか世界記録だと俺も思う。


 10時間という長時間の実践だったが、心地よい疲れを感じていた。

 結局、特殊景品大34個、中景品1個と交換して17万円勝ちと、とんでもない大勝利に終わった。


「すごい勝ったな、これもう働かなくてもいいんじゃないだろうか」


 17万円という直接見た大金に、そんな考えになってしまう。


「だが同じ店で何度も出すと怪しまれる。今度からは別の店で少しずつ抜いていこう」


 パチンコ台には確率的に出せる限界があり、今日のような出し方をするとゴト師と間違われる。

 一度ゴト師で出入り禁止になると、他のパチンコ屋にも顔写真が出回り、全てのパチンコ屋で出入り禁止になる。


 違法な事をして玉を出す職業であるゴト師と間違われてはダメなのだ。

 あくまで、健全なパチンコプレイヤーとして、玉を出さなければダメなのだ。


「とりあえず栄養の付くものを買って帰るか」


 俺は気分良く帰った。


 財布の中身23万8000円

 コンビニで6000円使用

 残り約23万2000円


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