第7話 遊びの起源
「あーぁ、何か楽しいことないかなー」
ボクは誰に言うでもなく声を上げた。
ボクは正直、おいかけっこやかくれんぼで遊ぶ毎日が退屈でどうしようもなかった。
すると、一緒に遊んでいたマーくんが口を開いた。
「なぁ、俺さっき楽しい遊び思いついたぞ!」
マーくんはニッと歯を見せてボクに笑いかける。
「えっ、ほんと!?」
ボクは急いでマーくんに駆け寄った。
いつの間にかマーくんの両手には、植物の枝のような棒きれと、手のひらくらいの大きさの石がそれぞれ握り締められていた。
「まず、これをお前に渡す」
マーくんは棒きれをボクに押し付けるように差し出してきた。ボクは訳もわからずそれを受け取る。
「それで、俺はこの石を持ってお前から少し離れるからな」
そう言うとマーくんは、小走りにボクから離れて行き、あるところでぴたりと立ち止まった。
「ねぇー、これどうしたらいいのー?」
ボクはたまらず聞き返す。
「いいかー、俺が今からこの石をお前に向かって投げるから、お前はその棒を振って石を打ち返すんだ!」
マーくんはおかまいなしに説明を続けたが、ボクにもマーくんの言いたいことが少しずつ飲み込めてきた。
「なるほど……わかったー! やってみる!」
ボクは棒きれを両手で握りしめると、マーくんの方をしっかりと見た。
「じゃあ、いくぞー!!」
マーくんは思いっきり振りかぶると、勢い良く石を投げつけた。
ボクはタイミングを合わせて思いっきり棒を振ったが、少しもかすることなく石はそのまま遠くへと飛んで行った。
「早いよぉー!」
ボクはマーくんに文句を言った。
「わかったよ、ほらもう一本棒やるから」
マーくんは僕に向かって、もう一本棒を放り投げた。
「じゃあ、もう一回やるぞー!」
「わかった! よーし、今度は大丈夫だ!」
ボクは背中から生えている四本の触手を使ってもう一本の棒をつかんだ。
「そりゃあ!!」
マーくんが再び石を投げた。今度は石の軌道をよく見てからボクは両手と触手でつかんだ二本の棒を力いっぱい振った。
すると、鈍い破裂音と共に石が砕け散った。ボクの振った棒が命中したのだ。
「わぁい! 当たった、当たった!」
ボクはその場で両翼をばたつかせながら飛び上がって喜んだ。マーくんがボクの方へ走って戻ってきた。
「な、面白いだろ! 明日他のやつにも教えてみんなで遊ぼうぜ!」
マーくんがまた満面の笑みを見せた。よほど嬉しいのか、耳が真っ赤になり大きく横に広がっている。
「うん、そうしよう!」
それからボクとマーくんは家までかけっこして帰った。気がつけば空にふたつの月が出ていた。
銀河系、とある惑星の夕暮れにて──
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