第二話 少年、平野平秋水と邂逅する(4)

 不良のリーダーは突然、大声で笑い声を出した。

――最強の武器を手に入れた

 その高揚感、興奮で何かがはじけ飛んだ。

 ナタニエフ(弟)も土井を抱えながらも思わず後ずさる。

 他の不良共も引いていく。

 ただ、ナタニエフ(兄)は違った。

 リーダーは引き金を引いた。

 耳をつんざくような発砲音がした。

「ぎゃあああああああああああ‼」

 それ以上の悲鳴がすぐに上がる。

 リーダーが肩を持って泣き叫んでいた。

「……やっぱ、なったか」

 ホッケーマスクをしたナタニエフ(弟)はため息をついた。

「?」

 首をかしげる土井。

「アニメやドラマじゃあ、俺みたいにカッコいい主人公たちが片手撃ちをするがそんなもん、よほどの上級者じゃないと人を、ましてや心臓を狙うなんざ、それこそ奇跡さ」

 ナタニエフ(兄)ゆっくりリーダーから拳銃を奪う。

 そして、リーダーの胸に拳銃の銃口を押しあてた。

 あれほど泣き叫んでいたリーダーは顔面蒼白になった。

「な……何をするんだ?」

「お前は、俺の命を奪おうとした。だから、こっちもお返しをするのさ」

「だって、お前は……」

「早とちりだねぇ。俺は『この銃を知っているか?』という確認と、雑学で『ここいら辺に心臓があるよ』と言っただけじゃねぇか?」

 リーダーは周囲の者に助けを求めたが誰も動けないでいた。

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