第二話 少年、平野平秋水と邂逅する(1)

 夜の港というのは実に多彩な顔がある。

 デートの待ち合わせ、仕事帰りの男たち……

 しかし、それは港が『港』として機能しているからの話であり、既に数年前から廃墟である港は不良や極道のたまり場になっていた。


 土井順平はそんな不良たちと戦っていた。

 しかも、体中に痣や瘤は出来ているが、たった一人の少年が自分より倍以上生きているであろう不良たちと善戦していた。

 最初のうちは確かに苦戦した。

 痛い。

 辛い。

 でも、普通なら恐怖心が湧くはずなのに、何故か冷静になっていく。


 マンションを出る時にナタニエフ(兄)は助言をした。

「本当の敵は、諦めようとする心だ」

 

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