第一話 少年、ナタニエフ(兄)と邂逅するという話(6)
「はぁ!? つまり、親父は正味四時間ぐらいで、その子供にうちの奥義を教えたってこと?」
正行は食後のコーヒーを吹き出しそうになった。
なお、コーヒーは父の秋水が淹れたものである。
驚くのも無理はない。
正行は十歳の頃から亡き祖父を師事し修行していた。
「大変じゃない」と言えば噓になる。
学校のこと、勉学も友人付き合いも疎かにできなかった。
『学年で一番になれ!』とは言わないが、宿題などをしないと頭にげんこつが飛んだ。
学校などと同時並行に修行がある。
最初のうちは時間割のようなもの祖父、春平は作っていた。
やがて、自分で予定を立てられるようになると春平は何も言わなくなった。
中学を卒業するまでは木刀も持たせず、基礎体力と体捌きだけを徹底的に体に染みこませた。
木刀を持つだけでも五年以上過ぎていた。
それが、インターネットで知った覆面に技の伝授を願う小学生に正行は呆れと驚きを隠せなかった。
「……まあ、それなりの事情があったんだよ」
そういうと、土井順平のことを秋水は語りだした。
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