第7話 墓守の旅立ち



 私は、逃げずに戦わなければいけない。


 ここまでの事を無意味にしてはいけない。


 生き残った意味を考えなければならない。


 だから、箱舟から今まで生きてきた世界を見下ろした。


 たくさんの白い影たちが、こちらを見上げている。


 涙がこぼれて、星のような光を宿す。


 すいこまれるように、滅びゆく世界の大地に落ちていったそれは、あたりを優しく包んでいった。


 白い影たちが消えて、蝕が箱舟に手を伸ばし荒ぶる中で、私はそっと別れの言葉をつぶやいていた。


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墓守の旅立ち 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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