第3話 箱舟



 私と彼女の出会いは、世界が滅亡する前。


 その時から交流が続いているため、彼女の事はよく知っていた。


 彼女は、世界の種を運ぶもの。


 この世界が滅ぶのを見届けた後、種を回収し、他の世界へ届ける役目を担っている。


 彼女はどこまでも傍観者であり、事態を解決する力を備えていない。


 こちらと同じ、無力な少女だった。


 だから、他人のようには思えなかったのかもしれない。


 普段は世界を見て回っている彼女は、たまにここに訪れては、他愛のない話をしていた。


 そんな彼女が、箱舟がやってくると言った。


 箱舟は、命を保存するための船らしい。


 滅びそうな世界を見つけては、命が絶滅しないようにしているのだとか。


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