第4話 ここで朽ちたい



 彼女は、箱舟に乗るように私に促してきた。

 しかし私は断った。


 ここが生まれ育った世界なのだから、私はここで朽ちたかった。

 何よりも、友人達の近くにいたかったのだ。


 だから、死ぬまでここで墓の管理をしていくつもりだった。


 しかし、状況はそうは許さない。


 活動を止めていた蝕が、私を殺めようとしていたからだ。


 世界中の人を殺めてもなお、とまらない異形の化け物。


 そんなものに無力な私は、なすすべもない。


 しかし、私は死ななかった。


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