第3話 崩壊まで、積み重ねた嘘
肉体的と精神的な疲労、そして長期間体の悲鳴を無視したせいで、32歳の時倒れた。
それは、一時的なものではなく、何年間のあいだに何度も再発したものだった。ようやく状態が落ち着いたと思ったら、思わぬアクシデントでけがをした。
体が弱っている間、精神的にもダメージを受け続けていた。家で休養しようとしても、中々落ち着いていられなかった。
「あなたはいつもこうだから、病気になるのは当然」
「あなたの責任でしょう、自分の体を大切しないから」
「そんなことをしないでと言ったじゃない、言うことを聞かないからさあ、こうなるのは当たり前だよ」
いくら事実だとしても、病人にこういう役立たずなことを繰り返し言って、いったい何のつもりなの?逆励まし?それとも、自業自得ということを強調したいから?まさか、こういう状況を楽しんでいるんじゃないよね?
応援とかサポートしなくていいから、静かにしろよっと、内心で叫んでいた。
ようやく自分の状態が安定し始めた時、今回は母が膝の手術で入院することになった。私はケガにより椎間板ヘルニアの痛みを抱えながら、毎日仕事後に病院へ行ってお見舞いをした。立っているだけで辛かったのに、広大な病院の敷地内に歩き回っていなければいけなかった。家に帰ってから、家事をしなければならなかった。母が退院後、看病と家でのリハビリを手伝うこともした。なのに、母はある日私にこう言い放った。
「リハビリの手伝いをやりたくなければいい、そんな嫌な顔を見せないで!」
私はいったい何をした?ただ、体の痛みで動きがいつも遅くなり、ちょっと待ってて欲しいと言っただけで、気に入ってないから私に八つ当たりをしたの?もちろん、病人には体の痛みで気持ちが良くないことは承知しましたが(私だって病人なのに)、何で私にそういうことを言わなければいけないの?
もっとひどかったのは、母が周りに私への誹謗中傷をし始めたことだ。
「全然看病してなかったし、家でのリハビリも手伝わないし、本当に役立たずなの」
まるで氷水が頭からかかったように、心は一気に冷めた。どれほど頑張ったのに、体の痛みを堪えながら一所懸命に手助けしようとしたのに。その努力を無視されるだけではなく、私を悪く見せるためにここまで嘘をついて、理由は何なんだ?
あなたがとても可愛がっていた娘はあなたが退院の翌日に、あなたを家に放置し、一日中デートしたのよ?同じ病人の私が自分の痛みを耐えながら看病しようとしても、この有様って何だ?
このことを境に、私に関する嘘がどんどんエスカレートした。
「あいつさあ、家で私を無視したんのよ。何様のつもり?」
いや、あなたが大きな声で私に「話かけないで」って言ったでしょう?だから、私はあなたを避けて、何も言わないんじゃないの?
「あいつは家事を全然やってくれない。妹の方がやっているのよ」
こんな嘘をよく言えるね。一週間の六日間に私は家事をやっていたのに、日曜日にしかやらない妹の方がいいってこと?
「あいつは自分で外にいいものを食べてばかり、私の分を買ってくれないのよ」
だって、あなたに聞いたが、何も食べたくないと言ったじゃない?だから、私は何も買わないでしょう?なのに、この言い方だと、最初から私はわざとこういう悪意がある行動をしたみたいよ?
「あいつは大きな罵声で私と話していたの、ひどいでしょう?本当に短気な子で、親に向けて最低だわ」
先に挑発したのはそっちなのに、大きな声で叫び続けたのも私じゃないよ?いつの間に私は挑発した犯人になったの?
「借金を何度も作ったしね、本当に金銭管理ダメな人だよ。これから先も失敗するでしょう」
そこまで私の失敗を望んでいたの?自分が悪いことをしたって分かっていても、問題を解決しても、一生許さないってことかな?それに、母親が子供の失敗をそんなに期待するって、可笑しくない?
何度も、何度も、このような嘘が広まったせいで、妹も私がいろんなひどいことをしたって信じるようになった。それで、自分の母親を庇うために、私をきつく責めた。
「あんたが悪いのよ」
「あんたがいけないのよ」
「あなたは恩知らずの人だよ、母親にそんなことをした」
あなたに言われたくないよ、正義の味方みたいに演じる偽善者だ。よく母を家に放置し、自分勝手なことをしたじゃない。その母親があなたに怒っても、ぶつかることができない分、すべて私にぶつけて来た。
最初はこういうことが起きる度に、悔しくて泣くことが多くあった。でも、何度も繰り返すうちに、段々怒りの方を強く感じ、最後は心がマヒしたように何も感じなくなって、ただ疲れたなあと思っただけ。
「またかよ」
そして、ついに決定的な出来事が発生して、何とかしないといけないという時が来た。
元々、私はひとりで家で仕事をしていたが、コロナのせいで、妹も在宅勤務になった。そして、母は手術の後早期定年退職になった。四六時中全員が一緒に居ると、衝突が頻繁に発生し、それと激しさがどんどん上がっていた。
一番堪えられないのは、同じく書斎で仕事していて、妹は一日中ずっと電話をしてた。大きな声で笑ったり、くだらないことも言ったり、どうしても真面目に会議をしているとは思えなかった。声を小さくして欲しいと言っても、全然聞いてくれない、わがままで自分が好きなようにやりたいだけ。こっちの仕事と会議に影響していたのに、他人への気遣いはまったくなかった。母は平等扱いなどを期待できないと分かっていても、さすがにこういうことを言われると呆れた、
「あんたがわざと言いがかりをつけたいのでしょう?大体さ、あんたが敏感すぎて、一々うるさいのよ。みんながあなたの思うようにしたいだけだろう。くだらないなあ、妹の仕事に邪魔しないでよ」
まるで悪いのは私だった。本末転倒だった。
もうこれ以上何を言っても変わらない。どんなに頑張っても無駄だ。こんな家にいると、ストレスで体が壊れる前に、心が先に死んでしまうかもしれない。
そこで、ある友達からの一言で、目が覚めた。
「あの家から出ていればいいじゃないですか?一人でも生きていられるでしょう?」
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