角煮
冬になるとストーブの上で煮込み料理を作る。土鍋に材料と調味料を入れてストーブの上に置いておくだけで翌日には美味しい煮物が食べられる。怠け者には有難い調理法だ。
大きな豚バラブロックの表面を焼いて大根と一緒に煮込む。出た脂は取っておいて炒飯や炒め物に使える。
―かくに…
―あったかい…
家中に大根と角煮の香りが漂い、ストーブの周りですうが踊っているような気配がする。
以前は煮込む時に八角を入れて中華風にしていたのだが、甘い香りの肉がなんとなく口に合わなかったので、生姜を入れて調味料は味醂と酒と醤油だけにした。
『八角は風水では四方八方からエネルギーを取り込むって云われてて縁起がいいの』
母はそう云っていたが、味の好みもあるし特にエネルギーは要らないと思う。それに風水なら縁起物の八角鏡の事だったかもしれない。買ってはあったものの、使い途を無くした八角をどうするか思案した。
八本の棘のようなものが突き出た八角の形は可愛い。西洋ではスターアニスと云ってリースやポプリ、小物に使ったりもする。
「リースを作ろうかな」
時期的にも丁度良いかもしれない。後で庭に生えた蔓を切ってきて乾燥させよう。
―りーす…
―かくに…?
「リースは食べ物じゃないよ」
スターアニスの甘い香りに釣られて、すうがリースを食べてしまわないかと少し心配になった。
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