薩摩芋
すうは機嫌が悪いようだった。
いつも聞いているラジオの周波数を変えたり蛍光管を外したり、地味な嫌がらせをしてくる。
私の何に怒っているのだろう。
はっきり言って貰わないと分からない人間なので、すうの不機嫌の理由に思い当たる節がない。
先日、お隣の奥さんから薩摩芋を貰った。
一人と一怪異で食べるには多かったので、全部蒸してラップに包んで冷凍した。
すうも蒸し芋を喜んで食べていたはずだ。
冷凍庫から出した蒸し芋を眺めていると、不機嫌そうな声がした。
―大学芋…
「は?」
―大学芋…
―カリカリ…
ああ…。
全部蒸してしまったら外側がカリカリの大学芋には出来ないということか。
「生の芋買ってきてやるよ」
―カリカリ…
少し嬉しそうなすうの声を聞きながら、何故怪異の機嫌を取らねばならないのだろうかと私は思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます