第9話 青春サークルと愛の取引
春美と食事してから俺は5時限目の授業を受ける。
すると紙が飛んできた。
俺の頭に命中である。
目をパチクリしてから俺はノートから顔を上げる。
そして床を見ると.....紙飛行機があった。
「.....?.....授業中だってのに」
思いながら俺は飛んで来た方角を確認しようと目線だけ向ける。
その方角には集中している生徒ばかりで.....あとは燈ぐらいか。
そういう感じの生徒達のみである。
俺は床に落ちていた紙飛行機を広げた。
(放課後になったらフルーツサンドの店に行かないかね?)
それはどうも.....美春が書いた様だった。
成程な丁度.....斜め後ろか。
思いつつ俺は紙飛行機に返事を書いた。
今日も忙しいから、と。
そして教師が後ろを向いてから飛ばした.....のだが。
距離が足りなかった。
燈の頭に命中したのだ。
「.....」
燈はそれを拾って開ける。
それから俺を、美春をジト目で見る。
そして何かを記載してから美春に渡した。
俺は青ざめながら.....美春を見る。
美春は赤面しながら受け取る。
「.....」
何が書いてあるのか分からなかったが。
直ぐに美春がコチラに紙を指し示す。
そこにはこう書かれている。
藤也が好きなの.....と。
俺は、ハァ!?、と思いながら見ていると。
背後の背後。
つまり奥の桜花がまた凄い睨んでいた。
俺は冷や汗を流す。
すると頭をバチンと思いっきり叩かれた。
「.....あ。先生」
「.....やあ。楽しんでいるかね?」
「.....楽しく.....無いっすよ?」
「.....そうか。それはそれは。立っていなさい。君と来宮君は」
先生はキレた様子で俺を見てくる。
どうやら来宮が指し示した所から見ていた様だった。
俺のせいなのかこれ.....、と思うが。
まあ美春と俺だしな原因は。
思いつつ.....俺はクラスメイトに笑われながら立ち上がる。
そして美春と外に出た.....。
気まずいんだが.....。
☆
「私は違うから」
「.....何がだ?」
「べ、別に君の事.....好きじゃ無いから」
「.....お、おう」
廊下に立たされた俺と美春。
赤面で俺を見上げてくる美春は唇を噛んでいた。
俺はその姿に、大丈夫だって。お前がそういう感情を持っていないのは知っているからな、と答える。
しかしその答えはマズかったのか。
何だか美春は萎れた。
「.....」
「.....」
困った.....。
燈の野郎.....だが。
思いつつ居ると.....教室のドアが開く。
それから.....燈と桜花が出て来る。
どうしたんだよオイ。
「.....追い出された」
「.....私は山口さんを問い詰めただけです」
「.....何をしているんだお前ら.....」
争うなよ。
思いつつ.....燈を見る。
燈は不愉快な顔をしていた。
桜花もかなり不愉快そうに燈を見ている。
そして、ふんだ!、とそっぽを向く。
「.....どうしたもんかね.....」
「そもそも美春さんが悪いですよこれは。.....藤也に聞くから」
「私?.....酷いなぁ」
「誰がどうだって良いわ。もう。追い出されたのは事実だしな」
その中で。
桜花が俺を見ていた。
眉を顰めているがどうも怒っている様だった。
俺はその姿に盛大に溜息を吐く。
そして、なあみんな、と向く。
「特に燈と山口だが.....仲良くしようぜ。取り敢えずは」
「無理です」
「私も」
「.....私は構わないんだけど.....」
「.....ハァ.....」
どう解決へ導くべきか。
思いながら俺は顎に手を添える。
それから溜息をまた吐く。
また溜息かよ、って感じだが。
するとその中で美春が、もし良かったらだけどさ、と言い出す。
「.....サークル作らない?」
「.....いきなり何を言い出すんだお前は。.....そんなもの作ってどうすんだ」
「.....いや。何となく人数も揃ってるし良いかなって思ったの。部活も入ってないしね」
「仲良くする為のサークルって事か?」
「そういう事。.....青春サークルって名付けようかなって思った」
美春の計画らしいな。
キラキラと目を輝かせている。
俺はその姿に額に手を添えた.....。
すると燈がこう言う。
「.....私だって山口さんと仲良くしたいですけど.....。でもこういう性格が苦手です」
「私も明るすぎるのは苦手」
「.....まあまあ。取り合えず青春しないって感じだよ」
「.....まあ良いですけど」
「.....私もまあ良いけど」
俺を見てくる3人。
つまり.....俺も入れってか?
思いながら.....頭をガリガリと掻く。
しかし.....良いのか?
桜花の仕事は.....、と思う。
「じゃあ決まりだね。.....サークル作ろう」
「.....ですね」
「.....」
「まあ良いけど.....」
するとまた教師に怒られた。
俺はシュンとしながらも、何だか動き出したな、と思いつつ。
そのままサークルに入る事になり。
サークルが完成する事になった。
☆
「じゃあ誰か先生を呼ばないといけないですね」
「それはそうだね」
「アテも無いだろ。どうすんだよ」
放課後の話。
そうしていると。
桜花が俺の袖を掴んだ。
それから見上げてくる桜花。
俺は?を浮かべて桜花を見る。
そしてヒソヒソ話してくる。
「2人で一緒に.....色々青春出来たら良いね」
「.....いや.....燈とも仲良くしないと。サークルの意味が無いだろ」
「.....でも私は藤也と活動さえ出来れば何でも良いから」
「.....あのな.....」
そんな会話をしていると。
何の話をしているの?、と美春が聞いてきた。
俺達は、サークルの話だ、と言う。
それから.....職員室に向かった。
「というかサークルの目的は?」
「文藝部かな。でも中身はラノベ部にしようと思う」
「.....お前本気で?」
「だってそれ以外に無いと思わない?」
それを聞いてから。
案外乗る気になったのが.....桜花だった。
ラノベ読んでいるしな。
思いつつ俺はキラッと目を輝かせた桜花を見ながら苦笑する。
そうしていると燈が、私はライトノベルって読んだ事ないですよ?、と向いてきた。
「ああ。そうなんだな。.....まあ色々あるから。若者の本と思ってくれたら良いぞ」
「.....そうなんだね藤也。.....じゃあこれを機に読んでみようかな」
「.....ああ」
そんな会話をしていると職員室に着いた。
俺は職員室に入ろうとしたが。
その時に、ちょっとトイレに行ってきますね、と桜花が言った。
それから席を外す様に去って行く。
そして角を曲がった時。
俺の電話が鳴った。
「.....!.....すまん。俺もトイレ行って来る」
俺も慌てて席を外す様にしながらトイレに向かった。
まあその.....燈達に相当に怪しまれたが。
桜花の電話だったから.....何とも言えない。
そして角を曲がってトイレに向かうと。
桜花が壁に寄り掛かって俺を見ているの気が付いた。
俺はその姿に、どうした?、と言う。
すると桜花は俺を見て、やっぱり私は入るの止めようかなって思う、と言ってきた。
「.....2人で抜け駆けしようよ。.....私は.....藤也さえ居れば良いんだから」
「.....でも桜花。.....お前の為にやってくれているんだぞ」
「.....何で?.....藤也。もしこれで.....私達の秘密がバレたらどうするの?」
「.....いや。まあそうだけどさ.....」
俺の手を握りながら。
潤んだ目で俺を見上げてくる桜花。
それから俺に縋る。
どうして分かってくれないの、と言いながら。
「桜花.....俺としては友人を作って欲しい気持ちもあるんだよ」
「.....私の為って事?」
「当たり前だ。.....お前以外に誰が居るんだよ。折角の機会だし.....どうかな」
「.....藤也がそこまで言うなら仕方がないけど.....」
じゃあ私と取引だね、と言いながら俺を見る桜花。
そして笑みを浮かべてくる。
俺は、取引?、と言いながら目を丸くする。
すると桜花はこう話した。
「頑張る代わりに.....私を好きになる努力をして」
「.....え.....」
それは衝撃的な一言だった。
俺は目をパチクリしながら、な!?、と思いつつ桜花を見る。
桜花は赤面で、それが条件だから、と言い出す。
あまりの事に.....何も言えなかった。
赤くなるだけで、だ。
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