第8話 桜花の不安

かなり酷い有様である。

何がと言えば.....今の状態が、である。

その様な修羅場になってから次の時間になって.....そして俺は昼休みになったのだが.....その。

桜花にスマホで呼び出された。

屋上に、である。


そして屋上の鍵をガチャリと掛けられたんだが.....俺死ぬの?

思いながらビクビクしつつ桜花を見る。

だが予想とは裏腹に。

桜花は俺に悲しげな視線を向けてきた。

そして俺に複雑な顔を向ける。


「.....藤也。.....あれは.....元カノなの?」


「.....そうだな。誤魔化すつもりは無い。.....俺の元カノだ。それも小学校の時のな」


「.....そうなんだね.....うん」


桜花は悲しげな顔を止めずに俺を見つめてくる。

すると思いっきり縋ってきた。

俺の胸の中に、だ。


甘える様に.....って.....学校ではこんな事しないって言ったのに!?

思いながらも桜花を受け止める。

フワッと良い香りがした。

俺は赤面する。

桜花は胸に入ったまま.....俺に聞いてくる。


「.....ねえ。どっかに行かないよね?.....貴方は.....私の使いだよね?」


「.....あ、ああ。.....そうだな」


「.....嫌だよ?私。.....藤也が居なくなるのが.....一番嫌だよ?」


「.....分かった。絶対に俺は居なくなったりしないから.....」


俺は桜花を抱き締める。

それから桜花は俺の胸の中で頷きながら離れた。

そして俺を笑みを浮かべて見てくる。

ゆびきりしてくれる?、と甘えた声を発しながら。

俺は目をパチクリしながらも、分かった、と言いながら指切りをした。


「.....藤也。私の藤也だから。.....お願いだよ?」


「.....分かってる。俺はお前の召使いだからな。ご主人様だから」


「.....うん」


桜花は笑顔で俺を見てくる。

じゃあ戻ろうか、と俺は言ってみる。

すると桜花は静かに頷いた。


そして俺をもう一度抱き締めてから。

そのまま屋上の鍵を開ける。

すると.....目の前に眉を顰めた燈が立っていた。

仁王立ちで頬を膨らませている。


「.....2人はどういう関係?」


「.....!」


「.....!!!」


食堂行ったものと.....甘かったか!

俺は思いつつ燈を見る。

直ぐに唇を噛んでから少しだけ汗をかいている桜花の横で全てを考えた。

それから燈に向いた。

燈。俺達は屋上で試験の事について相談していたんだ、と答える。

だが。


「.....無いよね。そんなの。.....だって抱き締めあっていたよね。.....そんなの試験の仲間って言えるの?」


「.....うぐぅ.....」


喉から声が出た。

ヤバい。これ絶対にヤバい。

思いながら居たが.....何時ものクールな感じで桜花を燈を見る。

燈は真剣な顔で桜花を見つめる。

桜花はその顔に、私は色々な感謝のつもりで抱き締めたけど。それは間違い無いから。だから何?.....貴方は井上君と何かの仲なの?違うわよね、と向く。


「感謝のつもりって.....」


「.....私は井上君とはそんな関係じゃ無いから」


「.....」


ワナワナと震える燈。

それから俺を見て悲しげな顔で去って行った。

もう良い、と言いながら、だ。

俺はその姿を見ながら少しだけ困惑する。


仮にも元カノだしな.....、と思いながら。

それから桜花を見る。

桜花は悲しげな顔をしたまま俺を見ていた。

どうしたら良いのだろうなこの先.....。

思いつつ俺は.....燈の背を見ながら.....溜息を吐いた。



「お弁当も食べずに何処行ってたの?」


「.....まあ色々な。.....燈はお手洗いだ。.....山口も」


「.....そう?.....ふーん。.....時間無いし食べようよ。ご飯」


パーカーの紐を調節しながら笑顔で春美は言ってくる。

俺はその姿を見ながら、だな、と笑みを浮かべる。

そして椅子に腰掛けながら春美を見る。

春美は俺を見ていた。

何だ?


「山口さんと仲良くなったの?」


「.....何?.....いや。違うからな」


「.....そうなの?だって.....結構同時に出て行ったから」


「.....そ、そうだな。.....でも違う。俺は食堂だ」


「.....そう?.....ふーん.....」


そうなんだ、と納得しながら俺を見てくる。

俺は頷きながら弁当箱を開ける。

そこに.....相変わらずの愛妻おかず諸々が入っている。


例えば焼きシャケとか卵焼きとか肉団子とか。

全部手作りだ。

前に聞いたが、だ。


「美味しい?」


「.....そりゃお前が作れば美味いだろ。当たり前だ」


「だよねぇ。うふふ。いっぱい食べてね。ダーリン」


「.....止めい」


全くコイツは。

と思いながら友人の顔を見る。

友人は、そいやさー、と箸を動かして言いながら俺を見る。


何処の職場なの?次は、と言ってくる。

心臓が鷲掴みにされるかと思った。

いや.....もろ鷲掴みか。


「えっとな.....そういうのは禁止なんだ。喋るの」


「.....え?おかしくない?それって。ペンタゴンとか防衛省にでも勤めているの?」


「.....えっと.....まあそんな感じだ」


「ふーん。.....まあ良いけど.....。夕食とか作ってあげようかなって思ったのに」


「お前マジでオカンか?」


「オカン.....ひっど。オカンじゃないし」


今度からコイツのあだ名はオカンだな。

思いつつ.....美春を見る。

すると.....メッセージがポンッと音がして入った。

そこには.....燈から。

さっきメルアドを交換したのだが.....。


(嘘吐き)


と書いてあった。

一言だけ、だ。

俺はそれを見ながら.....盛大に溜息を吐きつつ。

困ったもんだな、と思いながら、である。

美春が、どったの?、と箸を咥えながら見てくる。


「.....何でもない。厄介なだけかなって」


「?」


「.....まあ宣伝だよ」


「.....ふむ。そう?」


怪しいけど.....まあ良いや、と言いつつ。

ご飯をがっつく美春。

俺はその姿にホッとしながらスマホを仕舞った。

それから飯を食べ始める。

何か.....どうしたものかな、と思いながら。

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