桜花が胸に秘めるもの、と.....?
第6話 桜花の悲しみ
一緒に風呂に入るとは言え。
やはり裸の付き合いでは無かった。
俺は水に濡れても良い様な服装で桜花を見る。
当たり前だけど.....まあそうなるわな。
思いつつ俺は苦笑しながら目の前の水着(スクール水着)姿の桜花を見る。
桜花は、誰かと一緒にお風呂なんて久々で嬉しいな、と言っている。
「.....でもやっぱり一緒は恥ずかしいから」
「まあそりゃそうだな。.....俺だって嫌だ」
「.....えー。そこまで?.....傷付く.....」
泣きそうな顔になる桜花。
俺は慌てながらその顔を宥める様に言う。
桜花!落ち着け!俺は嫌じゃないぞ。そういう意味の嫌じゃない、と言いながら。
すると桜花は、本当?、と俯いた顔をこっちに向けてくる。
本当に子供だな、と思う。
「.....嫌いとかそんなの無いよ。やっぱり.....誰かと一緒に入るのは心地が良いもんだ」
「.....そうなんだね。.....そっか。.....あ。背中擦ってくれる?」
「.....任せろ」
そんな感じで会話しながら。
桜花は立ち上がって側の脱衣室で着替えてから。
早速とセパレートの水着姿になる。
俺は少しだけ驚きながら、どうしてそれを?、と聞いてしまった。
すると桜花は、だって可愛いからね、と笑顔を浮かべる。
「.....それに.....それに何だか君に1番に見せたかったの。.....何でか分からないけど」
「.....え?」
「何だか君に見てもらいたかった。.....このお気に入りの水着を」
「.....」
少しだけ赤面する俺。
それから横を見た。
すると桜花は、じゃあこれだったら擦れると思うから、と笑みを浮かべて.....から水着を捲った。
何か一緒に入ってないとは言え側から見たら誤解ものだな。
「そういえばお前.....前のお手伝いさんはどうしたんだ?.....俺の前にも居たんだろ?」
「うん。.....男の人だったけど.....でも遺産を狙ったから解雇した」
「.....碌な奴じゃないな。それは」
「.....君は.....違うって信じているから。.....だから信じてる」
「.....そうか。.....有難いお言葉だな」
そして華奢な体を擦り上げてから。
俺は、出来たぞ。桜花、とスポンジを手渡す。
すると、じゃあ次は君の番だね、と笑顔を浮かべる。
え?、と思いながら俺は目を丸くする。
「下.....水着だよね。.....じゃあ上半身を脱いで。.....擦ってあげるから」
「.....ああ。いや。でも良いや。桜花。有難うな。.....俺.....あまり人前で脱ぐの好きじゃないんだ」
「.....え?.....そうなんだ.....失礼だけど.....太っているとか?」
「.....違う。.....筋肉質なんだけど.....傷がいっぱいあるからな。.....色々な傷が」
俺は身体を触りながら少しだけ複雑な顔をする。
すると桜花が、ご。御免なさい。そんな事なんて、と謝った。
そんな姿に、いや。ごめん。問題ないよ、と言う俺。
自分自身に問題ありまくりだけど。
思いつつ桜花に笑みを見せる。
「桜花。.....俺さ」
「.....何?藤也」
「お前に出会ってから回り始めたよ。この世界が。先が見えるしな」
「.....藤也.....」
うん。
私もそんな藤也に出会って良かった。
と満面の笑顔を浮かべる。
傷を分かち合うなんて初めての経験だから、と、だ。
俺はその姿に、そうなんだな、と目線を向ける。
すると桜花は俺にハグをしてきた。
水着を着ながら、だ。
「今までずっと.....私は.....傷を分かち合う事が出来なかったから。.....君に出会ってから.....世界が回り始めた。.....そんな気がする」
「.....」
「.....藤也。もし良かったら正式に私のハウスキーパーになってくれないかな」
「.....俺.....で良いのか?.....本当に」
「.....うん。君じゃないと嫌だ。.....私は君だからお願いしている」
「.....そうか」
そう言えば私ね。藤也。.....不思議な感覚になっているんだ、と言う桜花。
俺は?を浮かべながら、どんな感覚なんだ?、と聞く。
桜花は風呂から上がりながら俺を見る。
何か.....藤也を見ているとフワフワするの、と。
俺は目をパチクリしてから。
顎に手を添える。
そして考える。
「.....それは困ったな。.....どうなっているんだろうな」
「.....だよね?.....私も悩んでいるの。.....ポーッと熱くなるの。藤也見ていると」
「.....そうか。うーん.....」
そんな感じで互いに悩む。
すると.....桜花は、逆上せそうだから上がるね、とそのまま更衣室に向かう。
俺はその姿に、なあ。桜花、と聞いてみる。
桜花は、何?藤也、と向いてくる。
「初めて出会った時に.....何で俺を受け入れてくれたんだ?.....遺産を狙ってないからか?」
「.....?.....あ。えっとね。.....それは違うの。.....その遺産狙って解雇した人の前の人の.....お手伝いさんと同じ匂いがしたから。だから受け入れたんだよ。君からね」
「.....その人は良い人だったのか?」
「.....うん。.....とっても。.....でも病気で辞めちゃった。.....私.....悲しかった。女の人だったんだけどね」
悲しげな顔で.....涙を浮かべる桜花。
それから俺に向いてくる。
みんな抱えているんだね。色々な事を、と言いながら。
俺はその言葉は大きなものに聞こえた。
それから俺達は風呂から上がってから。
俺は正式にお風呂を借りてそして入ってから。
誉さんの料理を手伝ったりした。
そして夕食の時間になって.....そのまま3人で夕食を食べる。
そこまでは問題無かった。
だけど問題は寝る時だった。
桜花は.....大きな声で泣きじゃくったのだ。
俺はビックリしながらも。
桜花の側に寄り添う。
☆
「みんな.....嫌いだ.....」
桜花はそう言いながら涙を流す。
俺はそんな桜花の額に手を添える。
そして、落ち着け桜花、と言い聞かせる。
すると桜花は、藤也.....、と言いながら寝てしまった。
俺はその姿を見てから安心しつつ給仕室に向かう。
「.....すいません。大役を任せて.....」
「誉さん.....桜花.....寝ましたよ。.....結局ご両親は.....」
「.....パーティーがあるから帰れないそうです。ご主人様も奥様も」
「.....」
その言葉を聞いた瞬間。
静かな怒りが湧いた。
桜花が苦しんでいるのに.....、と思いながら、だ。
そして目線がキツくなる。
「.....今日はお疲れ様でした。.....お金.....これは一月分です。50万円で良いでしょうか。.....少なければ仰って下さいな」
「.....何かお金じゃなくて桜花の両親に会いたいです。俺」
「.....それは不可能です。.....私も一言だけでも言いたいんですけどね。この家には1年に1回帰ってくるか帰ってこないかですよ」
「.....」
頭に来る。
ただ.....ただ。
そんな感じで思った。
何故、桜花をこんなに冷たくあしらうのだ。
可愛いのに.....良い子なのに.....。
「.....兎に角ですが.....ご主人様も奥様もその様な感じですが全て投げやり.....では無いですが任せてもらっているので.....何かあったら私に言って下さいね」
「.....はい.....」
何も言えない。
心苦しいとかそんなんじゃない。
胸のつっかえが取れない。頭にくる。モヤモヤする。
どうしたら良いのだろうな.....これ。
思いつつ.....俺は目の前の窓から暗い外を見た。
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