第4話 友人?絆?.....それとも愛?

図書室には簡単に言えば沢山の本があった。

俺はその中の本に目を通してみる。

すると桜花の、好きな本、とやらを桜花が持ってきた。

しかしその。

それラノベじゃねーか、と思ってしまったのだが。


「.....太宰治とかそういうのじゃないのか」


「私はそんな難しいのなかなか読めないしね。天才って言うけど息抜きは必要だから。.....だからライトノベルが好き。.....極端にエッチなのはやっぱり女の子として読めないけど」


「.....それは俺も読めないけどな。.....どういうのを読むんだ?」


「簡単に言えば異世界転生とかそういう系とラブコメかな」


「.....成程な。俺もライトノベルは好きだぞ。.....まあでもお金が無いからあまり読めないけどな」


「そうなんだ。.....えっと.....どういうライトノベル?」


俺は冒険的なモノが好きだな。

と俺は告白する。

すると、そうなんだね、と桜花は笑顔を見せた。

じゃあこっちに来て、と桜花はそのまま俺の手を引く。


そしてそのまま本棚の前に連れて来られる。

そこには山の様なライトノベルが置いてあった。

それも積み上がったラノベもある。


全て合わせると1000冊ぐらいある気がする.....。

全部新品で日焼けしてない。

俺は何だか違和感を感じて桜花を見る。

桜花は悲しげな顔を浮かべていた。


「.....こんだけ買っても投げやり。.....私に対して本当に。.....物さえ与えればそれで良いって思ってるんだね。.....あんなのは親じゃない」


「.....大変だな。お前も」


「.....お金なんて無限にある。モノも無限にある。.....だけど私はこんなの求めている訳じゃ無いから。.....幸せが欲しい」


「.....桜花.....」


「.....だから君の事は心から信頼してる。.....これって絆っていうんだろうけど。.....好きとはちょっと違う気がするけど.....でも君の事は.....本当に信頼してる」


「そうか。信頼はしてくれるんだな。.....有難うな。桜花」


「うん。.....それにしても私の家の大金を求めない人は初めて見たよ。.....何でそんなにお金を求めないの?遺産凄いよ?うちは」


そんなに沢山に遺産があっても意味無いよ、と俺はラノベを取りながら言う。

驚きながら桜花は俺を見てきた。

そして桜花は、何で.....?、と一言小さく聞いてくる。

何でと言えば.....そりゃな。

俺は生きていければそれで良いと思っているしな。


「.....俺は今の生活が、環境維持が出来ればそれで良いんだ。.....だから俺は要らないのさ。.....遺産なんてな。そもそも莫大な遺産なんぞあっても争いの元だ」


「.....!.....そういう事を言ってくれるんだね。私は.....君なら全てを託せるって思った。.....心から託せるよ」


そして俺を抱き締めてくる桜花。

俺はその姿に、オイオイ、と言い聞かせる。

それからスリスリしてくる桜花に、今までが酷かったんだな、と言った。

そうしてから俺を見てくる.....桜花の頭を撫でる。

桜花は、うん、と服を引っ張る。


「.....楽しくなかった。性的に、お金とかも。求めてくる人も居たから。.....私は怖かった。.....クラスメイトでしかも君の様な人に出会うまで.....」


それから桜花は俺を涙目で笑みを見せた。

そして、早く君に出会いたかったな、と言ってくる。

俺は赤くなるその姿に顔を顰める。

それから桜花を抱き締めた。

今回限り、と思いながら。


「.....暖かいな。やっぱり人に抱き締めてもらうと」


「.....そうだな。.....あのさ。桜花」


「.....何?」


「.....俺も知らないんだよな。.....人の暖かさってやつ。.....お前に出会って良かったかもしれない」


そうだな。

昔の事をふと思ったが。

やはり桜花の過去に似ている。

だから俺は.....そっくりだと思った。

桜花は驚きの目を俺に向けてくる。


「.....俺よりかはお前の方がキツイだろうけど。でも俺もそこそこの人生だったよ。.....お前の様な人にが居るんだなって.....そう思えた。.....俺の人生を話したのはお前を含め2人しか居ない。.....だから.....頑張るよ」


「.....うん。有難う。とうや」


さて。

じゃあ私.....ラノベ読むよ一緒に、と満面の笑顔を浮かべる。

私のオススメ教えてあげるね、とも、だ。


俺はその姿に、そうか、と応えた。

そして俺はラノベを選び出した.....桜花だったが。

三脚の上でバランスを崩した。


「.....キャ.....」


「桜花!!!!!」


必死に受け止める。

すると.....次に気が付くと桜花の顔が目の前にあった。

所謂.....俺が目の前で壁ドンした様な感じで押し倒している様な.....そんな形である。


俺は真っ赤になりながら、すまん!、と言いつつ後退しようとしたが。

桜花は俺の首に手を回してきた。

赤くなりながら、だ。

潤んだ目で俺を見つめてくる。


「.....何だろう。.....何だろう。.....これも絆?」


「.....な、何がだ?.....え?」


「.....ねえ。.....キス.....ってどんな感じなのかな」


「.....は?」


動けないんだがこれ.....!?

俺は真っ赤になりながら.....桜花を見る。

桜花は俺を見ながら.....マジな顔をしていたが。

そんな桜花の額をようやっと自由になった手で弾く。

そして離れた。


「痛い!」


「駄目だそういうのは。好きな男にしろ」


「藤也.....?」


「いくら甘々でもそれは駄目だ。.....好きでも無い相手とキスなんて。.....な?」


「.....」


何でか知らないが悲しげな顔をする桜花。

そして俺を見てから俯く。

だよね、と笑顔を浮かべながら。

うん?

何だ今の反応は.....?


「私達って.....絆で結ばれているだけだもんね」


「.....そ、そうだ」


「.....うん。.....だよね.....うん.....」


かなり落ち込んだが。

直ぐに気を取り戻した様にまたニコニコした。

それから、うん、と言いながら再度、三脚に乗る。

俺はそれを慌てて支えた。

今度は落ちない様にしないとな、と思いながら、だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る