第401話 死と再会

 地上に落下したレンは、ワイバーンで飛ぶフィレンに受け止められた。


「これは……不味いなんてものじゃ……」


 すぐさま地上に向かう。




「レン!ルティア、すぐに」


「ええ、見てるわ。見てるけど、これは……」


 治しようがない。怪我は治せても、今のレンを救うことは出来ない。


「レミさんと同じことをやった……これは」


「あ……あ、みんな……いるんだな」


 ゆっくりとレンが口を開く。レンが気がつくと周囲に大勢の人が集まり、囲まれているのがボーッと分かった。



「レンさん、そんな……」


 泣き始めるアイリをアンナが引き寄せるのが見えた。多くの者が悲しそうな顔をしている。


「マスターの時間はもうありませんね……」


 ナビゲーターが言う。もうレンの命の灯火は、消えて煙になろうとしている。エリアスとルティアがレンの手を握る。


「また……」


 伝えたいことは沢山あっただろう。だが、それも語れぬままにレンの身体から力が抜ける。


「あ……」


「レ……ン」


 エリアスとルティアの言葉が小さく漏れながら、レンの手が地面に落ちていく。



「ちくしょう」


 後ろの方では、アルファードが剣を地面に叩きつけていた。力になれなかった悔しさや自らへの怒りが感じられた。


 周囲からは悔やむ声が上がる。



 災厄を破り、愛する者のために命をかけたレン・オリガミは死んだ。






 湖の畔に立っていた。


「ああ……死んだんだな。俺は……」


 どこかフワフワとした感覚を感じながら、ここは何処だろうか?と思いながら歩き出そうとすると後ろに気配を感じる。


「よっ、愛する息子よ!久しぶりだな?元気してたか?」


「元気も何も死んじゃったんだけど……」


 父ライを目の前にして、やはり納得する。自らが死んだことが。


「ああ、そうだな。そうだ、お前が会いたい人が来てくれてるぞ?」


 後ろを見ろというふうにジェスチャーする父に、レンは後ろを振り返る。



「レン……」


「お母さん……」


 申し訳なさそうな、そんな顔をした母は静かに立っていた。何を話したら良いだろうかという表情をする。


「レン……わぁ!」


 レンは、母を抱きしめていた。


「急にいくなんて、俺もエリアスもみんな悲しんだんだから」


「ごめんね、レン。でもあなたが頑張る姿、ずっと見てたんだから」


「ああ、格好良かったぞ。さすが俺達の息子だ」


 後ろからまとめてライが抱き締めてくる。死んでるいのに、暖かさを感じるレンだった。

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