第232話 神の光と時間稼ぎ
「さっきよりもデカくなってやがる……意味不明過ぎるだろ」
後ろからアルファードの声が聞こえた。
リディエル神聖国の空が魔門の周囲から赤黒く染まり始める。水に絵具を落としたかのように侵食されていく。
「空が……」
「これが災厄か……」
周囲の者達も空を見上げている。
だが、次の瞬間……レン達の遥後ろの建物の方に上空から白い光が降り注いだ。
「あれは!」
「もう少しの辛抱です!神がここに君臨なされる」
フェインドラが声を上げる。
『神託による状況に近いですね』
「神が降臨し、白き英雄がって奴ね!」
レンがナビゲーターさんに答える。
あと少し耐えれば勝てるかもしれないのだ。きっと神様がどうにかしてくれるかもと期待する。
「アレは……コノセカイのカミ……ヨブものをコロス!」
ディザスターが移動を始めようとする。光のもとに向かおうとしているのだろう。
「少しでも邪魔をするんだ!神女様のもとに行かせるわけにはいかない!」
フェインドラの声が響くが、皆、黒い煙の影響であまり動きが良くない。少しでも足止めするように弓矢を放つなどしている。
「錬金魔法!」
レンも地面を隆起させるなどしてひたすら妨害に努める。
『マスター、突破されます!』
ディザスターが振り回す触手によって岩の壁が吹き飛ばされる。
「チェンジボックス!形状変化、盾」
触手から周囲を守りながらディザスターを進ませないようにするが、そう長くももたない。
「ジャマ……ドケ、カミをヨブものコロス」
「させるかよ!ステータス外スキル!」
アルファードが彼のステータス外スキルにより、強力な一撃をディザスターに放つ。
だが、ディザスターは多少吹き飛んだだけで、触手を振りかぶる。
「アルファードさん!」
攻撃を撃った後のアルファードを狙う攻撃に対してレンが割り込む。チェンジボックスを壁にして触手を当てるが、飛ばされたのはレンの方だった。
「レン!……」
アルファードの声が少し近くでして、レンは飛ばされるのだった。
ディザスターのいる場所から飛ばされたレンは、地面に墜落する。
「レン殿!大丈夫ですか?」
後ろの方から声がして振り返ると、そこにはアルキア王子が立っていた。
「王子、どうしてここに!」
とレンが言うと、王子が後ろを振り返る。そこには、手を組み祈りを捧げる神女の姿があった。
「ここが、私の守る人がいる場所だからです!」
先程見た光が登る場所……その場所までレンは飛ばされていた。
「凄い力を感じる……」
「ええ、神託の通り神が降りるのでしょう」
アルキア王子が頷く。
『マスター、こっちにディザスターが向かってきています』
すぐさまレンが正面を向くと、建物が倒壊するのが見えた。確実なこちらに向かっているのだろう。
「王子、ディザスターが迫ってます!下がってください。錬金」
「死ぬんじゃないぞ、レン殿!」
アルキア王子の声を聞いて、壁を出現させる。
「まさか、こんなにすぐにこっちに向かってくるとは……」
『マスターの、抜けた穴が大きかったですね』
そう、レンの抜けた穴はかなりのものだ。唯一、ディザスターの黒い煙の中で通常の動きが出来るレンだ。それ以外の本来の動きが出来ない者たちでは厳しいものだった。
「マタ、オマエか……ジャマだ!」
「俺が時間を稼ぐしかないもんな……来いよ!黒いデカブツ!」
と叫び魔法を放つ。命がけの時間稼ぎが始まった。
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